今回は「許容」というテーマについて書き綴ってみたいと思います。
ずいぶん昔の話になりますが資生堂の代表取締役社を務める魚谷氏がとあるインタビューで
「真のグローバル化には異質を許容する度量を」
と言われていたことがありました。確かコカ・コーラの会長だった時だと記憶しています。
海外戦略において外国人を受け入れるにあたりトップに必要なのは「異論を受け入れるマインド」だと書かれていたのですが、海外戦略だけでなくて、どの場合もこの考え方は重要だと思います。新規プロジェクトにおいてにおいても、当初、反対意見が多かったプロジェクトこそ成功することが多いものです。今までにないような価値観で新しい流れを作ろうとすると大体のケースで周囲から足を引っ張られたり反対意見が多く出てきます。しかしながら反対意見を言う人とコミュニケーションを取らないようにすると同じような価値観の人ばかりになってしまい何の発展性もありません。
反対意見に対して聞く耳を持ち、そういう意見もあるんだなと客観的に分析できる心の広さが重要なのですがこれはなかなか難しいことです。反対意見とは、違った角度から物事をみてリスクを分析した新しい考え方であって当初の考え方をよりブラッシュアップさせる材料となります。
ビジネスにおいてはそのプロジェクトの本質的な価値を理解しようとせず過程や結果に関係しない個人的な感情で足を引っ張ったり反対しているだけの意見であればほんとんど聞く必要はないのかもしれません。目的を達成するために集中すべきなのにもかかわらず、このような生産性のない個人的感情を持ち込むのは私が最も必要ないものと考えています。
一般的にできるだけ自分の意見に近い、それに賛同してくれるようなイエスマンを置きがちです。そしてその組織を維持しようとあらゆる行動や考え方をコントロールしがちです。誰も何も意見しない、そういう会社や組織をよく目にします。反対意見をきちんと聞ける自分作りというのも大変ですが反対意見をきちんと言えるような優秀な人材を集めることも大変難しいことです。
その点については自分の弱い部分を周囲に見せることができないとそういう人が集まって来ないものです。自分の弱点は誰にも見せたくないものです。それを見せまいとして自分を鎧で守り出すと、鎧の重みで身動きがとれなくなります。より自分と違う発想で能力の高い人を集めるにはそんな鎧は脱ぎ捨てて、プライドを捨てて相手の能力を認め、任せることが重要なのです。
このような考え方はデールカーネギーの「人を動かす」でも紹介されていますので転載しておきますのでご覧ください。
■人を説得する十二原則■
「意見の不一致を歓迎せよ」
“ふたりの人間がいて、いつも意見が一致するなら、そのうちのひとりはいなくてもいい人間だ”という言葉を銘記すべきだ。思いおよばなかった点を指摘してくれる人がいたら感謝しなければならない。この指摘は、重大な失敗をあらかじめ防ぐきっかけをつくってくれているのだ。
「相手が反対するのは関心があるからで、大いに感謝すべきだ」
わざわざ時間をかけて反対意見を述べてくれるのは、あなたと同じ事柄に関心を持っている証拠だ。相手はあなたの手助けをしたいと願っているのだと考えよ。そうすれば、論敵は味方になる。