浜松・北欧ヴィンテージ家具「Learner’s」”流木と動物彫刻 ヒナイジユズル展”を開催中!

デンマークやイギリスのビンテージを中心に、家具と雑貨を取り扱う「Learner’s/ラーナーズ」にて、2024/3/2(土)〜2024/3/11(月)まで、アートコレクター宿里博さんによる「ビンテージポスター展」とアーティスト・ヒナイジユズルさんによる「流木と動物彫刻 ヒナイジユズル展」を同時開催中。開催場所は、浜松は舘山寺街道沿いに佇む白い建物とサインが目印です。

ラーナーズオーナーの内藤慎一(Shinichi Naito)さんは、ビンテージ家具の販売経験とリペア・メンテナンスの技術を活かし、2007年5月30日に自宅前に待望の店をオープン。北欧ビンテージ家具は、その多くが高級木材として知られるチーク材が用いられており、その美しく深い褐色の色合いと木肌、そして繊細な木目が手に馴染みやすく、とても柔らかな印象を与え、長い年月を経て経年変化し、味のある雰囲気が安らぎを提供。

こちらでは、長い間使われてきたモノ、現在作られているモノ、これらを組み合わせて自分らしく楽しく暮らせるインテリアライフを提案するセレクトショップをコンセプトに、デンマークやイギリスのビンテージを中心に家具と雑貨(ビンテージと新品)を取り扱われています。

普段使いできる日用品から、大切な人に贈るギフトまで、きっと掘り出し物が見つかるそんな空間。

今回の展示会は、アーティストであるヒナイジユズルさんが流木の動物彫刻を昨年の夏から手掛けはじめて、初の展示販売会となり、今まで製作された10作品を展示し、北欧ビンテージ家具と融合。御本人は平日の午後14時以降は極力在店予定とのこと。

アーティスト:ヒナイジユズル/Yuzuru Hinaiji

「レトロ」、「アンティーク」、「クラシック」な空間設計を得意とするデザイナーとして活躍しながら、自身のお店として複数のコンテンツを持つ「Apartment store」を立ち上げ、レトロ骨董店「黒鶫/curotugumi」、昭和クラシックな喫茶店「喫茶みちくさ」を運営する傍ら、流木を彫刻しアーティストとしての顔も覗かせ、多彩に活動中。

「流木と動物彫刻」は、流木の風合いのある「樹皮」、「割れ」、「枝振り」など、流木の自然な形を活かしながら、流木から得たインスピレーションを具現化し動物に見立て彫刻する作品です。こちら左手の流木は、自らの足で遠州の海辺へと出向き、時間を掛けて収集した手を加える前の流木の原型となります。

先日、世界126カ国以上の若手アーティストによる絵画・写真・彫刻を取り扱うオンラインギャラリー「TRiCERA ART」が主催する毎年恒例のアートイベント「100人10」にて、流木彫刻の初作品となる「牛」を出展されており、公募で選ばれた100点の作品に選出され、2024/2/9〜2024/2/14の間に一般公開にて販売。見事、購入者確定の通達を受け、初作品が嫁がれていきました。今も製作途中の作品もあるようですが、今回のように製作された作品のまとまった展示は今回が初。

「流木と動物彫刻」の今シリーズの前には、「あまり彫刻せず出来るだけ流木そのままの型で」をコンセプトに製作していた頃の作品からスタートされていますが、流木そのままの型では表現の幅の難しさを感じられ、今のスタイルへと変化していき、この作品たちが創り上げられています。

作品名「ダルメシアン」
〈彫刻と台座込みサイズ〉幅52 高さ58 奥行33cm
〈彫刻本体のみのサイズ〉幅52 高さ32 奥行33cm
〈8角台座サイズ〉22cm
〈重さ〉5kg
※作品に台座は含まれます

木の根元の流木を活かして製作された「ダルメシアン」。こちらは流木の段階で犬の存在感をかなり放っていたようで、犬種の決めてとなったのは「耳の流木」とのこと。こちらの耳は、一切の加工も着色も無く、まさにダルメシアンの耳のためにあるかのような流木。本体の流木よりも、それ以外の耳や角などの流木パーツが重要になることが多々あるそうです。

手前の作品名「山羊」

公式Instagramでは、「山羊」の彫刻を施す前の原型の流木をアップされていますが、全く山羊の感じがないところからスタート。流木の表情を活かし、「この流木にはどんな動物が隠れているのか?」と見方を変え、しばらくの間は睨めっこ状態が続くそう。様々な案を模索していても、それがしっくりとこない場合は、別の流木にチェンジしたり。方向性が少し見えてくると、ざっくりとチョークで全体像を描き、その方向性が決まれば、ひたすら加工作業。なるべく流木の樹皮の雰囲を残しつつ彫刻しますが、その動物らしいフォルムラインは必ず表現するように削っていき、あえて荒々しい流木の表情を残したりも。そして着色工程に入ると一気に生命が宿り、最後に壊れた古い欅の座卓などをリメイクして支持台を製作し完成。

奥の作品名「インパラ」

「インパラ」の特徴的な角を製作してみようとチャレンジされた作品。形状は流木そのものですが、角表面は全体に彫刻を施しています。インパラ本体は根っこの角度を利用し振り返り様を表現。

左作品名「ボルゾイ」

流木の樹皮のウネリが、くるくるとした柔らかな巻き毛を持つ「ボルゾイ」の毛並みに見立てられ、耳は別の流木をあしらい製作。細長い鼻の犬種である「ボルゾイ」の気品溢れる特徴も。

右作品名「驢馬」

最初に流木と向き合った時は馬のようなシルエットが見えたようですが、ノーズ辺りが短かかったこともあり、ロバに変更。馬の彫刻はよく見かけますが、ロバの彫刻はあまり見ない気がし、そんなニッチなところもお気に入りとのこと。シュッとした馬よりも、ボテッとした感じが可愛い「驢馬」。頬辺りの茶色の毛並み部分の色は、今回着色せず流木本来の色。色の塗装もできるだけ流木そのままの深みのある色でやりたいようですが、彫刻部分との境目を分かりにくくするために、着色することが多いとのこと。耳は、別の流木を使用。海岸で見つけた時に「まさに耳」と思い手にした流木で、他の流木とはちょっと違う、変わった表皮で、とても印象の強い流木だったようです。その「耳」が上手くハマった作品となります。

左作品名「ドーベルマン」
〈彫刻本体サイズ〉幅41 高さ34 奥行22cm
〈8角台座サイズ〉22cm

元の流木の色合いが、黒い短毛の毛並みに見えたのをきっかけに「ドーベルマン」を発想。賢く逞しい印象がある犬種ですが、強さの中にも優しさが感じられるように表現。「ドーベルマン」は噛まれたり掴まれたりすることを防ぐためにも断耳するため、ピンとした立ち耳が印象的ですが、こちらは別の流木を取り付けています。着色はしていますが、形状の9割は未加工。この耳を見つけたこともあり、「ドーベルマン」をモチーフにしたとのこと。

右作品名「馬」

立髪のような折れた断面が印象的だったため、「馬」をモチーフにした作品。流木を活かした部分は耳の節穴。丁度良い位置に節穴があり、それを耳に見立てるために、耳の形に削り出しています。眼の周りの流木の質感と立体感。グレーの肌の箇所は、ほぼ流木のままで、力強い「馬」の頬顎を感じる仕上がりに。耳後ろの大きな穴から額の亀裂に繋がった穴も、面白い仕上がりとなっています。リアルな馬を意識しながらもアンティーク木馬のイメージも取り入れられているとのこと。

作品名「獅子」

流木の折れたささくれを活かし、獅子の立髪に見立て「獅子」を製作。厚みが薄い流木だったため、立体感を出すのに少し苦労されたようで、何度も何度も修正を繰り返して完成させています。流木に向き合う時間がとても長く、見立てが難しかった作品でもあるようで、流木の中に「獅子」が見えた瞬間の喜びは一入だったようです。

流木彫刻は、ただ一方向から観るよりも、360度の様々な角度から観ることで、その魅力がより大きく感じ取れます。「ダルメシアン」が御主人に向ける愛犬の暖かな眼差しを表現しているかと思えば、角度を変えることで、哀愁に感じたりと、角度もさることながら、その作品ごとに観る人の心持ちで変わることもありそうです。

流木に命を吹き込むように、「動物」という「生」ある題材ゆえに、眼の構造も大切にされており、一体毎に進化を遂げるよう、精魂込めて製作に臨まれているようで、その作品の殆どが片眼となります。

流木彫刻は、流木形状の都合ですべてを作り込めません。しかし、すべてを作りきらないからこそ生まれる「欠けた美」があると彼は云います。自然の経過によって生まれた質感や形状は唯一無二であり、だからこそ、二つと無い樹皮の表情や、角や耳などの流木枝も面白く感じるのだと。

作品名「猪」

スーッと流れるような横筋を「猪」の毛並みに見立て製作。胴体はないものの山々を駆け巡っているようにも伺えます。

作品名「鷲」

納得行くように再製作し直した作品でもある「鷲」。流木彫刻のファンに、よく眼を褒められたり、「生きているみたい」と言ってもらうことが多く、天邪鬼な一面を持つ彼は、「その両方を表現しないとどうなるのか?」と気になり、流木動物の生命を奪い、眼を閉じさせてみようと思い立った作品。実験的に、「それでも流木彫刻作品として魅力が残るのか?」を疑問視し挑戦。ただ生命を奪うだけでは切なく思い、続く生命を「植物」という形で「生命のつながり」を表現した作品に。台座の流木との相性も見ものです。

〜樹木として生命が終わり流木になり、動物彫刻として新しい生命が宿り、
生命が終わった「鷲」に植物が根付き、また新しい生命がつながる〜

ネット上ではお目にかかっているものの実に10年振りに再会できた友人。流木彫刻を始めたきっかけや、これまでの作品が生まれるまでの経緯、そして、次なる展望に向かい取り組まれている様子も直接伺え、とても楽しいひと時を過ごせました。

定期開催されており、以前も伺った「ビンテージポスター展」も同時開催中。主催はもちろんアートコレクターである宿里博(Hiroshi Yadori)さん。

宿里さんは、開催期間中は常時在廊される予定です。

「風船を持つ少女/Banksy(バンクシー)」

2002年にグラフィティアーティストのBanksy(バンクシー)がロンドン各地で開始した一連のステンシル壁画のポスター。

左ポスター「クレオール人ダンサー/Henri Matisse(アンリ・マティス)」

原画は1950年制作のHenri Matisse(アンリ・マティス)の切り絵。
フランス政府・観光局が制作したニースを誘致するためのリトグラフ・ポスターで、
版権はフランス政府が持っているため、現在では入手不可能となる貴重なポスター。

右ポスター「夢遊病人形/奈良美智」

日本青森県弘前市出身の画家・彫刻家・現代美術家である奈良美智のポスター。

マティスの原画作品を紹介した本も添えられています。

「新城ほうじ茶」

アートコレクターの他に、デザイナーとしてデザインを手掛ける宿里さんがパッケージデザインを施している「鈴木製茶」の「有機新城ほうじ茶」も販売中。高温で焙煎したお茶となり、カフェインが少なく、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い世代で楽しめる香ばしく後味スッキリのほうじ茶です。

展示会ということもあり、いつもより少し商品点数の多い賑やかな店内。

今までは自分で買付や製作をして自分で販売する、自己完結的な仕事の仕方をしてきたというヒナイジユズルさん。しかし、流木彫刻を始めてからは、持ち運べる自身の武器ができたことで、積極的に外に出て、皆と絡んでいきたいと思うようになったとのこと。これは自分にとっては、とても大きな変化だと話してくれました。

今後はたくさんの彫刻作品を車に積み込み、全国各地に赴き、個展の旅に行くのが夢の一つにあり、海外進出も視野に入れられています。流木彫刻を始めたことで、今までは思うことがなかった、そんな夢を想い描くようになっているそうです。そんなアーティストとして活躍されるヒナイジユズルが手掛ける流木彫刻の作品が、ここまで一挙に見られる機会はそうありません。次回は東京・銀座での展示会を予定されておりますが、浜松近郊の方は、是非こちらに足を運ばれてみてください!

Learner’s/ラーナーズ
住所:静岡県浜松市中区富塚町3003-36
TEL:053-476-8571
営業時間:平日13:00〜20:00、土日:11:00~20:00
定休日:火曜日
駐車場:店前に有(無料)
ビンテージポスター展/流木と動物彫刻 ヒナイジユズル展
同時開催期間:3月2日(土)〜3月11日(月)
※期間中の3/5(火)は定休日
アートコレクター:宿里さんは開催中在店予定
アーティスト:ヒナイジユズルさんは平日14時以降は在店予定
https://www.learner-s.jp/

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