ヴァチカン市国は、イタリアはローマ市の北西部に位置する世界最小の独立国家で、カトリックの総本山として知られています。国の面積は、0.44km²となりますが、判りやすく日本で比較対象を探してみますと、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの面積:0.39km²)より少し大きく、TDL(東京ディズニーランドの面積:0.51km²)より少し小さく、東京ドームでいうとおよそ東京ドームの10個分に相当します。国土内には、教皇が暮らすヴァチカン宮殿、サン・ピエトロ大聖堂、ヴァチカン博物館などの施設があり、国土のおよそ3分の1は、イタリア式庭園やバラ園などが存在します。そして国土全域は、ユネスコの世界遺産として登録されています。
ローマ市内とヴァチカン市国をガイドしてくれる現地ガイドさんは、こちらの美しいガブリエッラさん。ガブリエッラさんもとても日本語を流暢に話されるのですが、今回の現地ガイドさんは皆さん本当に日本語が上手で驚きです♪
ローマ市内から、ヴァチカン市国へ入国するにあたって、シェンゲン協定によりパスポート不要、入国審査もありません。ヴァチカン市国とイタリアとの国境はこちらになります。あまりにも自由に出入りできてしまうため、少々拍子抜けしますが、外国人観光客が入れる場所は、サン・ピエトロ広場、サン・ピエトロ大聖堂、バチカン博物館周辺のみで、その他の場所は外国一般人立入禁止区域となっているそうです。
国境をまたぎ門をくぐると目の前には、広々としたサン・ピエトロ広場と、その楕円形の広場を囲むように造られた半円形の柱廊が迫力感溢れます。17世紀、法王アレクサンデル7世の命により、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニが設計を担当したバロック様式の広場となります。ベルニーニは、広場を幅240メートルもある巨大な楕円形とし、284本の円柱を左右対称に配置し、半円形の柱廊を建設。360℃回転しながら見上げるその景観は、圧巻です!広場の右手(写真奥)の四角い建物が、ローマ教皇の住むヴァチカン宮殿。最上階の右側の部屋がローマ教皇の書斎や居室になっています。ローマ教皇がヴァチカンに居る時は、毎週日曜日の正午に、右から2番目の窓から法王が姿を表して広場に集まる信者達に祝福を与えています。この広場には、およそ30万人もの人が収容可能です。
柱廊上部には、広場を見渡すかのように並ぶ140人の聖人像があります。17~18世紀の芸術家たちによる作品で像の高さは3.2m。
サン・ピエトロ大聖堂の左手前には、天国の鍵を持つ聖ペテロの像の姿。この反対である右手前には、聖パウロの像が立っています。パウロは、ローマの役人にとらえられ、剣で首をはねられて殉教しました。殉教者はどのようにして殺されたかを示すものを持つ像を造るため、大きな剣を持っています。キリスト教会としては世界最大級を誇るバロック様式の建造物である、サン・ピエトロ大聖堂は、入場無料のため、時間が許すのであればぜひ教会内部も見学し、ベルニーニ制作のブロンズ製のバルダッキーノ祭壇やブロンズ装飾の司教座、そしてミケランジェロのピエタ像や、右手で祝福のポーズをとる聖ペテロ像、大聖堂入り口5つの扉の中央となるフィラレーテの扉などのポイントを拝観することをお勧めします。ただし、ローマの街並みを一望できる展望台にもなっているクーポラは、入場料として、エレベータであれば€7(日本円でおよそ980円ほど)、階段であれば€5(日本円でおよそ700円ほど)が必要になります。
16世紀、教皇ユリウス2世が考案した、ローマ教皇の衛兵隊の凛とした佇まいも必見です!兵役を経験した19歳~30歳の独身男性で身長が174cm以上のスイス人が採用されます。赤、青、金色の縦縞模様の一見奇抜な制服は、ミケランジェロがデザインしたといわれています。このピエロのような可愛い制服にも、スイス衛兵の美しい姿にも一目惚れしてしまいそうです(笑)
ヴァチカン市国は国家といってもバチカンで生まれ育った民衆がいるわけではありません。世界中から集まってきたカトリックの聖職者や関係者が1,000名ほどいて国民とされています。聖職者たちはヴァチカンに赴任すると国民となり、任期を終えて元の国に帰ると国籍もその国に戻ることになるようです。
サン・ピエトロ広場中央(写真左)には、巨大なオベリスクがそびえたち、この巨大なオベリスクは紀元38年にカリギュラ帝がエジプトから運ばせてきたもので、高さが25.5mあり、重さはなんと320tにも及び大迫力です。この中央のオベリスク付近が、聖ペテロ(サン・ピエトロ)がネロ帝により逆さ磔(はりつけ)になった場所と言われています。この国を治めるのは教皇で、教皇の死後、枢機卿(すうききょう)と呼ばれる位の高い聖職者たちがコンクラーヴェと呼ばれる教皇選挙で新教皇を選出します。丁度、イタリアから帰国するフライトの中で、ヴァチカンを狙う秘密結社の陰謀に立ち向かう映画でトム・ハンクス主演の「天使と悪魔」を観ることで、より足を踏み入れた場所への重みを感じるのでありました。2000年の歴史を超えるキリスト教、計り知れないことがまだまだたくさん存在しますが、ヴァチカン市国に訪れることによって、ほんの少しだけ、その歴史を垣間見ることができるかもしれません。皆さんもぜひご自身の目で体感してみてください。次回は、巨大なローマ遺跡コロッセオの紹介です♪
ヴァチカン市国公式サイト
http://www.vatican.va/