台北市中山区の大直地区に、同地区初の高級飲食店ビル
「Hasmore Building(ハスモアビルディング)赫士盟大樓」が2014年9月末にオープン。
5階には「ミシュランガイド」で3つ星評価を得た
六本木の日本料理「龍吟」の台湾1号店「祥雲龍吟」のオープンをはじめ、
1階には英誌「レストランマガジン」が主催する投票イベント
「Asia’s 50 Best Restaurants」の2015年度で5位にランクインしたシンガポールの仏料理店
「Restaurant André レストラン・アンドレ」の
江振誠 André Chiang(アンドレ・チャン)シェフの監修するレストラン「RAW ロウ」と続き、
2~3階は「Hasmore Ltd. Group(ハスモアグループ)赫士盟集團」のブランドが占め、
2階に日本のラーメン店「ラーメン凪」と
アメリカンカジュアルレストラン「Chili’s Grill & Bar チリズ・グリル&バー」が、
3階にはステーキ店「RUTH’S CHRIS STEAK HOUSE ルース・クリス ステーキハウス」が入店。
5店舗のレストランがこのビル内に進出し、
このエリア一帯は、内湖科学園区がある他、近年は高級住宅が相次いで建設されており、
富裕層の消費力が期待され、大いに話題を呼んでいます。
「Hasmore Building(ハスモアビルディング)赫士盟大樓」は、
香港を拠点に中台で海外飲食店ブランドの代理展開を手掛ける
「Hasmore Ltd. Group(ハスモアグループ)赫士盟集團」の本部を兼ねており、
セメント大手である「嘉新水泥股份有限公司」との合弁事業として建設。
投資額は、15億台湾元(約50億円)を折半出資。
地上5階、地下3階建ての延べ床面積はおよそ1,000坪。
内装は、日本やデンマーク、パリなどの世界的に有名な建築会社が手掛けられています。
前日はこちらのビル5Fの「祥雲龍吟」へ伺わせていただきました!
日本料理「龍吟」が台北進出!「祥雲龍吟」至極の哲学料理とティーペアリング
http://lade.jp/diary/travel-diary/taiwan/43712/
2014年12月9日にオープンして以来、レストラン「RAW ロウ」は、
台北で最も予約困難なレストランとして話題を呼んでおりますが、
今回、奇跡的に予約を取ることができました!(嬉喜)
今年2016年の「Asia’s 50 Best Restaurants」は、
バンコクにてその発表及び授賞式が2/29に執り行われ、
昨年同様、1位はバンコクの「Gaggan」、
台湾では昨年同様、女性シェフとして注目を集める陳嵐舒(Lanshu Chen)の
「Le Moût Restaurant(ラ・ムー)樂沐法式餐廳」が30位にランクイン!
さらに、こちらの「RAW ロウ」が47位と初ランクインされました!(Wonderful!)
世界中の美食家たちから注目を集める江振誠 André Chiangシェフの新たな挑戦でもある、
素晴らしい台北支店「RAW ロウ」を紹介致します♪
店内に入ると、そこは贅沢なカフェのようなウェイティングスペースがゆったりと設けられており、
南方松をふんだんに使用し、ナチュラルな素材でありながらも
スタイリッシュで斬新なデザインを用いたバーカウンターの奥が
およそ60席(内シェフズテーブルを含む)のメーンダイニングスペースとなります。
こちらは現状、常に半月分の予約が埋まっており、毎時12時(正午)に15日後の予約をスタートさせ、
インターネットのオンラインのみの受付となっています。
開始直後ほんの15秒程で、およそ60席分のランチとディナーが満席になってしまうとのこと!(驚!)
アクセス数は10,000アクセスもあるようで、その倍率は何と100倍にも及びます!
それほどの人気店へと今も尚成長し続けるその理由は、訪れた者こそが知り得るのだと思いますが、
わたし達のフィルターを通して、この場でお伝えできればと思います♪
RAWは、シンガポールにある「Restaurant André」を経営している江振誠 André Chiang(アンドレ・チャン)シェフが
「生まれ育った台湾の地で、台湾の食材を使い、今まで自分が体験してきたことを台湾の人たちに伝えたい」と
2014年12月に台北にオープンさせたレストランです。
江振誠 André Chiang(アンドレ・チャン)は、1976年台湾生まれ。
もともとは芸術家を目指していたAndré Chiangですが、父親に反対され、その道を諦め13歳で日本に渡り、
山梨県甲府で母親が営業する中華料理店で料理の手伝いを始めるのですが、
いつしか、中華の世界は自分に向いていないのではないかと壁にぶつかります。
そんな時、ふとテレビで「料理の鉄人」に出演していた坂井宏行シェフの生み出す料理たちに衝撃を受け、
フランス料理に興味を抱き、その後、フランスへと渡ります。
フランスでは、モンペリエの名店「ジャルダンデ・サンス」で9年間料理の基礎を学び、
ロワンヌ「トロワグロ」、「アトリエ・ジョエル・ロブション」、バルザック「ピエール・ガニェール」、「アストランス」と、
フランス料理界で有名なグランメゾンの数々を経験し、料理人としての礎を築き上げていきます。
André Chiangは、「ジャルダン・デ・サンス」時代に「ひらまつグループ」の執行役員として活躍されている
長谷川幸太郎さんと一緒に働いていたことがあり、
修行時代、明け方から夕方まで山道を一緒に歩き回り、一緒にジビエ狩りに行った事もあるのだと、
懐かしむように当時の思い出を長谷川さんに伺ったことがあります。
お店のシェフパティシエが免許を持っていたことから、パティシエと3人で山に入り、
朝一番で猟犬を離し、雉が飛んだ瞬間、パンッパンッと銃を放ち仕留めたそうです。
後にも先にもこの日の収穫は、その一羽の雉のみ。
ヘトヘトになって帰宅し、André Chiangの母親が作ってくれたジビエ料理を一緒に食べたことが、
今でも楽しい思い出として心に残っているとのこと。
「アストランス」では「Quintessence カンテサンス」の岸田周三さんの紹介で、
短期間研修として一緒に働いていたことがあるそうで、
最近ではダイナーズクラブ主催のコラボイベントを「Quintessence カンテサンス」で開催し、
15年振りの共演を果たしています。
André Chiangは、シンガポールで「Jaan Par Andre」を立ち上げた後、
2010年10月に「Restaurant André レストラン・アンドレ」をオープンさせ、
2013年には「世界ベストレストラン50」の38位にランクインして注目を集めます。
ニューヨークタイムズでは「そこに行くだけのために飛行機に乗る価値のある世界の10のレストラン」に選ばれ、
世界中の美食家を魅了し続けています。
André Chiangは、フランスでの修行時代に学んだことはテクニックよりも
「素材をよく理解することだ」と語っています。
独立してレストランをオープンする際、自分の料理のスタイルについて再確認したいと、
すべての情報から隔離された状況に置くため、チームでアフリカ南部のセイシャル諸島に渡ります。
魚くらいしかない限られた食材の中で、ゲストに何を伝えられるのかと考え、
お客様を最も感動させるのは、料理の意味や、そこに至る過程、
そしてその背景に流れるストーリーだと再認識します。
その後、アジアに戻り、その考えをまとめ、伝統的なフランス料理をルーツにしながら、
「味覚は記憶や経験に影響される」という考えを加え完成した哲学が
「octaphilosophy =オクタフィロソフィ™」なのです。
「octaphilosophy =オクタフィロソフィ™」は、
「ダイニングでの経験は、とてもシンプルな娯楽」と考え、8つの要素で構成されています。
1. ピュア 調味料なしで素材そのものの味を楽しむ
2. ソルト 塩味ではなく海から来る天然の味わいや恵み
3. アルチザン 生産者への敬意と職人の技
4. サウス フレッシュな食材を使い、酸味が利いていて、おおらかな心を持つ南フランスをイメージ
5. テクスチャー ひとつの食材からいろんな側面を引き出すように食感を重要視
6. ユニーク ユニークな食材のコンビネーション、あるいは非常に限られた時期にしかとれないユニークな食材
7. メモリー 創造性は現在や未来からだけではなく、過去から来る思い出
8. テロワール 母なる大地への賛歌
André Chiangは、素材本来の持ち味を最大限に引き出すことを大切にしているため、
情緒的で季節感がある懐石料理にも通じています。
テクニックではなく知識の深さ、食材を知り抜いているということ。
流行やトレンドに左右されずに、誠実に自分の料理を作ることに邁進したいと語られています。
世界各国でイベントを開催しているAndré Chiangですが、
最近日本でも「LEXUS レクサス」が主催する「DINING OUT ARITA with LEXUS」のイベントに参加されています。
このイベントは、JAPANブランドの先駆けとなった有田焼と、
海と山の幸多き佐賀の食材をAndré Chiangが趣向を凝らし
「器と料理の究極のマリアージュ」をテーマに開催され多くの反響を呼びました。
佐賀に足を運び、自ら土を選んでデザインし、食材選びの細かい打ち合わせをしていくAndré Chiang。
幼いころ日本にいた経験と趣味でもある陶芸とのコラボレーションを楽しみながらのイベントだったようです。
イベント開催までの準備背景や当日の模様までを克明に、公式サイトにて配信されていますので、
ご興味のある方は、是非一度、お目通しいただければと思います。
DINING OUT
http://www.diningout.jp/
André Chiangは、もともと芸術家志望だったこともあることから自ら器も作られます。
陶芸や彫刻は頭を空っぽにでき、よいリフレッシュにもなるということで趣味として続けられています。
常に自然物をモチーフにしている点は、料理とアプローチが似ているそうです。
絵画などのアートにも造詣が深く、お店の店内には彼のこだわりのアイテムが飾られています。
そんな陶芸に興味のあるAndré Chiangに、今回わたし達は、
公私ともに親しくさせていただいているアーティスト味岡伸太郎さんの「花頌抄」をプレゼントさせていただきました。
14ヶ月間、味岡さんが野に咲く花を摘み、生け、娘はそれを撮り続け、俳人は全てに句を詠んだものをまとめた図録です。
頌は「愛でる」の意、抄は「その一部」。
つまり花を愛でた1年の記録です。
身近な野草の多くを収録し四季の野の花の図鑑でもあり、折々花の変化も楽しめます。
もうすぐ40歳を迎えるAndré Chiang。
「40歳に向けての抱負」を伺ったところ、このように答えてくれました。
40歳で何かを達成するという考えはありません。
情熱的で才能あるスタッフと一緒に料理を常に創造し続けることが大切だと思っています。
私の創り出す料理や空間、
台湾料理には、まだ日本の寿司のように世界に通じる料理はなく、
豊かで質の良い食材に溢れた台湾だからこそ、今、抜本的な変化が求められているのです。
伝統に基づきながらも、自分が世界で学んできたことを合わせ、台湾の食材の豊かさと楽しさを伝えていきたい。
そして台湾のライフスタイルを、世界へと発信していきたいのです。
André Chiang
Zor Tan(ゾア・タン)シェフ
1986年シンガポール生まれ。
幼少期から芸術的な料理に興味関心があるZorシェフは、
シンガポールのSHATEC大学でホテルマネージメントについて学び、2009年に卒業。
André Chiangがスイスホテル ザ スタンフォードにオープンさせた「JAAN par André」で
フレンチを勉強しながらシェフとしての才能を開花させ、
2010年10月に新しいコンセプトでオープンした「Restaurant André レストラン・アンドレ」のシェフとして抜擢されます。
2012年からスペインの「Diverxo」や「El Celler de Can Roca」で実習生として、
最先端のガストロノミーを習得し、2014年に「RAW ロウ」のブレインとして活躍し、現在に至ります。
RAWの店内に入り、一番注目したいのは彫刻のような滑らかな流線を誇り、
南方松をふんだんに使用し、上下前後をつなぐその幅、何と!65mにも及ぶ巨大なカウンターです!
インテリアを手がけた「Camiel Weijenberg」は、André Chiangと共同でこの店舗デザインを2013年から設計。
まるで巨大な鯨とも、また大きな近未来の船とも観て取れるようにな不思議な流線形。
伝統的な造船技術を用いて木を切り出し、
店内に施したデザインのその全てに「角」がないよう設計されているそうです。
様々な角度からの印象が異なり、
強烈なインパクトとして鮮明に残る迫力溢れるこの内装デザインは、
つい先日、「Restaurant & Bar Design Awards 2015」のASIA部門で最優秀賞を受賞しています!
余談ではありますが、こちらの内装はトイレも趣向を凝らしてあり、
ワイン樽をイメージされ、とてもユニークな造りをしているため、
食事に訪れた方は、トイレに入ることもお忘れなく♪
メーンダイニングエリアには、
トネリコの木で作られたカスタムデザインのテーブルと椅子が備わっています。
レストランの3.8mの高さの天井高に引けを取らない、どっしりと厚みのあるテーブルトップは、
それぞれ異なる形状をしています。
RAWに何度足を運んでも、そのテーブル毎から映し出される風景は、その都度異なり、
訪れる毎の楽しみを見出すことができるデザインとなります♪
メニューは現在、ランチコースならびにディナーコースも同じ1コースのみとし、
料理8種1,850TWD(日本円にしておよそ6,845円)となります。
(いずれもパンと飲み物代別、サービス料別途10%)。
料理の内容は季節によって変わり、高級レストランとしては庶民に優しい価格です。
この価格はシンガポールの価格の3分の1程度とのことなので、
実際には、André Chiangが調理しているわけではないのですが、
一流シェフAndré Chiang監修の料理が味わえるということで人気を博しています。
60席(内シェフズテーブルを含む)ある店内はインテリアにも凝っており、食事をするだけでなくインテリアも楽しめます♪
RAWとは、「不完全な」または「原料のまま」、「未熟な」などの意味を持ちますが、
ここでは、そうネガティブに捉えるのではなく、
自然の赴くままに
種を蒔き、その土地に育てられ、ゆくゆくは大樹に育っていくことを願い、
ポジティブな考えのもと名付けられています。
この台湾で育ち、André Chiangを師に仰ぐ有志たちが、
誇りに思う台湾スピリットを開花させていく場でもあるのです♪
こちらは、20席から成るシェフズテーブルは、最低8名以上の予約が必要です。
(※8名以下の場合は、ミニマムチャージ16,000TWD必要)
キッチンの様子を伺いながら、特等席ともいえるこちらのテーブルで食事を楽しむのも良いでしょう♪
今回、私達のテーブルは、日本語が話せるスタッフが付いてくれました(謝謝♪)
写真右から、ディレクターの何 敏瑜(Vivian Ho)28歳、
ホール担当のYung Chiao Lee(Emily)30歳、キッチン担当の康 仁維(William)30歳の3人です。
3人とも日本をとても好いてくれていて、日本語がとても上手です!
今回、予約の流れや取材のやり取りをマネージャーのVivianに担当していただき、本当に助かりました!(感謝♪)
3人の中でも特にWilliamは、日本語の読み書きも素晴らしく、
つい最近も休暇中に来日し、東京の一流レストラン巡りをされたようで勉強熱心です!(凄!)
可愛いEmilyは、現在恋人募集中とのこと!(日本人男性限定で:笑)
異国の地で日本語が話せるスタッフが居てくれるというのは、とても心強いですね♪
シェフズテーブルに一番近いテーブル席に案内していただいたため、
わたし達のテーブル席からもキッチンの様子がありありと伺え、ライブ感に溢れています。
今回は、ソムリエがセレクトする
「ワインペアリング(グラス3杯)」TWD1,200(日本円にしておよそ4,440円)もお願いしました。
オーダーを済ませると、
こちらでは、水を少し含ますだけでモコモコと膨れ上がる圧縮性のお手拭きを採用されており、
みるみる内に小さなタブレットが上質なお手拭きに早変わり!(驚)
これもまたユニークな演出の1つです♪
各テーブルの各椅子毎に内蔵されている引き出し。
大きくシンプルに野菜のデザインが施された厚紙はメニューとなります♪
メニューの下には、食事のためのカトラリーが6セットずつ、また、ナプキンを収納できるようになっています。
スッキリとした無駄のないデザインのテーブルは、快適な食事のための「ステージ」として、
André Chiangの想いを汲み入れ設計されています♪
RAWでは、メニューのコンセプトに台湾の暦の「二十四節気」を用いています。
二十四節気とは、1年を24に分けた季節の概念で、
台湾の生活習慣やライフスタイル、食材の新鮮度など、
二十四節気に深く関わる「季節料理」を提供したいと考えられています。
これは、自らを“コントロールフリーク“と呼び、
一皿一皿の料理をすべて計算し尽くすほどに、大の数字好きであるAndré Chiangの得意分野です!
フランス料理の基礎をベースに、テイスト、アロマ、ボディにこだわり、
季節毎に1つのコースを組み立て、1年を通じて24のコースを提供。
そうして作られたRAWのメニューは、24の季節に沿って提案され、
それぞれに最も季節性の表れたものが使われています。
まさに、キュイジーヌ・テロワール。
RAWでの食事は、「台湾を知る」、「台湾を味わう」ということに繋がるのだと思います♪
「サンプレグリノ」180TWD(日本円しておよそ670円)
赤い星と「S.Pellegrino」のロゴが特徴のイタリアのミネラルウォーター。
こちらは、VOGUEとのコラボレーションデザインです。
水質は硬水で炭酸を含み、きめ細やかな炭酸とマイルドな喉越し♪
「PAN 麵包」150TWD(日本円にしておよそ560円)
自家製のライ麦パンは、香ばしくパリッと焼かれており、中はもっちりと甘みと味わい深さが楽しめます。
滑らかな自家製バターには、チョコレートとニンニクとヘーゼルナッツのオイル、そばの実を添えて。
パンの美味しさも然ることながら、
この自家製バターは、今までに味わったことのないバランス感覚を匂わせる味覚で脳に衝撃を与えます!
複雑な香り、滑らかさとコリコリとした食感のバランス、
そこに折り重なる味わい深さが相まり、例えようのない美味しさです!
「RYE, LIVERS, SHALLOT 裸麥 肝醬 紅蔥」
濃厚な鴨のフォアグラをシート状にし、赤タマネギ、チャービル、ディル、粉ミルクと共に、
ライ麦のクランチビスケットの上に添えて異なる食感を楽しみます!
まるで、緩やかな流れの川の上に差し掛かる橋のような美しい佇まいを見せる湾曲したクランチ。
サクサクとした食感と、ねっとりと滑らかなフォアグラが絶妙なボリューム感で満足できる一品!
「SAKURA SHRIMP, BLACK RICE 櫻花蝦, 紫米薄片」
海老で作った油とニンニクが入ったマヨネーズを桜海老に付けて、カリッと香ばしく揚げています。
パウダー状になった桜海老の香りが口中一杯に広がり、
古代米の黒米で作ったカリカリ食感のチップスと良く合います♪
RAWにソムリエは2人おり、
わたし達のテーブルは、Kimberly Changが担当してくれました♪
「SIEUR D’ARQUES PREMIÈRE BULLE ROSÉ 2012」フランス ラングドック
繊細且つ永続的なきめ細やかな泡立ち、サーモンピンクのような美しいロゼ。
爽やかな白い果実の味わいと程好い酸味で余韻は長く優雅で、食事の始まりとして最適です♪
常にキッチンは開放されており、その様子を伺い知ることができます。
およそ20名ほどに及ぶ若き有志たちが一心不乱に繰り広げるキュイジーヌ。
その一皿に込める熱量が半端なく伝わってくるのです♪
「UNI, PEAS, PEANUT BUTTER 海膽 豆 花生奶油」
ベースはピーナッツバターソースに、サヤエンドウの豆を敷き詰め、
アスパラガスのロースト、薄くスライスした生アスパラガス、サヤエンドウに生ウニを添えて。
中にはサヤエンドウのアイスクリームが入っており、とても爽やかでリッチな味わい!(驚!)
野菜本来の味わいがこれほど美味しいと感じるのは、こう言っては失礼かもしれませんが、台湾では稀で希少です!
生ウニも新鮮で、臭みはなく、グリーン野菜の甘みに良く合います。
ローストしたアスパラと生のアスパラを提供し、
同じ野菜ながらにそれぞれの味わい方で違った旨味を引き出しており、
それを一皿で完結させ、楽しめるのもまた素敵です♪
「PORK EAR, KENYA BEAN, LEEK 豬耳朵 四季豆 青蒜」
ミミガーのフライに自家製七味を振り掛けて、
小玉ねぎのスライス、ガーリックパウダー、トマト、ニンニクの芽、サヤエンドウ豆を添えています。
器に映える美しい緑色の粉末ソースは、にんにくの芽がベースとなっており、
全て混ぜ合わせて食べるようお勧めされました!
コリコリとしたミミガーは、複雑な香りを放つ自家製七味で覆われ、上品な激旨おつまみに大変身!
自家製七味の中身は企業秘密だそうですが、
わたし達の大好きなケイジャンスパイスのような風味を醸し出しています♪
「Cotes du Jura les Sarres Chardonnay 2010」フランス コート・デュ・ジュラ
1997年に独立し、商業的なワインではなく、
自分たちが「食事の時に飲みたいワイン」を造るという方針でワイン造りをはじめるジャン・リケール。
モンラッシェ(Montrachet)同様、ジュラ紀からの古代の土壌を持つ、
フランス とスイスの国境に近い山岳地帯ジュラ地方の畑で育てた葡萄で造り出す稀少な白ワインです。
葡萄品種:シャルドネ。
たっぷりのミネラル感と拡がりをみせるコク、
しっかりとした深い味わいと繊細で柑橘系果実のような酸味が絶妙に絡み合い、
食欲をそそる香りと共に、
切れのある酸でしっかりとした構造を持ち、余韻を楽しめます♪
「SQUID, AUBERGINE, SAGO 小卷 茄 粉圓」
烏賊の頭の中に烏賊ゲソや
ピーマン、パプリカ、茄子などを微塵切りにし、ラタトゥイユをイメージしたものを詰めています。
バジルとレモンジュースのソースにワカメ、フェンネルのスライスを添えて。
台湾といえば、タピオカですね!
料理にもこのユニークなもちもちとした食感を用いています。
さっぱりとしたサラダ仕立てで美味しいです♪
「KAFFIR LIME, KAHLRABI, SCALLOP 青檸葉 大頭菜 干貝」
千切りにしたレタスをアサリと和えてスライスした帆立とコールラビでドーム状に包み、
タイのトムヤムクンをイメージしたスパイシーなスープを注ぎます。
レタスのシャキシャキ感と浅利の旨味をドームで逃がさぬよう包み込み味わう一品。
レッドカレーペーストをベースにキノコ類やレモングラス、ライムの葉などタイハーブを用いて作ったスープは、
辛味はマイルドで程好い酸味が染み渡る上品な味わいです。
André Chiangの奥様がタイ人だからこそ生まれた創作料理でしょうか♪
わたし達は、今回も日本から富山の友人で陶芸作家である「釋永岳 Gaku Shakunaga」くんの器を持参していたため、
こちらの黄 以倫 Alain Huang(アラン・ホワン)シェフにも「器と旅するシリーズ」と題して、
彼の作品である「漆黒シリーズ」と「年輪シリーズ」を紹介し、
「RAW」の料理とコラボレーションしていただきました!(感謝感激!)
今をときめく新進気鋭なRAWのメーンシェフAlainは、どのように表現してくれるのでしょうか♪
黄 以倫 Alain Huang(アラン・ホワン)
1982年7月20日生まれ。
国立高雄応用科技大学でフランス料理と製パンについて学び、
卒業後は世界中のあらゆるコンテストに出場し、トップシェフの技術を習得していきます。
その後、「Restaurant André レストラン・アンドレ」のシェフに加わり、
フランスでM.O.Fを受賞した「Philippe MILLE」、
ミシュラン3つ星に輝いた「S.T.A.Y.、Justin`s signatures」、「Restaurang Jonas」で技術を磨きます。
2014年、「RAW」のメーンシェフとして抜擢され、
伝統的なフレンチ技術を継承しながらも最近のビストロノミーを取り入れ、新しい台湾の味を世界に配信しています。
「SPANISH MACKEREL, CARROT, SMOKED 馬加 胡蘿蔔 糖燻」
藁でスモークした鰆のミキュイに、
藁でスモークした香ばしい人参を微塵切りにしてソース代わりにしています。
人参のロースト、レッドオニオン、チャービルを添えて。
こちらも人参の味わい方を2種の調理法で分けて、同じ野菜で違った食感や味わいを楽しみます!
スモークし微塵切りの人参は大地の香りと食感を大切にし、
ローストされた人参は瑞々しさと甘みを感じさせ、主役の鰆に引けを取らない美味しさです。
それぞれの食材が一皿で生み出す一体感が半端なく押し寄せる料理。
そこに釋永岳くんの「漆黒シリーズ シャーレ」を用いてくれました!(謝謝!)
漆黒の器に余白と立体感を持たせるよう中央に盛り込まれ、
人参の赤々しさが美しく映えています♪
「Coteaux de Peyriac Bel Serrat」フランス ラングドック ミネルヴォワ
フランスのロール・ミネルヴォワの村にある80haのドメーヌ・ラ・トゥールBoisée。
葡萄品種:メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%。
カベルネ・ソーヴィニヨンは、スパイスと深さのタッチをもたらしながら、
メルローは、フルーティーでしなやかな味わい。
芳香はフルーティー且つスパイシーで強いタンニンを持ち、しっかりとしたボディ感が楽しめます♪
「SHORT RIB, GRANOLA, POTATO 牛 穀 薯」
56度程度で36時間かけて低温調理したアメリカ産ビーフのカルビを
大麦や米、松の実などを揚げたものと一緒にいただきます。
オートミールで作ったチップス、
下には、ポテト、卵黄、黒ニンニクの香ばしいピューレを添えて。
玉葱とジャガイモを焼いたものと鶏肉の出汁をベースにしたブイヨンを掛けて完成させます。
こちらは農場で牛が餌を食べている様子をイメージされたとのこと!(面白い!)
丁度、「大地」をイメージさせる「年輪シリーズ」をこの料理に用いてくれ、
抜群のコラボレーションです!(謝謝!)
わたし達は通常、カルビの脂が苦手であまり食さないのですが、
周りの雑穀類と一緒に頬張ると、脂のしつこさがなく、甘みに変わって美味しくいただけました!
黒ニンニクのピューレも卵黄と混ざり合い、濃厚な香ばしさが加わり相性抜群!
温かな風味良いソースと共に牛になったつもりで、その味わいを楽しみました(笑)
前回、「祥雲龍吟」のスタッフのJoyce Shihから
「RAWは何度足を運んでも、その都度わたしに感動と驚きを与えてくれました!」と伺っていたのですが、
まさにその言葉通り、初来店のわたし達ではありますが、
接客やインテリア、そして「octaphilosophy =オクタフィロソフィ™」に基づいたキュイジーヌで、
すべてにおいて、ワクワクとさせる感動と引き出しの無限さに驚きを与えてくれたのです!
「次回は一体どんな料理が飛び出してくるのだろう?」と、
この時既に再訪を誓う自分がおりました♪
「RAWオリジナルパイナップルケーキ」
台湾で有名なスイーツの1つでもあるパイナップルケーキを再構築した
RAWオリジナルパイナップルケーキです。
こちらは先日、André Chiangが日本の「代官山蔦屋書店」とコラボイベントを果たした時に
提供された「台湾味覚新体験」の1品です。
今回、わたし達ladeにも特別に提供してくださいました!(謝謝!)
主役のパイナップルは、「若いもの、完熟したもの、完熟し過ぎたもの」の3種を使い分け、
メーンの生地となるババロアには、完熟パイナップルを用い、凍らせて温度と食感の妙を表現しています。
コンフィチュールには、完熟し過ぎたパイナップルを用い、
一番外側の生地には、伝統的に使われるクラスト、ブリオッシュ生地、バタークッキーをくだいたものをミックスしています。
最後に、若いパイナップルの1滴のジュレをトッピングさせ、作り上げたオリジナルパイナップルケーキ!
ひんやりと冷たく、シャキシャキとした食感、爽やかな甘さが広がり、
そこに、キャラメルのような風味のあるコンフィチュールで全体の味をまとめ上げ、
上質な風味で全体を包んでいます。
バニラアイスにココナッツミルクのクリームを添えて。
台湾で食べたどのパイナップルケーキよりも美味しく、印象深く味わうことができます♪
「SANGRIA, HERB TEA, ELDERFLOWER 桑格利亞 青草茶 接骨木花」
ハイビスカスのムースと、サングリアのスムージー、桃、さくらんぼ、ローゼルのコンポートに
中国で漢方薬として使われる青草茶を使ったゼリーシートを纏わせて。
桜のようなエディブルフラワーを添えています。
このデザートは美しく美味しいだけではなく、面白いのが、
中にパチパチキャンディを忍ばせており、
ところどころに、口中で微電流が流れるように弾けるパチパチ感が何とも言えません(笑)
幼い頃にパチパチキャンディで楽しんだ記憶が蘇り、つい笑みが溢れてしまいます♪
「COFFEE 珈琲 FIKA FIKA CAFE(Kenya AA)」220TWD(日本円にしておよそ815円)
こちらでは、先日わたし達も訪れた伊通公園の目の前にある
「Fika Fika Cafe」の珈琲豆を使用しています。
珈琲豆は、「Kenya AA」。
雑味がなく、すっきりとしたキレの良さの中に、
ワインのように香り高いフルーティな味わいと香りが広がる飲み口。
食後の〆の一杯には、程好い軽やかさもありお勧めです♪
「OOLONG TEA 烏龍茶」220TWD(日本円にしておよそ815円)
阿里山高山烏龍茶を使用。
花のような香りと丸みを帯びた優しい甘みを持った滋味深き烏龍茶は、
食事の後の胃をスッキリとさせてくれます♪
ゲストのコースをすべて出し終え、キッチンの片付けに専念されるスタッフたち。
食後にキッチンを見せていただけるとのことで足を運ぶと、
既に綺麗に整頓されたキッチンには、一仕事をやり終えた安堵感が浮かぶスタッフの顔も観られます♪
嬉しいことにサプライズでキッチンの中に入れていただき、
キッチンスタッフ全員と一緒に記念撮影をさせてくれました!(感激万分!胸が一杯です!)
活き活きと目を輝かせ、André Chiangの下で働くことの誇りを胸に、
大きな夢や希望に満ち溢れた若き有志たちが集結!
彼らのチームワークが生み出すパワーの大きさは、計り知れないものを感じさせてくれました♪
こちらは、ホールスタッフとバースタッフが集結!(謝謝!)
目映いばかりのその笑顔からは、「接客が好きで楽しくて堪らない!」といった、
フレッシュさを大いに感じさせてくれました!
ゲストの満足度が高く、リピーター率が高いのは、
こうした志高きスタッフたちのおもてなしの心があるからだと思います♪
月に1度はAndré Chiang自らが、ここRAWに足を運び、
彼らと共に常に料理を創造し続けています。
「RAW」は、台湾の若き有志たちのエネルギーを糧に、大きな大きな大樹へと成長し続けることでしょう♪
RAW
住所:台北市中山區樂群三路301號1樓
TEL:+886-2-8501-5800
(インターネットのオンライン予約のみ:完全予約制)
営業時間:Lunch:11:30~14:30、Dinner:18:00~22:00
定休日:月曜、火曜日
http://www.raw.com.tw/