浜松・新橋「和食処 新橋阿部」朗らかな女将の笑顔と満腹天丼が楽しめる和食店

浜松は南区の新橋にある和食店「和食処 新橋阿部 / Japanese Food Abe」へ。南区へはあまり足を踏み入れることはありませんが、気になっているお店がちらほらと点在しているため、折を見て少しずつ訪ねていきたいと思います。

こちらは元々、活魚料理の有名店「魚あら」からの暖簾分けで「魚あら支店」として長く営業されてきましたが、2019年1月11日(金)の大安に屋号を変えられ「新橋阿部」として心機一転、再出発されています。

店内は明るい雰囲気で、調理場が伺えるカウンター席とテーブル席、小上がりの座敷席、奥には最大25名まで対応できる宴会場の個室を用意し、法事や法要などの食事会も対応されています。

この日は小上がりの座敷席へ。部屋の角に小型テレビが設置され、丁度24時間テレビが放送されていました。テレビを観ながら食事という、何処か自宅で寛ぐような雰囲気があり、和む店内。

こちらは昼夜共に同じメニューを提供されており、天丼を中心とした定食メニューをはじめ、刺身定食やうな重などを用意。写真付きのメニューは見やすさもあり、一目瞭然。「天丼」は海老が2本、「エビ天丼」は海老が4本、「上天丼」になると、活け海老が車海老になります。

オーダーを受けてから天ぷらを揚げる音が聞こえ始め、背を丸くした親子の後ろ姿が似ています。

揚げたての天ぷらが盛り込まれた天丼の定食が運ばれてきました。実は、こちらの女将さんが店名を新たにされてから、地域の情報ポータルサイト「Hamazo」にて「女将ブログ」を立ち上げられており、一日一投稿を目標に女将ブログを書かれています。うちの主人もHamazoブログ歴は長いため、直ぐに私たちの存在に気付いてくれたご様子。こちらの女将ブログでは、メニューや料理のことはあまり登場せず、御家族で飼われているトイプードルの桃ちゃんのことが殆どで、愛犬家振りが伺え、時折、亀のみかんちゃんが登場したり、日々の女将のつぶやきのような日常が分かるもので、初めて足を運ばれる方でも、女将のお人柄が伺えるかと思います。書き初めの2019年の記事を遡っていたところ、女将の趣味でもある読書の記事では、「宮部みゆき」と「東野圭吾」がお好きと書かれており、好きな作家が私と同じで、思わず親近感が湧いてしまったほど。しかしながら、常連さんからは「たまにはお料理のことも載せて」と言われることもしばしばあるようです(笑)

いつもは二人でオーダーするメニューを変えてはシェアするのですが、この日は二人とも「天丼」の気分。ゆっくりと味わいたかったのですが、我が家の愛犬ショコラのトリミングサロンの時間が迫っており、丼を抱えて二人で黙々といただきました。そもそも、丼の誕生は室町時代の「芳飯」と呼ばれる料理が原点とされていますが、本格的な丼の誕生は江戸時代。手早く飯を掻き込みたい江戸っ子気質が、ご飯の上に直接おかずをのせ、いつしか「天ぷら」も「飯」にのせ、「天丼」が誕生するのです。この日の私たちは、まさに江戸っ子のように、せかせかと「天丼」を掻き込んだのであります。

「天丼」1,540円(税込)

「天丼」の具材は、海老が2本に南瓜も2枚、輪切りの茄子にピーマン、縦長にカットした牛蒡、白身魚はふっくらと揚げられた黒鯛と豪勢に。天ぷらの衣はタレのかかってないところはサクッと小気味良い音を立て、タレを纏ったところはしっとりと、継ぎ足し継ぎ足しで変わらぬ味を提供されている甘ダレが程良いバランスでかかっています。

定食スタイルでいただけるため、丼ものに、小鉢二品に汁物、漬物とボリューム満点。俯瞰で見れば、二品の小鉢がそれぞれに異なることに気付き、「釜揚げしらす おろし大根」、「ひじきの煮物」、「金平牛蒡」、「卯の花」と身体喜ぶ嬉しい小鉢。

小鉢「釜揚げしらす おろし大根」

小鉢「ひじきの煮物」

「浜名湖産浅利の味噌汁」

浜名湖産の浅利がたっぷりと入り、身は小振りながらに浅利の出汁の旨みが沁み入る味噌汁は浜松ならではでしょう。

漬物「沢庵漬けと大根の漬物」

二つの大根の漬物を見ていて、不思議に思うことはないですか。大根は白いのに、沢庵はなぜ黄色なんだろう?それは、大根を塩漬けして漬け込むと、大根の中に含まれる辛味成分が分解され、徐々に黄色くなり、他の成分と結合することが原因で、漬け込む中で自然に黄色になるというもの。昔から沢庵といえば黄色を連想させるため、沢庵漬けのイメージを出すために、ウコンやクチナシなどの天然着色料を使用した商品も出回るほど。発酵と辛味成分の分解が進み黄色くなる大根と、白いままの大根、面白い組み合わせです。

女将さんから「水饅頭をどうぞ♪」と、一口サイズのデザートをサービスでいただきました。もっちりとした水饅頭はぷるぷる食感で、中の餡は綺麗な薄紫色の紫芋のこし餡がたっぷりと入っています。食後の思わぬデザートにほっこり。私の実家の和食屋でも、よく母が「サービスです♪」と言って、アイスやお菓子を配っていたのを思い出しました。店の顔とも言える女将のそうした優しさと心配りが、常連客の心を離さないのだと思います。

「天玉」

レジで会計を済ませると、カウンター上に「天玉 御自由にどうぞ」と書かれ、小袋にギュウギュウに詰められた天玉の山を見掛けました。こちらは、店で天ぷらを作る際に出る天玉を、来店されたお客様にサービスで差し上げているとのこと。阿部家では、焼きそばに必ず入れる天玉、素うどんに浮かべれば、立派な天ぷらうどんの味わいに変身するとのこと。さらに、この天玉の使い方を常連さんたちが色々教えてくださるそうで、麺類やたこ焼きに入れたりするのは当たり前で、卵かけご飯や冷奴に添えたり、味噌汁のお揚げの代わりに入れたり、大根の葉っぱと共に甘辛く炒めてふりかけにしたりと、どの奥様もアイディアに溢れ、アレンジし放題で楽しまれているよう。天玉一つでこれだけ美味しい話題が広がっていくのなら、言うことなしですね!

和食処 新橋阿部 / Japanese Food Abe
住所:静岡県浜松市南区新橋町995
TEL:053-447-0654
営業時間:ランチ11:30~14:00、ディナー17:00~20:00(L.O.30分前まで)
定休日:火曜日 ※第1週は月・火曜連休
駐車場:店舗横に14台保有
https://nippasiabe.hamazo.tv/

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