イタリアから帰国して、すぐに向かった先は銀座の街。土曜日は銀座中央通りも歩行者天国になるため道の真ん中を堂々と歩けます。中央通りの三越方面に歩き銀座七丁目の交差点を右折、2つ目の交差点を右折し、すぐの三鈴ビル地下1階にある鮨店へ♪
地下階段を降りた先に深紅の暖簾をくぐり抜ければそこには、日本の美を感じることができるゆったりとした時空が訪れます。
銀座にあるミシュラン2つ星の鮨店「鮨かねさか」本店。大将の金坂真次氏は久兵衛で10年修業し、28歳という若さで独立したそうです。それから約10年が経ち銀座の名店と呼ばれるようになり、今ではお弟子さんの赤坂にある「鮨さいとう」はミシュラン3つ星、新橋にある「鮨いわ」は1つ星と、鮨界をリードしている若手一派なのです。
金坂 真次 氏(カネサカ シンジ)専門ジャンル:寿司、経験年数:23年
常にトップを走り続ける、気鋭の鮨職人。千葉県出身。高校卒業まで野球一筋。調理師学校を卒業後、地元の寿司屋で修業。その後、銀座などの名店で修業を重ね、28歳で独立。11年経った今では、海外含め支店も数店展開。ミシュランガイド2つ星獲得店です。『私は、漢字の「一」の字のようなバランスのとれた鮨を目指したい。』、『自分が食べたいと、思う鮨を 造り続けたい。』こんな言葉を発する金坂氏のお鮨、気になりますよね♪
店内には、美しい白木のカウンターを構え、カウンター席16席、3~5名の半個室が1室。室町時代の花器に花を生け魯山人の器で鮨を供す、すべてにおいて本物にこだわる名店はその設えも日本美に包まれています。もちろんそれは鮨にも反映されるでしょう。茹でた車海老には芝海老のおぼろを隠し、火加減に目を配り煮上げた蛤はふわりと柔らかく。店主・金坂氏が生み出す鮨ネタは、いずれも江戸前の仕事を施した逸品ばかりです。ミシュラン2つ星に輝いた鮨がここで味わえます。
こちらがカウンター席後方にある半個室。3~5名が座れる広さです。
さて、今回吉田さんからご紹介いただいたのは、かねさかの鮨職人二番手の三平さん。三平は源氏名だそうですが、その昔お世話になった女将に”三平ちゃんに似ているから”と名付けてもらったそうです。以来、その名に相応しい愛嬌ある性格で顧客のハートをガッチリと掴まれてういるようです♪
山葵を模った箸置きがまた素敵です。通常、鮨店での撮影は禁じられているところも多いのですが、こちらのお店は最初にお断りを入れると、にこやかに承諾してくださいました。こちらのランチは、5,000円、10,000円、15,000円と3つのコースから選べますので今回は10,000円のコースをいただきます。
新潟「想天坊」1合1,200円
まずは辛口のすっきりとした日本酒で誕生日の祝杯を。想天坊の名前は、蔵のある新潟県長岡市脇野町(旧新潟県三島郡三島町)の昔話に出てくる伝説の山の名前から取られたそうです。「天(天候や自然環境)を想いながら酒造りをしている人」というメッセージを託されてのことだそう。重さが無く、スッキリと飲み疲れしない味わいで、キレがあるので食事の邪魔をしません。
お通し「若布と大根」 あっさりとポン酢で。
さっそく三平さんに握っていただきましょう。
爪先の手入れもきちんとされており、見ているだけでも楽しいほどに綺麗な手の運び。そして三平さんの優しさが伝わるかのようなソフトな握り手。一貫ずつ丁寧に握られています。
「真鯛の湯引き」
こちらのシャリは、伝統的な江戸前鮨を守り、赤酢(横井醸造酢)を使用しています。赤酢は酒粕を原料として造られていることから、米酢に比べて酢独特の香気成分が少ないことが特徴です。昔の江戸前鮨では赤酢本来の甘みを生かし、砂糖を加えず塩のみで味をつけていたと言われています。こちらのお店でもその流れを汲んでいるようです。しかしながら砂糖を使用しないため、時間が経つとシャリが硬くなってしまう傾向があるため、厨房から少量ずつ小分けして鮨職人の合図と共に運ばれていました。思っていたよりかはシャリの温度が低かったのですが、赤酢にしては上品な仕上がりだと思います。
「縞鯵」
こちらの鮨はすべて煮切りです。醤油に日本酒や味醂を加えて火にかけて煮切ったもので、美しく握られたお鮨にひと刷毛引いてくれるので、醤油を付けずにそのままいただけます。醤油が強すぎても、甘すぎてもネタの邪魔になりますが、こちらの煮切りのバランスは良いと思います。
「春子鯛 昆布締め」
シャリとネタ、そして煮切りとのバランスは良いのですが、個人的にはシャリがもう少し口中でほろりとほのける硬さであると尚好みです。しかしながら、昆布締めも繊細で上品な味わいです。さすが、銀座鮨店のレベルは高しといった感じです。
「大間のまぐろ赤身 漬け」
220kgの大間のマグロの赤身を、目の前でさっと浅漬けにして提供してくれます。脂身が苦手なわたし達夫婦には、濃厚な味わいの大間の赤身はご馳走です。鮮やかで深みのある赤、そして口に運ぶまでの香りがまた食欲をそそりますね♪
「大間のまぐろ中トロ」 同じく220kgの大間のまぐろのこちらは中トロです。極上の旨味と口中でとろける食感は最高です♪
「墨烏賊」 塩と酢橘でさっぱりといただく墨烏賊。ねっとりとした食感に強い甘みがあります。
「コハダ」 締め方が良く上品で艶やかなベッピンさんのコハダ。
山形「ばくれん 超辛口吟醸」1合1,200円
さきほどの想天坊より辛口をお願いすると、こちらをお勧めされました。一口いただいてみると、なるほど。と言った具合で、旨味の直球勝負でスッキリとした後味なのに旨味の香りがいつまでも余韻となり楽しませてくれるお酒です♪
「鹿児島の真鯵」
中には紫蘇を忍ばせ、上にはあさつきをペースト状にし香りを引き出した薬味を乗せて。真鯵の脂の旨味をしつこくさせないよう一役買っている薬味たちです。
「車海老」 車海老は茹でたてでほんのり温かく美しい、柔らかな甘みを感じます。
「青森のしじみの味噌汁」
しじみとは思えぬ大きさ。出汁が胃に染み渡ります。日本に帰って来て良かったと思う瞬間はまさにこの時でしょう♪
「鰹の漬け燻製」
鰹を漬けにしてから燻製にしているそうです。旨味を閉じ込める燻製。鰹特有の香りも燻製で調和されており、鼻から抜ける香ばしさが堪りません。
「煮はまぐり」
今までの流れにしては、ほんの少し濃い味の煮付け具合。しかし、それでも上品な味わいです。そして何より蛤の柔らかさに驚きます。
「いくら」 出汁醤油は塩気を極力抑えられているようで、とても上品ないくら。粒ひとつひとつの食感も良いです。
「雲丹」 こぼれ落ちそうなほどの盛り。
「焼き穴子」
炭火で香ばしく焼き上げた穴子。シャリに対して少々穴子がボリューミィですが、これはこれで贅沢。
「玉子焼き」 きめ細かく焼き目のない玉子焼き。
「かんぴょう巻き」 甘めに炊かれたかんぴょう。
「あがり」
鮨店でデザートというのも妙ですが、吉田さんがわたしの誕生日と伝言してくれていたおかげで、お店からのサービスでカットケーキをロウソク付きでお祝いしてくださいました。ありがとうございます♪
とても気持ちの良い対応をしてくださった三平さんと最後に記念にパチリ。三平さん、海外からのお客様の対応も英語でさらりとこなすなど、とてもワールドワイドな御方でした。シンガポールには支店が2店舗も出店されているようで年に数回はそちらにも足を運んでいらっしゃるそうです。今後の展開が楽しみなお店ですね。吉田さん、ご紹介ありがとうございました♪
鮨かねさか
東京都中央区銀座8-10-3 三鈴ビルB1F TEL:03-5568-4411
営業時間:[月~金] 11:30~14:00 17:00~22:00 [土・日] 11:30~14:00 17:00~21:00 定休日:年中無休
http://www.sushi-kanesaka.com/