世界的にクラシックカーのコレクターとしても名を馳せるアーティストで、東京は日本橋でレストラン&バー「水戯庵/SUIGIAN」を運営する木村英智(Hidetomo Kimura)さんの京都別邸「英遊斎水戯庵」にて開催されたホームパーティーへ。
昨年の夏、木村さんにお誘いいただいた京都召集も急でしたが、今回のお誘いは何と前日前夜にあった一通のメッセージで、「明日、暇?京都に来てあのキッチンで料理してもらえたりしない?」との無茶振り(笑)主人と話し合いをして、「できる範囲で構わないのなら」と快諾し、翌朝、身支度を済ませ出張シュフ(主婦)をしに、いざ京都へ。
浜松からの道中、高速道路で事故渋滞に見舞われたものの、大幅に予定していた時刻を上回ることなく京都に到着。
「英遊斎水戯庵」
喧騒から離れ、京都の閑静な別荘地に佇む別邸「英遊斎水戯庵」。
普段、全くと言っても過言ではないほどに調理されないキッチンゆえに、取り急ぎ必要な家電の炊飯器やBALMUDA、ミキサーをはじめ、調理器具や調味料などをすべて車に詰め込み、およそ30kgほどの大荷物をえっさほいさと運び入れてから、食材の買い出しへ。
近隣のスーパーを回り必要な食材を探すも、なかなか予定通りには行かず、結局、彼方此方と5軒ほど回る羽目に陥り、私たちの住まう街のスーパー環境に恵まれていることを実感した日でもあります。
今回の京都旅は、愛犬ショコラを連れてきても良いと言っていただけこともあり、別邸を我が物顔で寛ぐショコラの姿が。トイレしつけなどが万全なこともあり、ゲージ内ではなく、邸宅内を縦横無尽に過ごさせていただいたショコラ。
ホームパーティーのゲスト入りの時刻まで約3時間。前夜にお出しする料理を考えて、夏らしく冷菜を中心とした前菜、パスタ、メイン、デザートと11品を用意。
L字型の特大キッチンは器やグラス、カトラリーを広げても、調理スペースに事欠かない広さは申し分ないものの、初めて使うキッチンに海外製のIHなどの使い勝手に戸惑いが隠せません。
ゲスト6名、ホスト木村さん1名、私たち夫婦、アシスタントスタッフ1名で計9名分の料理。こちらでは、出張シェフを利用し、ホームパーティーを開催されることもあるため、幸いにも食器やグラス類は一通り揃っていルようで、価値あるヴィンテージ品や作家作品の陶器なども惜しみなく使わせていただくことに。
別邸とはいえ、滞在中に寛げる空間として、また仕事場としても使用されるため、家具など一流品で取り揃えられており、清掃などを含む管理の大変さが伺えます。
壁一面にディスプレイされている圧巻のミニカーコレクションの数々。
イタリア語で「空飛ぶ円盤 UFO」を意味する「DISCO VOLANTE(ディスコ・ボランテ)」の姿も。実車は後程。
折角ですので、邸宅内の撮影許可をいただき探索してみましょう。前回は予定があり日帰りでしたが、今回はこちらに宿泊させていただきます。広々としたダイニングキッチンにリビング、ベッドルームに茶室と横に長く、フラットな床続きで、ショコラも探検を楽しんでいます。
こだわりのインテリア家具もさることながら、随所にお宝が点在し、まるでミュージアムのよう。
ベッドルームにはウォーターベッドが備えられており、この日の夜に初体験!水の浮力で全身を支えるため、驚くほどに抵抗が無く、抜群の体圧分散となり、最高の寝心地を実感できました。
京都別邸ならではの茶室も用意。次回はお点前を披露していただき、京都らしく茶道体験も良いかもしれません。
さあ、買い出しに手間取り、あまり時間も無いため、早速準備に取り掛かりましょう。
木村さんからアシスタントスタッフを一人付けていただき、手際良くサポートしてもらえたため、順調な滑り出し。
美味しいものや食べ歩きが好きなHarunaちゃんのお手伝い、本当に助かりました。何より、フレンチブルのLalaちゃんを飼っていて愛犬家ということもあり、合間合間にショコラのお守りまでしてくれて、寂しくない様子のショコラに安堵。おかげで私はおもてなしに集中することができました。
テーブルセッティングも済んだ頃、ゲストの皆さんをお出迎え。
ホストである木村さんのサーヴでパーティースタート!
ウィットに富んだ会話が流暢に飛び出し、場の空気を自分色に染め、盛り上げ上手な木村節に、初めましての皆さんも心穏やかに和やかな雰囲気。
木村さんからご紹介いただき「出張シェフならぬ出張シュフ(主婦)です」と一笑が起きる自己紹介をし、簡単に料理の説明を。
乾杯のシャンパーニュ「CHAMPAGNE BARONS DE ROTHSCHILD/シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド」に合わせて、冷菜を並べています。こちらには陶器の和皿や漆器などが多くあり、洋皿の用意は少なめとのことで、今回は大皿に盛り込みシェアするスタイルに。
「真蛸とブロッコリーと枝豆のバジルサラダ」
旨みの強い真蛸と食感の良いブロッコリーと風味豊かな枝豆を用いて、自家製バジルソースを使った夏らしい爽やかなサラダ。実は「セブンイレブン」の「たことブロッコリーバジルサラダ」を真似て再現しようと思った一品。自家製バジルソースのコク深さにお褒めの言葉をいただきました。今夏も「ヤママツ鈴木農園」に収穫に出向き、大量に作り置きしておきたいと思います。
「キャロットラペ」
フランスの人参のサラダ「キャロットラペ」。夏らしく白ワインヴィネガーを利かせたサラダは箸休めにもピッタリ。砕いた胡桃と白ワインに浸したレーズンをアクセントに。
「梨と林檎のシャキシャキ生ハムレモンサラダ」
旬のフルーツを使ったサラダは定番で取り入れており、出回り始めた梨をメインに千切りで楽しむシャキシャキサラダ。梨と相性の良い林檎も皮ごと用いて彩りも食感もアップ。生ハムの塩気とレモンの爽やかな酸味を利かせて。
「桃とモッツァレラと生ハムのサラダ」
美味しい桃なら間違い無しの桃とモッツァレラと生ハムの定番サラダですが、この日は美味しい桃を探し当てられなかったことを反省。ほんの少しの塩とEXヴァージンオリーブオイル、粗挽き黒胡椒にレモンピール、チャービルを添えて。事前に来る事が決まっていれば、京都市中央卸売市場の「明石商店」の明石隆秀さんにお願いして間違いの無い食材がきっとあったはず。
「無花果とサーモンのクリームチーズのカナッペ」
無花果にサーモン、ディルの風味を纏わせ、クリームチーズとマスタードソースを合わせ、クラッカーに添えるカナッペ。
「真鯛のカルパッチョ 粒マスタードソース」
真鯛を少量の塩とディルで直前まで寝かし、レモンで酸味を利かせた粒マスタードのソースでいただく「真鯛のカルパッチョ」。
前菜が並んだところで乾杯!
「KIMURA CELLARS/キムラ・セラーズ ソーヴィニヨン・ブラン」
シャンパンが早々に2本が空き、お次は「KIMURA CELLARS/キムラ・セラーズ」。ニュージーランドのテロワールと日本人の繊細さが融合したワイナリーで、世界のワイン評論家から高い評価を受けるレベルのワイン造りをされている木村夫妻のソーヴィニヨン・ブラン。フレッシュな酸でエレガント且つ力強さもある味わいが楽しめ、木村さんのお名前繋がりという一本。
「赤海老のガーリックソテー」
赤海老は白ワインで臭み取りしてから背開きし下処理を済ませ、玉葱、ニンニク、ディルを細かく刻み、白ワインで蒸し焼きにしバターでソテーした赤海老に合わせて、ふっくらと火入れしプリッとした身を楽しむ一品。
「胡桃のカルボナーラ フジッリ」
ショートパスタ二品は主人が担当。卵黄を利かせた濃厚なカルボナーラソースにレモンと胡桃を加えて、後味すっきりとしながらも深みのある味わいに。
「アンチョビトマトとモッツラレラのブルスケッタ」
厚めのバゲットにガーリックバターを馴染ませ、細かく刻んだアンチョビとアンチョビオイルに四つ切りにしたミニトマトを絡め、ちぎったモッツァレラと共にバゲットに盛り込み、バルミューダでトースト。仕上げにフレッシュバジルを添えたブルスケッタ。アンチョビが良い仕事をする食べ応えのある一品。今回のバゲットは、大阪在住のHarunaちゃんがセレクトしてくれた大阪ミシュラン2つ星に輝き続ける「La Cime/ラシーム」の高田裕介シェフが新たに手掛けるベーカリーで、2024年5月にオープンしたばかりの「QUOI/クワァ」のもの。店名は、フランス語で「何」を意味する「QUOI?」。東京の名店「シニフィアン シニフィエ」で修業したパン職人が高田シェフとタグを組みベーカリーシェフを務めています。リベイクすることでカリッと香ばしいクラストが味わえ、ふんわりもっちりのクラム、小麦の香りが楽しめるバゲット。
「Terre Del Barolo/テッレ デル バローロ バローロ 2013」
イタリア最優秀生産者組合に選ばれたテッレ デル バローロの看板ワイン。複雑性としっかりした骨格を持ち、フレッシュでフルーティな香りを放ち、甘く柔らかで、滑らかな印象。
「トマトとバジルのペンネ アラビアータ」
ニンニクと唐辛子を利かせたトマトソースにフレッシュトマトと自家製バジルソースを加えたペンネ アラビアータ。コク深いトリュフソースをアクセントに。
「Cavalier Diatto Barolo/キャバリア・ディアット」
イタリアの自動車メーカー「Diatto/ディアット社」は、特にマセラティの創業に大きな影響を与えたことで知られています。Diatto社は特に高性能でエレガントなスポーツカーやレーシングカーを製造し、その技術力と品質が広く評価され、1920年代に入ると、Diatto社はレース用エンジンの開発を行うために、アルフィエリ・マセラティを含むマセラティ兄弟と協力するようになりました。マセラティ兄弟はDiattoのレーシング部門でエンジン開発やシャシーの設計に携わり、そこで得た経験が後にマセラティブランドを創設する基盤となっているのです。このDiatto社の名を冠した「Diatto Barolo」は、Diatto社の遺産を称えて造られたワインで、イタリアの名高いワインであるバローロの一つ。特にそのエレガンスさと歴史的背景が注目されています。バローロ特有の深いルビー色とともに、
「和牛のすき焼き肉巻きおにぎり」
〆のご飯は、食べやすい俵形に形成した和牛の肉巻きおにぎりをすき焼き風にアレンジ。ご飯は千代の一番とにんべんの白だしで炊き込み、玉葱で甘みを引き出したすき焼きダレに生姜を利かせ、肉巻きおにぎりを潜らせて火入れ。一人一個ずつの卵黄を添えて、肉巻きおにぎりを溶いた卵黄にダイブさせ、すき焼きのようにいただく〆の一品。手軽さとボリューム感も相まって、大好評の一品で、おかわりリクエストも!
「まめやかふぇ 夏期限定アイスブレンド」
袋井の自家焙煎珈琲豆屋「まめやかふぇ」にて夏季限定で販売する「アイスブレンド」。香り高くしっかりとしたコクとキレのある旨さを活かしたハマちゃんオリジナルのブレンド豆を挽きたて淹れたてで。デザートには一口サイズの「白桃のヨーグルトスープ」を提供し、食後の皆さんの胃腸管理も♪
赤白別に温度管理され、ワインセラーに収蔵されたコレクションの中から、7本+お疲れ様の1本のワインをいただきました。ラインナップを見て判るように、特にバローロ好きの木村さん。イタリアのワインの王様と讃えられるバローロは、まさに木村さんにお似合いのワインです。
会を終え、ゲストをお見送りし、ある程度片付けに目処が立ったところで、お疲れ様の一杯としてシャンパーニュを開栓。待ちくたびれたショコラは、尻尾をフリフリしながら、ようやく相手をしてもらえると喜んでおりました。初利用のキッチンの使い勝手などの話をしながら反省点などを振り返っていると「より使いやすいように改良するからまた宜しくね」と木村さん。前日前夜の急なお誘いだけは勘弁していただきたいと念を押しておきました(笑)
真夜中の3時を回る頃、ウォーターベッドの快適さに脱力し、深い深〜い眠りに就き、心地良い朝陽を迎えます。京都二日目の紹介は後程に。ホストの木村さん、そしてゲストの皆さん、楽しく素敵な京都の夜をありがとうございました!