浜松「ブーランジェリー カセル」夢破れ脱サラし人生を変えた運命の出会いを経て人気店となったパン屋!

パリのお洒落な一角にあるパン屋を彷彿とさせる素敵な外観に生まれ変わり、昨年2021年11月にリニューアルを迎えた「Boulangerie Kaseru(ブーランジェリー カセル)」!

こちらは、元々富塚にあったパン屋「Pain de Noel(パン・ド・ノエル)」が染地台に移転されたため、脱サラしてオーナーブーランジェとなられた小川宜孝(Yoshitaka Ogawa)氏が、その跡地を利用し、新店として2008年10月30日にオープンさせた人気のパン屋です。オープン当初は真っ白な雑貨店のような可愛らしい外観でしたが、開業されて14年目を迎えるにあたって、外壁等の老朽化も伴い、ガラッとイメージチェンジを計り一層され、リニューアルオープンしています!

真っ青な空色に映える鮮やかなブルーグリーンの外壁にワインレッドのオーニングが良いアクセントとなり、まさにパリのお洒落なパン屋を思わせる外観に生まれ変わり、以前にも増して人目を惹く空間となっています!この外壁のブルーグリーンは小川さんの好きな色でラッキカラーでもあることから、望まれてセレクトされていますが、このリニューアルは、常連客の間でも大好評とのこと!

「カセル」は、私たち夫婦も富塚に住んでいる時にお世話になっていたパン屋ではありましたが、引っ越しをしてからというもの随分とご無沙汰をしておりました。しかし、今回、飛騨高山の有名ブーランジェリー「TRAIN BLEU(トラン・ブルー)」を取材させていただいた際に、オーナーブーランジェの成瀬正(Tadashi Naruse)氏の口から「浜松でも私の弟子が店をやっていますよ」と、小川氏が愛弟子であったことをお聞きし、10年振りぐらいに再訪した次第です!

タイトルにも記したように、「カセル」の小川氏は、脱サラでパン屋になっています。小川氏はお店のブログに事細かに御自身のことや、お店のこと、パン作りのことなどを記されており、私は再訪するにあたって、ブログ記事を遡って拝見し、その事実を知るのです。

小川氏は、若かりし16歳の頃、バイク乗りに興味が湧き、その思いはいつしか「バイクを設計したい」という夢を持たれます。その後は一心にその夢に向かい、大学進路では工学部を専攻し、卒業後に某自動車メーカーへの就職を果たすも、配属された所属先ではバイク設計には携われないこととなり、夢半ば崩れてしまいます。紆余曲折しながら奮闘する姿勢はあれど、いつしか「人に喜んでもらえる仕事がしたい」と、新たな夢が芽生えたことを機に「バイクづくり」は諦め、30歳を過ぎた頃に脱サラを決意。会社を辞め、人に喜んでもらえる仕事をすると決め、自身に何ができるかを考えに考えられた結果、趣味が高じて一生懸命取り組み通っていたパン教室でのことを思い、「パン職人になる」と、新たなる夢の実現に向け思いを定められます。その小川氏が就職したいと希望されるパン屋はただ一つだけ!そう、それが先に話した「トラン・ブルー」なのです!面接に漕ぎ着けるまでの経緯もブログに記されているのですが、そのお話がとても感動的で涙無くしては読めませんでした。小川氏は「トラン・ブルー」のパン(クロワッサン)に惚れ込み、面接の前に成瀬氏にラブレターとも取れる内容のお手紙を書かれ郵送されたそうです。その熱く強い想いは真っ直ぐに成瀬氏の心に届き、数ある入社希望の中から、未経験者であった小川氏がその運を掴み取ったのです!無事入社が決まり、背中を押してくれた奥様を浜松へ置いて単身、岐阜の飛騨高山へ移り、「トラン・ブルー」での4年の修行を経て、一度は東京へ渡り、その全ての経験を活かし、此処浜松の地で「カセル」をオープン!今では、パン激戦区でもある浜松でトップにランクインされるほどの人気店へと成長されています!

お時間が許されるならば、是非とも小川氏の認められている「カセルのパン便り」の中から「人生を変えてくれたパン屋さんその3の続き」をご覧ください。

およそ10年振りに足を運ぶお店の前では、逸る気持ちがあり、扉を開けるのに少し緊張すら覚えます。しかし、その緊張をほぐすかのように、手描きの新作メニューボードが温かく出迎えてくれていました。

店内はリニューアル前と変わらず、中央のテーブルを囲むように棚一杯にパンが並ぶ、温もり溢れる店内。不要な添加物は使わない“安心”なパン作りをモットーに、パン、焼き菓子、マフィンなどを合わせて約90種類以上のパンを取り揃えて販売されています!

こちらもやはり「トラン・ブルー」同様にデニッシュ系の人気が高く、多くの種類を用意されています。小川氏の一番に思い入れの強いクロワッサンは、無論ベースは「トラン・ブルー」仕込みであっても、長き月日をかけて改良に改良を重ねられ、今は配合等を変えられているため、「トランブルー」のクロワッサンとは異なり、「カセル」のクロワッサンが誕生!その美しい佇まいと表面の生地の軽さから、トングで挟むのを躊躇してしまいそうなほどに繊細です!

お店の一番人気となる「クローネ」は、購入してからクリームを詰めて下さるので、このまま生地のみをレジにお持ちくださいとのこと♪

新作と書かれた札が何点か並び、季節のフルーツを用いたデニッシュなども目にします!

お昼前の11時頃に伺いましたが、既に売り切れてしまった品もある中、どれも美味しそうで選ぶのに悩んでしまい、テーブルの周りを二周、三周と!(笑)

テーブル手前にはクリームパンやメロンパン、あんぱんなどのおやつパンが出揃います!

テーブル奥には天然酵母のパンも取り入れられており、フランスパン生地のパンをはじめ、カンパーニュなども。全粒粉を使ったものもあり、多種多様です!

店内右の棚には、惣菜パンがズラリ!焼きたてと書かれた札には、つい手を伸ばしてしまいます!

カレーパンや目玉おやじのようなベーコンエッグなども。

奥の棚にはデニッシュ系やおやつパン、食パンなどが並びます。

厨房内にはスタッフが4名おり、見事な手捌きで、一つひとつ丁寧にパンづくりに励まれている姿が見られます。

「パン屋さんのプリン」と書かれたシンプルなプリンは、濃厚なコクと滑らかなとろける食感が特徴で、当初から人気メニューの内の一つです!その下には季節柄、新作の「いちごプリン」が並んでいます!

焼き菓子もあり、6種類の大きなマフィンに、スコーンやガレットブルトンヌ、サブレなどが並び、お土産物にも喜ばれそうです!

営業の合間ではありましたが、店頭に顔を出して挨拶して下さった小川氏と暫し歓談。「トラン・ブルー」の記事も読んでくださっていたこともあり、その時のお話をさせていただくと、「懐かしくもあり、身の引き締まる想いもあります」と、成瀬氏を想う心中を語ってくださいました!人生を変え、運命の出会いとなった「トラン・ブルー」でのことは今も何よりにも変え難く忘れ難い宝物。そう仰る小川氏の言葉は優しくも温かくもありながら、何処か信念の強さと深い愛情を感じさせる師匠と弟子である御二人の強い絆を感じさせて頂きました!

我が家へ戻り、購入してきた14種類のパンや焼き菓子を並べて、「カセルのパンパーティ」!今回も富山の木工ユニット作家「Shimoo Design」の浮様シリーズの器に盛り付けながら撮影を楽しみ、袋井の自家焙煎珈琲豆屋「まめやかふぇ」が契約農園とする「ボンジャルジン農園」の美味しい珈琲と共に味わいます!

「クロワッサン」205円(税込)

国産小麦の甘味と発酵バターの芳醇な香りがベストバランス!皮は薄衣のようにハラハラと、中はふんわりしながらもしっとりとした食感を楽しめ、バター香の香り高くいながらにして、軽さも兼ね備えた極上のクロワッサンです!

「マウンテン」216円(税込)

デニッシュ生地を巻いて焼いて、ブランデーシロップに漬け、しっとり食感が楽しめるマウンテン!朝食にもピッタリ!

「フロマージュ」259円(税込)

デンマーク産のクリームチーズを使用した自家製チーズクリームと自家製カスタードクリームをたっぷりと使用!レモンの爽やかなアクセントも程良く、クリームチーズ好きには堪らない一品!

「クローネ」227円(税込)

カセル人気No.1の商品「クローネ」。純生クリーム低温殺菌牛乳を使用した甘さ優しく上品な味わいの特製クリームをたっぷりと詰めてくれます!冷蔵保存ですが、サクサク、ザクザクとした食感を楽しむなら、クリームを詰めてもらったら、できる限りお早めにお口に運ぶのが望ましいです!これ、本当美味しい!

「ガーリックフランス」184円(税込)

自家製エスカルゴバター(ガーリック味)をたっぷりと染み込ませ、香ばしさ漂う濃厚「ガーリックフランス」!

「ラムレーズンスティック」238円(税込)

フランスパン生地にラムレーズン入りミルククリームをサンド。ラム酒の滴る芳醇な味わいはまさに大人のミルクスティックで、ラムレーズン好きならば是非とも味わっていただきたい一品!

「パンシュー」238円(税込)

大山ハムの角切りベーコンがゴロゴロと姿を見せ、ガーリックフランス同様に自家製エスカルゴバターの風味豊かな食べ応え感満載のおつまみパン!

「長熟バゲット」281円(税込)

低温長時間発酵により、旨味ともっちり感を引き出したバゲットは小麦の香りもふんだんに感じられ、満足度の高い一品!

「イベリコ豚と白ネギ」270円(税込)

ハーブでソテーしたイベリコ豚と白ネギを乗せてチーズをトッピングした惣菜パン!イベリコ豚と白ネギのジューシーな甘みが広がります!

「エビグラタン」281円(税込)

自家製ホワイトソースにエビとブロッコリーとチーズをたっぷりと乗せて焼いた「エビグラタン」。塩味優しいホワイトソースとパンの相性が抜群です!

「サラミとハラペーニョの全粒粉ピザ」281円(税込)

全粒粉生地に自家製トマトソースを塗って、サラミ、ハラペーニョ、チーズを乗せて焼いたピザパン。ハラペーニョが良い仕事をしているため、辛いのが苦手な方はご注意ください!辛いもの好きな私たちは、これでビールが進みます!

「クロックムッシュ」302円(税込)

自家製ホワイトソースとハムとチーズをたっぷりとカンパーニュにサンドして焼き上げた「クロックムッシュ」。天然酵母のカンパーニュはもっちり感が楽しめ、クリーミーな味わいともベストマッチ!朝食にあれば、それはもう御馳走です!

焼き菓子「ガレットブルトンヌ」173円(税込)・「バターサブレ」162円(税込)

サクサク食感のガレットブルトンヌはアーモンド風味の焼き菓子。ラム酒がアクセントに使用されており、ほんのりと鼻に抜けるラム酒香が漂います!

今回、10年振りに再訪した正直な感想として、「以前も美味しかったけど、より一層腕を上げられていて、群を抜いて美味しい!」と、私たちは大絶賛!
小川氏の想いを綴ったブログを読ませていただいてわかったこと、お会いしてみて尚わかったことがあり、「トラン・ブルー」と「カセル」の師弟愛は深く、味や方向性は異なるパン屋だとしても、パンに向き合う実直な姿勢とパンに注ぐ愛情は一緒だと。浜松で、もし、「お勧めのパン屋は?」と聞かれたら、間違いなく私たちは「カセル」を入れることでしょう!

Boulangerie Kaseru(ブーランジェリー カセル)
住所:静岡県浜松市中区富塚町1088
TEL: 053-473-7606
営業時間:7:00~18:00
定休日:日曜日、月曜日
Hamazoブログ:https://kaseru.hamazo.tv/
Instagram:https://www.instagram.com/boulangerie_kaseru/

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