「鮨人 すしじん」は、越中富山の海の幸を江戸前の技法で美味しく食べることができる、“越中前鮨”のお店です。もともとは、東京で設計の仕事に携わっていたという店主・木村泉美さん(46歳)が、寿司好きが高じて、寿司の世界ではあまり例を見ない独学で2005年4月に地元富山で「鮨人」をオープン。店主の寿司を愛する心がこもった粋なおもてなしの時間と個性的な寿司が楽しめるお店です♪
※1年半後に再来店しましたがかなり進化していました!その記事はこちらをクリック!
2015/04/26
富山で進化し続ける注目の越中前鮨「鮨人」は赤酢を使った独特のシャリが特徴
http://lade.jp/diary/tabelog/sushi/34437/
お店は、太郎丸交差点から少し入ったところにある、こじんまりと落ち着いた場所にありますが、口コミで広がり、県外ナンバーのお客様の姿も見られます。清潔感あふれる店内からは、ふんわりと優しい粕酢の香りが漂い、威勢の良いお出迎えの声がかかります。広々としたカウンター席は10席。奥座敷は、8名様まで利用可能です。座敷は、風情のある囲炉裏風テーブル。しかし、寿司屋に訪れたならば、カウンターで店主が握る様を眺めながらいただきたいもの。運良くタッチの差でカウンター席で堪能することができました♪
「のどぐろの炭火串焼き」
お昼のコースは、3,000円、4,000円、5,000円と3コースに分かれており、巻数はほぼ同じでネタの内容が異なるそうです。わたし達夫婦は、3,000円のコースをオーダー。この、のどぐろの炭火串焼きは、4,000円以上のコースの方に付くようですが、「パティスリージラフ」の本郷さんの紹介で伺えたので、サービスでいただくことができました(感謝)炭火で表面を炙ることで、中に旨味をギュッと閉じ込め、ふわっととろけるような食感ののどぐろ、贅沢な1本です。合間の葱も香ばしく甘くとても美味しい♪
店主の横でサポートをする若手職人さん。胡瓜のかつら剥きむきがとても綺麗で薄く、途中で切れることなく切り終えていました。日本人の職人技の細やかさを垣間見れる瞬間です♪
「梅酢餡の茶碗蒸し」
店主のこだわりの1つの中に、水があります。霊峰剱岳のふもと、上市町城山の湧き水を店主自らが毎週汲みに行くそうで、こちらの茶碗蒸しにも使用しています。この湧き水は、奥行が数千メートルとも考えられる洞窟の神秘の奥底より湧き出ており、長期間保存しても腐りにくい不思議な霊水なのです。生水でのむとミネラルが適度に含まれており、口当たりが良いので美味しく、便秘が良くなり、腸が綺麗になると言われています。お米は炊きあがりが早く、匂いのない美味しい御飯になるそうですよ。この霊水のみを使用した茶碗蒸しは、ぷるんと口どけが良く、やわらかで上品な茶碗蒸しの上にとろみある梅酢餡がかかているシンプルな茶碗蒸し。具はない為、一見、物足りなさそうに思えるかもしれませんが、シンプルゆえに水の美味しさと梅酢の塩梅のバランスの良さに驚く1品です♪
「ガリ」
赤酢で漬けるガリは、色味が違いますね。ガリには、三温糖を用い甘味を加えています。
こちらが、店主の木村泉美さん。肩ほどにある髪を後ろに束ね、すっきりと板前さん帽を被られ、小気味好い手さばきで寿司一巻一巻を握られています。ここ最近、30cmほどの長さの髪の毛をざっくりとカットされたそうですが、それでもまだまだロン毛の部類。うちの相方のロン毛を見て、ロン毛の寿司好き仲間だと話が弾んでおりました(笑)日本には、43,000軒ほどの鮨屋があり、その6分の1の7,000軒以上が東京に集中していますが、その中で“東京一予約の取れないお店”とか“日本一の鮨屋”と名高い店「あら輝」さん。上野毛から銀座へ移転し、ミシュラン東京2011で初登場にしながら三つ星を獲得したこちらのお店の店主、荒木水都弘さんは、年初にお店を閉店し、現在はロンドンへ移転を準備中とのことで、益々注目を集めています。そんな荒木さんを木村さんが最もリスペクトしている職人さんだと話してくれました。挫折しそうになった時に、荒木さんのことを知り、荒木さんの活躍する姿を見て一念発起したそうで、鮨人は荒木さんの存在あって今があるとのことです。
「甘海老」
握りは、まず甘海老からいただきます。
鮨人さんでは醤油さしがなく、小矢部の畑醸造と満寿泉の純米酒で作られた煮きりを一貫ずつネタに塗って提供してくれます。北陸を代表とする日本海特産「甘えび」は、鮮度の良いものほど真っ赤で頭の中の色が濃い水色をしています。甘味が強く、弾力もあり、口の中でとろけてなくなります。
鮨といえばシャリが命。そのシャリとなる富山米は、富山の美味しい水を使い、丁寧に作られたたものを使用されているので、香り、旨み、ツヤ、どれをとっても申し分ありません。その富山米の中から厳選し、地元の契約農家さんに特別に栽培してもらっているコシヒカリを使い、さらに自家精米されているそうです。富山県の鮨は、米の旨さを味わうものと言っても過言ではなく、米の品質・状態管理から、炊飯、シャリの仕込みまで、隅々に気を配り、常に最高の状態で提供することを心掛けていらっしゃいます。一番印象的なのはシャリの炊き具合。粘りの強いコシヒカリを中心まで火を通してアルデンテに仕上げるのは至難の業。これは南部鉄器で丁寧に炊きあげるからこそ生み出すことができるそうです。また炊き上がったシャリの水分量をいい状態で保つために、秋田杉の”おひつ”を使われています。甘海老の甘味と富山米の甘味がマッチングする訳ですね♪
「白海老」
お次は富山ならではの白海老。鮨人さんはシャリの色を見てお分かりのように純粕酢を使用。古典的江戸前酢の原点である純粕酢は、元禄時代に端を発し、江戸前寿司の流行と共にポピュラーになった、いわゆる赤酢です。厳選した酒粕を3年間熟成させ、アミノ酸や有機酸等の旨味成分をたっぷりと含ませた後、発酵、更にじっくり寝かせて仕上げられています。丹念に仕込んだ純粕酢は、鼻を突くような酸味が少なく、酒粕の芳醇な香りと旨み、まろやかなコクがあり、江戸前本来のシャリの味を引き出してくれます。新鮮な白海老こその濃厚なコクと甘味が口中でとろけ、シャリの甘味があとからほのかに残ります♪
「ぼたん海老」
大好物のぼたん海老。
「修善寺の真妻わさび」
わさびは中伊豆の修善寺でとれる真妻という品種。伊豆の山葵は全国の生産高の約66%を占めています。中でも、真妻わさびはわさびの中でも最高級品と認知されています。中伊豆の真妻わさびは天城山麓の清流と澄んだ空の下で作られているので素晴らしいわさびが収穫できその香りの高さ、爽やかな辛味は絶品です。爽やかな辛味の中にほのかな甘味があります。そしてすりおろした時によく粘るのが特徴です。
「キジハタ」
高級魚として珍重される今が旬のキジハタ。弾力が半端ないです。
「鯛の昆布〆」
優しく上品な味わいの昆布〆。
「梅貝」
塩と酢だちをキュッと絞った梅貝。歯応えが最高です。
「まぐろ 脂身」
北海道は大間のまぐろ。上質な脂身は甘味が特徴的です。
「〆鯵」
こちらも脂がのっています。
「漬けまぐろ」
その場で漬ける浅漬け。
「うなぎの巻き物」
穴子の時期ではない為、うなぎを提供されているそうです。富山でうなぎを食べれるとは思いませんでした。うなぎは炭焼きで皮目はパリッとしており、細く千切りされた胡瓜のシャキシャキ感と歯切れの良い海苔との相性は最高です。
「魚出汁の汁物」
こちらの汁物は魚の骨と水のみで煮込んだもので、海老の殻を加え追い鰹で仕上げています。味噌も塩も醤油も調味料は一切使わず、コクが広がる魚の旨味を存分に味わえる汁です。
甘味「もち米で焼いた最中アイス」
美味しいネタとなる魚が泳いでいる海水の塩を〆のデザートとして味わうという、店主の粋な計らい。もち米で作られた皮はパリッとしており、サクサクと心地良い音が響き、軽い食感と香ばしさが口中にいっぱい広がります。
石川県の能登で酪農家さんが作るジェラート「マルガージェラート」さんにお願いし、作ってもらっている塩ジェラート。塩と甘味のバランスが絶妙で、これを楽しみに来るお客様も多いのでは。3,000円というリーズナブルな価格で、このネタ揃え、こだわりの食材、そして個性溢れる店主のパフォーマンス(接客&演出)。寿司単体で見てしまうと、コースの組立て方にもう少しメリハリがあると、全体的に味が単調にならずに楽しめるのかな、といった印象を受けましたが、バランスで考えると、リーズナブルな価格帯、そして空間創りや店主の心意気を含め、トータルでは満足の行くランチコースとなりました。さらに、驚くことに店主の木村さんも車好きということで、サラリーマン時代にマセラティのザガートスパイダーに乗っておられたのだとか(驚)相方と話が合いそうなので、またゆっくり伺いたいと思います♪
鮨人さんでは、富山で一番オススメしたいリゾートホテルのリバーリトリート雅樂倶さんとのコラボ企画で、富山市内の銘店無料送迎付プランと題して、「鮨人(すしじん)」さんへのディナー送迎プランが設けられています。ご興味のある方はWEBサイトをご覧下さい!
リバーリトリート雅樂倶
http://www.garaku.co.jp/
鮨人
富山県富山市新根塚町3-5-7 TEL:076-422-0918
営業時間:12:00~14:00 18:00~21:30 定休日:日曜日
http://www.sushijin.co.jp/