
明治時代に建てられた家屋が今も多く残る岩瀬の街並みの一角にある
富山県中新川郡立山町出身の陶芸家として活躍される「Mt. Sukunaga」さんの住まい兼工房を訪れました。
岩瀬地区は、江戸初期から日本海を行き来する北前船の港町として栄えてきた街。
川岸を背に北前船廻船問屋が立ち並んでいた旧北国街道の街並みは、
明治時代に建てられた家屋が多く残っており、
当時の様子が伺え、タイムスリップしたかのようにどこかノスタルジック。

加賀藩の御蔵が置かれ、上方への米の輸出港として栄え、
江戸時代後期には、北海道からの昆布やニシン、肥料の輸入などにより多くの富と文化がもたらされた岩瀬の街。
こちらには、岩瀬五代家と言われる重要文化財があり、
北前船の歴史を残す国指定重要文化財に指定されている「北前船廻船問屋 森家」の前にMt. Sukunagaさんの住まいはあります。
道を挟んで森家側は海鮮問屋として財を成した家屋が並び、
反対側は番頭クラスの家屋だったために、建物の部材の質感が道を隔てて異なるとのこと。
富山の観光名所としても知られるこの街は、
JR富山駅北口から富山市の港町岩瀬に向けて走るライトレールの活躍によって、
多くの観光客が訪れているのです。
国指定重要文化財・北前船廻船問屋 森家
所在地:富山県富山市東岩瀬町108
入館料:大人100円、子供50円 休館:年末年始(12月28日~1月4日)※臨時の休館日があります。
時間:9:00~16:30
お問い合わせTEL:076-437-8960



雄々しい書体で「岳」と手彫りされた木の表札がわたし達を出迎えてくれました。
ファサードに使用されている簀虫籠(すむしこ)は、4~5mm巾程に割った竹をびっしりと取付けたスクリーンで、
繊細且つ優しく軽やかな風合いを醸し出しています。
昼は、外の明るさゆえに家の内側からの風景が望めるため、人の賑わいが伝わり、
逆に、夜は家の灯りで外から中の温かさが伝わるようになっています。
涼しげな簀虫籠の風情がまたなんとも言えない雰囲気を醸し出しています。
こちらの家屋は、富山の銘酒「Masuizumi」を製造する造り酒屋「Masuda Sake Brewery"of桝田さんが施主であり、
桝田さんに「岩瀬でやきものをやらないか?」とお声を掛けていただいたのがキッカケだそうです。
およそ9年前に取り壊す予定であったこの家を、
桝田さんが歴史ある街並みとして残せるようにと手を掛けられる際に、
「改修するならきっちりと造り、若手作家のものづくりの場にしたい」と願われたそうです。
当時は、トタン張りのすさんだ状態だった空家を内外共に改修し、
手入れの行き届いた家屋は、Mt. Sukunagaさん一家の住まい兼作業部屋へと生まれ変わるのです。

玄関をくぐると、風が心地良く通る家の中は、ひんやりと涼しい空間となります。
土間には、大きなテーブルを中央に置き、いくつかの作品を展示されています。
あくまでも住まいであり、ギャラリーとして常時開放はされていないため、
アポイントメント無しでは見学不可となりますのでご注意ください。

花器 ・ 花台 / 釋永岳

小上がりには、一枚板の大きな座卓を置かれ、客人が訪れると賑やかな宴会台にもなるそうですが、
普段は作業部屋として使用されている空間だそうです。
料理もされるMt. Sukunagaさんは、魚を捌いて鰤しゃぶを披露したり、友人猟師が熊や猪を捕れば、
豪快な男料理を皆に振舞い宴会をされるのだとか。
自身でつくられた花器に花を活けるほどに”女子力”も高く、意外な一面もお持ちです(笑)

元々、彫刻を目指しこの世界に入ったMt. SukunagaMr.
東京藝術大学の彫刻科を卒業された後に、京都府立陶工専門校の成形科で陶芸も学ばれ始めます。
卒業後2003年に越中瀬戸焼「庄楽窯"of釋永由紀夫氏を父に持つ彼は、
父の下、同じ窯元で勉強をし始めるも、
「父を目指す陶芸家としてでは終わらず、父を超える陶芸家でありたい」と家を出られ、2006年に独立されます。
独立したばかりの当時は、生活のために器をつくることが苦痛に思える時期もあったようですが、
「L'évo (Levo)"of谷口英司シェフや良き理解者に支えられ、少しずつ心に変化が生まれたといいます。
谷口シェフと出会い、レヴォに「県外のものを入れず、富山一色にしたい!」と熱望され、
Mt. Sukunagaさんの作品をまとめて入れてくださったことを機に、
今では、谷口シェフのために新作づくりに奮闘されることもあるようです。
最初は、新作ゆえの世に出る前の作品に自信が持てず、ほんの少しの迷いがあったこともあると、
正直に包み隠さず話してくださるピュアなMt. Sukunagaさん。
しかし、谷口シェフの「コレがいい!コレで大皿頼むよ!」の熱い一言で大きな自信を得たといいます。
今は、自分らしさを追求するために好きな彫刻や立体のオブジェもしながら、
器づくりも楽な姿勢で並行できているとのこと。

Mt. SukunagaMr.うすはりの白グラス」でキンッと冷えた城端の霊水をいただきました。
彼の作品の中でも人気の高いうすはりの白グラスは、
薄さと均整がとれ、自身が求める完成形に仕上がらなければ世に出さずといったこだわり振りで、
「自分が使って、気持ちいい器を目指している」と。
こちらでいただく日本酒は、きっと最高に美味しいのではないかと想像を膨らませてしまいます。

漆を用い、物映えする黒の「漆黒シリーズ」は、焼き物らしくないレザーのような質感が大きな特徴です。
Mt. Sukunagaさんの作品は、個展という形ではあまり経験がなく、
東京の画廊などでの展示や、東京の友人でモデリストである
「Takizawa Shigeru 滝沢滋」氏とのコラボレーションなどで作品を紹介されています。
富山では、レストランとのコラボレーションで実際に器を使用しながらの食談会としてイベントを開催されたり、
料理教室をされるサロンで使用してもらったりしているようです。
現在、作品オファーのほとんどは口コミが多く、人と人の繋がりを大切にされているMt. Sukunagaさん。
あの「TAKAZAWA"of高澤義明シェフも雑誌「Discover Japan ディスカバージャパン」の食材探しの企画で
富山を訪れた際に立ち寄り、オーダーを掛けてくれたそうです!(凄)
彼の器が日本のみならず、今後益々世界へ羽ばたけるよう願っています。
「ちょっと街を歩きましょうか」と誘い出してもらい、工房を見学させていただきます。

清酒の蔵元直送店として特に吟醸酒にこだわっている酒屋「Tajiri Main Store (liquor merchant)」の横裏手に彼の工房があります。
こちらでは、やはり「Masuda Sake Brewery's満寿泉(ますいずみ)が有名で、
他にも、勝駒・菊姫・天狗舞・黒龍・八海山・だるま正宗・南部美人・澤屋など
北陸の有名な日本酒やワインを販売しています。
先日、いただいた「HENRI GIRAUD アンリジロー」の日本正規輸入代理店の特約店でもあります。
今回は、時間の関係でこちらに訪れることはできなかったのですが、
次回は足を運んでみたいと思います。



元々、米倉として活用されていた場を改修し、
表に酒店があり、裏手にはガラス作家の安田泰三さんとMt. Sukunagaさんの工房が連なります。

工房内には、大小2つのガス窯が設置され、ところどころに手掛けられている作品が伺えます。

土づくり

作品

ガス窯

重なり合う流線の美しさにこだわり、現在、手掛けている立体の新作。
今は、立体の制作にも意欲的に臨みたいと語ってくださいました。
こちらは、粘土を板状にして、その均一な厚みを利用して成形するタタラ技法を用いて、その後カービングさせています。
ガス窯の繊細な温度調整に臨み、今後、焼きに入るとのこと。
しかし、彼の作品は焼きで終わりではなく、実はそこからが勝負どころで、
漆を用いてオリジナリティ溢れる技法によって、ようやく完成を迎えます。

釋永岳 / Gaku Shakunaga
彼の器は普段使いのものではあまりないものの、漆を用い唯一無二の作品として、
シンプルでスタイリッシュなデザインを誇ります。
触れた瞬間に、究極の攻めゆえに成り立つ繊細さが伝わる器。
そんな彼の生み出す器は、今も多くの料理人たちから熱望されています。
2015年11月にMt. Sukunagaさんを浜松に招待し、「釋永岳陶芸展」を開催いたしました!
日本国内の有名レストランの一流シェフや高級ホテルなどでも使われており、
今や海外からも注目を浴びる彼の作品は、ひとつひとつがすべて手づくりとなり、
想いを込められた作品には心が宿っています。そんな彼の作品を今回特別に浜松の方にご覧頂きました。
イベントの模様はこちらの記事からご覧いただけます!
http://lade.jp/diary/event-info/general-event/48750/
またladeが企画する釋永岳さんの器を持って世界中を旅する企画「A series of travels with tableware」では
世界のベストレストラン50に常にノミネートするアンドレチャンがプロデュースする「RAW」を中心に
「ジョエル・ロブション」、「祥雲龍吟」など有名なレストランとのコラボレーションを実現し注目を集めています。
A series of travels with tableware
http://lade.jp/?s=器と旅するシリーズ
Mt. Sukunaga
http://gaku-shakunaga.com/
先日、陶芸家の釋永 岳さんが「The Wonder 500」に選ばれました!
「The Wonder 500」とは、経済産業省で本年5月より、
クールジャパンによる地域活性化推進のため、「The Wonder 500 ™(ザ・ワンダー・ファイブハンドレッド)」をスタート!
“世界にまだ知られていない、日本が誇るべき優れた地方産品”として選定された500商材を発表しています。
その500の中に「釋永岳の器」が選ばれたのです!
羽ばたけ!世界へ!
ladeは全面的に彼をバックアップ致します!
The Wonder 500
https://thewonder500.com/
