軽井沢でフレンチレストランの先駆けとなった小沼康行(Yasuyuki Onuma)オーナーシェフ率いる「オーベルジュ・ド・プリマヴェーラ(Auberge de Primavera)」。今回は、紅葉に包まれたこちらの素敵な洋館にてスペシャルなバースデーディナーを楽しみます!
陽が落ちる夕刻には木々に装飾したネオンが灯され、キラキラと眩い光を放ちながら温かな雰囲気を演出。
昼の雰囲気とは違った顔を見せる本館の庭。
イルミネーションを施されたシンボルツリーがその存在を露わにし、夜のゲストを迎えています。
小沼康行オーナーシェフ プロフィール
千葉県出身。千葉県立八街高等学校から大阪の辻調理師専門学校に進学。1981年に卒業後、東京・代官山のフランス料理店「レンガ屋」に就職。銀座「レカンでの修業を経て、山梨・河口湖町の「Fitリゾート」、長野・軽井沢の「900シティ倶楽部」の料理長を歴任。神奈川・箱根のオーベルジュ「オー・ミラドー」の調理部長を経て、1996年、軽井沢にフランス料理店「プリマヴェーラ」をオープン。2002年には宿泊施設を併設。以降、ワインセラーや姉妹店の「ピレネー」も設け、2020年には日本料理店「穏坐」と野菜料理を中心とした『ヴィーガン・プリュス』をオープン。
何故、小沼康行オーナーシェフは、フランス料理店からスタートしているにも関わらず、店名にイタリア語の「プリマヴェーラ」と名付けたのでしょうか。それは、シェフの人生の一頁にある思い出が深く関わっています。その詳細につきましては、その想いが記されている「公式サイト」をご覧ください。
1階にあるメインレストランには、宿泊客以外のゲストも食事を楽しみにやって来ています。
真っ白なテーブルクロスに磨きをかけたグラスやカトラリーが並び、王冠ナプキンが整います。軽井沢でこの時期に収穫できる真っ赤な林檎の紅玉をキャンドルの脇に添えて。
この日は、小沼康行オーナーシェフのスペシャルディナーコースに合わせて、支配人兼ソムリエの田中賢一(Ken-ichi Tanaka)さんにペアリングワインをお願いしました。
今年で49歳となる私の誕生日前夜祭を祝してシャンパーニュにて乾杯!
Champagne「ジャン・ヴェッセル ウイユ ドゥ ペルドリ(Jean Vesselle Oeil de Perdrix)」
「やまうずらの眼」と名付けられた、その名の如く淡いピンク色をしたピノ・ノワール100%のシャンパーニュ。日本ではなかなかお目にかかれない、大変希少な直接圧搾法で造られています。明るく鮮やかな淡いピンクの色調がキャンドルに照らされ、一層華やかな印象に。泡立ちが良く、果実香が広がり、ほんのりと紅茶の葉のようなニュアンスとスパイシーさが加わり、バラの花やミネラル香が楽しめる豊かなボリューム感を味わえます!
ガラス越しに映る中庭の池には、真っ赤に染まる紅葉の葉が一面に浮かび上がり、紅葉の絨毯と化しています。ライトアップされた中庭を眺めながら見惚れていると、支配人の田中さんが「良い時期に来られましたね」と一言。紅葉の葉が池に浮かんで見えるのはほんの僅かのことで、数日もすれば水を含んだ紅葉は池の底へと沈んでしまうのだとか。この景色すらも日本の貴重な四季を感じる一頁というのです。特別な夜に特別な時間を過ごせている気がします。
アミューズ①「赤ピーマンのムース クーリドトマト」
アミューズ②「自家製唐墨とチーズサブレ」
白ワイン「ル・セック・ドゥ・レイニュ・ヴィニョー 2020(LE SEC DE RAYNE VIGNEAU)
ボルドー/ソーヴィニヨンブラン(BORDEAUX/Sauvignon Blanc)」
「シャトー ドゥ・レイヌ・ヴィニョー(Chateau de Rayne Vigneau)」は、1855年ソーテルヌ地区格付け1級の由緒あるシャトーです。輝きのあるレモンイエロー、グレープフルーツやハーブ、蜂蜜、白い花が感じられ、フレッシュさと柔らかな酸が特徴で、口当たり良く飲みやすい味わいとなります。オマール海老のスープに合わせていただきましょう!
前菜「高原野菜とオマール海老のテリーヌ オレガノ風味」
スープペアリング「クレームクリスタッセ」
オープン当初から不動の人気を誇る前菜。13種の高原野菜の食感や味わいをそれぞれに楽しめるよう、野菜毎に分けて丁寧に火入れし、つなぎを一切使わずにプレスのみで仕上げた色鮮やかなテリーヌ。特製のコンソメジュレとオレガノ風味のグリーンのソースでいただきます。センターにはオマール海老の旨味が凝縮され、その周りを囲むように詰められた高原野菜は香り良く、シャキシャキとした食感もあり新鮮そのもの!軽井沢の高原野菜の素晴らしさをこの一皿で体験できると言っても過言ではなく、身体が喜ぶ食事をいただくとはまさにこの事のよう♪
パン
お次の「松茸のパイ包み焼スープ」に合わせて、赤ワインを。
赤ワイン「モレ サンドニ 2020 ステファン マニャン
(Morey-Saint-Denis Domaine Stephane Magnien)」
1897年創業のモレ・サン・ドニに本拠を置くドメーヌで、2008年からは4代目当主としてステファン・マニャン(Stephane Magnien)が受け継ぎ、伝統的な手法でワイン造りを行っています。美しいガーネットの色合い、ラズベリーやカシス、ワイルドベリーなどの熟した果実のフルーティーな香りが漂い、ジューシィーでありながら優雅さも兼ね備えており、余韻も長く楽しめます!
スープ「松茸のパイ包み焼スープ」
パイの端からスプーンをサクサクッと入れて、先ずはパイで旨味を閉じ込めたスープからいただきましょう。香り立つ芳しい松茸の香り!
こちらの秋の名物料理の一つとして人気の高いパイ包みのスープ。じっくりと3日間かけて丁寧にとった特製のコンソメベースとなり、身体に馴染む優しさがありつつも、深まる秋の如く、じんわりと骨の髄まで染み渡る滋味深い味わいが楽しめ、見目麗しい黄金色に輝く絶品スープです!後から、パイも浸しながらいただくことで、二度の楽しみ方があります。これからの季節は、松茸がトリュフに変わり楽しめるとのこと♪
白ワイン「サン・トーバン プルミエ・クリュ レ・フリオンヌ 2019 フランソワ・ダレーヌ
(François d’Allaines Saint Aubin 1er Cru Les Frionnes)」
ピーチや青林檎を感じさせるミネラル感にシトラスや白い花を感じるフルーティーさがあり、口当たりが滑らかでエレガントなシャルドネを魚料理に合わせて!
魚料理「本日の鮮魚 洋梨仕立て エストラゴン風味のバターソース」
スープガルビュー「5つの野菜の取り合わせポタージュ」
この日の鮮魚は「鱸」。ぽてっとした洋梨の形を模してあり、中にはたらば蟹と帆立貝のムースを詰めて蒸し上げ、エストラゴンの香り高いバターソースが良く合います!
テーブルの籠一杯に積まれた軽井沢の林檎(紅玉)。
お次はメインディッシュの肉料理に合わせた赤ワインの登場です。
赤ワイン「シャトー ダッソー サンテミリオン 2016
(CHATEAU DASSAULT SAINT-EMILION GRAND CRU 2016)」
1955年に戦闘機メーカーの創業者であるマルセル・ダッソー氏がシャトー・クープリーを取得し、シャトー・ダッソーに改名。深みのあるガーネットパープルの色合い、プラムやボイセンベリー、ブラックフォレストケーキのアロマに続いて、ライラック、スターアニスの香り、フルボディで凝縮された黒い果実の活発さが感じられ、フローラルな香りが漂います!
銀製のクローシュを纏ってやって来たメインディッシュ。
肉料理「信州牛フィレ肉のステーキ 2色のピューレ ボルドレーズソース」
表面はカリッと香ばしく、肉の旨味を閉じ込めて。
和栗のほっこりとした甘味と根セロリの香り高いピューレを添えてアクセントに。信州牛は芯温を測りながら低温調理することで、中は美しいロゼカラーのミディアムレアに仕上がり、フィレ肉のギュギュッと旨味が溢れ出る味わい深さが楽しめます!
滑らかな口当たりのボルドーに、そっと寄り添う濃厚なボルドレーズソース。ワインとのペアリングも流石です!
「ピストゥースープ」
食後のお楽しみの一つ、チーズワゴンの登場です!
フランス産の5種類のチーズをそれぞれに味わいたく、少しずつ頂くことに。
最後の仕上げにロックフォールには軽井沢のアカシアの蜂蜜をかけて。
「フランス産5種のチーズ」
コンテ熟成30ヶ月、カマンベール、シェーブル、エポワース、ロックフォール。
そして、食後酒(Digestif )も登場し、ブランデーはコニャックやアルマニャックなどにデザートワインや林檎のブランデー・カルヴァドスや洋梨のブランデーなども楽しめます!
洋梨のブランデー「マスネ オー・ド・ヴィ ポワール・ウィリアム
(Massenez Poire Prisonniere)」
1870年にアルザス地方で設立された「マスネ社」は、小規模ながら品質の良いフルーツ・ブランデーを生産することで有名です。こちらは、洋梨の優良品種ウィリアムス種を蒸留したもので、中に入っている果実は、まだ実が小さい内に瓶を被せて、瓶の中で成長させてから瓶ごと収穫します。その中に同社自慢の洋梨のブランデーを入れて出来上がります。とても風味豊かで、洋梨の芳醇な香りが楽しめる飲みやすいフルーツブランデーに仕上がっておりますが、アルコール度数は40%とお高めなので、気をつけましょう(笑)
デザートは、事前に主人がバースデーケーキを予約してくれたようで、華やかな花火のあしらいでサプライズ登場!
デセール「特製バースデーケーキ」
まるでウェディングケーキの如く、二段のゴージャスな装いで、フルーツケーキの上には王冠さながらの透き通るように美しい飴細工が施されています!
バースデーソングを歌ってお祝いして頂きながら、蝋燭をひと消し!
一旦下げて、食べ切れるサイズに切り分けてソルベと共に提供。苺がたっぷりと入ったフルーツケーキは、生クリームは品良く優しく、中にはカスタードクリームを敷き、ふわっと軽やかなスポンジはシロップを打ち込みしっとり仕上げに。最後の最後のデセールまでがとても美味しく、今まで頂いたバースデーケーキの中では、そのバランスの良さは圧倒的な存在感を露わに上位にランクイン!
アヴァンデセール
「アールグレイのジュレとイチヂクのコンポート カクテル仕立て」
「プティフール4種」
マロングラッセ、ポルボロン、バタースカッチ、バニラのマカロン、シナモン風味の砂糖菓子。
「エスプレッソ」
小菓子は食べ切れなかったため、明日のお楽しみに可愛いギフトボックスでお持ち帰りさせていただきました!
オープン当初から少しずつシェフ自らが率先して手を加えリニューアルし続けてきたこちらは、ペンキ塗りやタイル貼りなどの修繕をはじめ、スタッフと共に創り上げてきた場所となり、居心地の良さと温かみ溢れる造りで、随所にこだわりを感じます。コロナ禍前には支配人と共にフランスはパリへ渡り、絵画やタペストリー、調度品なども直に買い付けに出向かれていたようで、全てに思い入れがあるご様子。レストランに宿泊施設を増設された際も、訪れるゲストの要望を聞き入れながらの実現となり、より良い環境と寛ぎを提供。帰りの心配等をすることなく、ゆったりとした時間を過ごせるオーベルジュはまさに理想郷。
誕生日前夜祭のこの日の夜は、奇遇にも皆既月食となり、月食中に月が天王星を隠す天王星食も起こり、「皆既月食×天王星食」と、非常に珍しい現象が起こっていたようで、奇跡的な一日となりました!
春から初夏にかけての新緑の時期の滞在をお勧めされたので、またその好シーズンにも足を運べたら幸いです!
小沼康行オーナーシェフと田中賢一支配人と一緒に記念撮影。こちらでは、伝統的なフランス料理の技法で食の豊かさを堪能しつつも、肩肘張らずにゆったりと食事が楽しめ、軽井沢の四季折々の旬野菜や滋養に満ちた食材の恵みを感じられる極上のひとときが待っています。愛犬ショコラと一緒に旅することもできる環境は、我が家にとっても理想郷。また、是非とも訪れたいオーベルジュとなります♪
オーベルジュ・ド・プリマヴェーラ(Auberge de Primavera)
住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1278-11
TEL:0267-42-0095
営業時間:ランチ12:00~15:30(最終入店13:30)、ディナー17:30~21:50(最終入店19:30)
https://www.karuizawa-primavera.jp/