「祇園にしかわ」笑門をくぐりミシュラン2つ星の日本料理店にて昼懐石

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祇園さんと呼ばれる「八坂神社」へと続く下河原通を歩き、
路地の奥にひっそりと佇む懐石料理の店「祇園 にしかわ」さん。
店主の西川正芳さんは、祇園の名店「祇園 さゝ木」さんで長く修行された後に独立され、2009年1月22日にオープン。
独立わずか1年でミシュランを獲得し、2つ星の栄誉を讃えられています♪

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入口から中門まで続く、細長い石畳のアプローチは、
両脇を竹で覆い、猛夏の京都を涼しげに演出しています。

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笑門」を掲げた中門。
笑門とは、「蘇民将来子孫家門」の札を付けた茅輪や杉葉を門口に揚げておけば、
疫厄除けとなり、一家は繁盛すると言われております。
元々は、「蘇民将来子孫家門」を短くし、「将門」としていたのですが、
平将門と混同することを避けるために「笑門」と記されるようになったのだそうです。

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玄関

こちらの建物は、竹や檜など様々な木を贅沢に用いた数寄屋造りをされており、
その見事な佇まいゆえに、ここが京都であることを意識付けてくれます。

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カウンター席

店内は、店主である西川正芳さんの小気味好いトークと共に手捌きも楽しめる12席ほどの一枚板のカウンター席と、
8席部屋と10席部屋のテーブル席、6席ほどの堀炬燵式の座敷が用意されており、
全て禁煙となっております。
(※カウンター付近に喫煙部屋を設けられています)
事前に予約してくれた名古屋の友人のおかげで、嬉しいことにカウンター席でいただけます。
昼懐石は、5,000円、8,000円、10,000円(全て税・サ別)の3コース
今回は、10,000円の懐石料理を堪能します♪

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先ずは、冷えた緑茶でのお出迎え。
朝顔の涼しげな模様を楽しみながらも、ガラスの重みをずっしりと感じ、
猛暑で渇いた喉を潤します♪

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ご来店ありがとうございます」と、
店主の西川さんより直々にカウンター席の御1人御1人に瓢箪に入った食前酒をお酌していただきます♪

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食前酒「柚子酒」

柚子の香りがしっかりと立ち、凝縮された旨味と爽やかさが押し寄せ、一気に食欲をそそります♪

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シャンパーニュ「テタンジェ ブリュット レゼルブ ハーフ」6,500円

シャンパーニュ・テタンジェは、ランスに本拠を構える1734年創立のフルノー社が造り出しています。
グラン・クリュ格付けのシャルドネが集中するコート・デ・ブランのブドウを最も多く使っている生産者の1つで、
シャルドネの比率が高いため、非常にエレガントな味わいで、食事に合わせやすいシャンパーニュです。
シャルドネを40%ブレンドしているため、優れた芳香を持ち、
エレガントで活き活きとフレッシュな印象を与える魅力的な味わいです♪

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「長刀鉾」

祇園祭の最中ということで、山鉾の鉾「長刀鉾(なぎなたほこ)」の器で素敵な演出。
日本料理店に伺い、ここは素晴らしいな、と思うお店は、やはり箸が違うように思います。
極細のしなやかな箸は、料理に負担をかけることなくすんなりと口元に運び頂戴することができます。
箸の手前には、竹スプーンも用意されており、出汁もいただけるよう配慮されています。

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中には、長芋を叩いて寒天で寄せた上品な長芋豆腐に、生姜で炊いた柔らかなつぶ貝、
そして、帆立貝、バイ貝と合わせています。
生姜を用いて涼しげさと爽やかさを兼ね備えた一品♪

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お造りの準備をされる西川さん。
カウンター席での最大の楽しみでもある、店主の手捌きをじっくりと堪能。
奥には、大きなおくどさん(釜戸)が観られ、厨房の火元には湯気が舞うように踊っています。
薪で炊き上げる〆の炊きたてご飯が楽しみですね♪

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「椀物」

プリップリの弾力が楽しめるよう、
すり身にしたものと小口にカットした車海老の入った海老しんじょは、
噛めば噛む程に甘味が増し、
とぅるんとぅるんの蓴菜とほっこりと炊かれた冬瓜に合わせます。
酢橘の香りが心地好く、海老のお出汁と鰹のお出汁でふくよかな味わいが広がる優しい椀物です♪

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「お造り」

最初に感じるピリッと張り詰めた高級料理店ならではの空気感も良いのですが、
やはり、カウンター席のお客様と店主の小気味好いテンポの会話が生まれるのも、またカウンター席の醍醐味。
料理が美味しければ美味しいほど、人は顔がほころび、口元が緩くなるものです。
お造りのイカに施す細かい隠し包丁をされながらも、手元を観るのではなく、お客様の目を観ての会話なんて、まさに神業です(笑)
キラキラと輝き張りがあり甘味溢れるヤリイカ、明石のタコはまだ生きており、噛むとグッと身が締まり食感が楽しめ、
脂ののった縞鯵、フレッシュでプチプチ食感の海ぶどうと、
すべて酢橘とお造り醤油をお好みで合わせていただきます♪

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「焼鱧」

シャッシャッシャッシャッと一定のリズムに乗ってされる鱧の骨切りの音が耳に心地好く響き、
料理が目の前に運びこまれるまでのその工程を眺めながら、
視覚、聴覚、嗅覚が研ぎ澄まされます。
そして、出てきた焼鱧。
皮目だけをしっかりと焼き、香ばしさを引き立たせ、中は完全にレア状態で仕上げています。
鱧にいろいろ試されたそうですが、やはり梅肉が一番美味しいと再認識されたそうで、
原点に還りこちらを出してくださいました。
梅肉にお粥さんを合わせてまろやかにしています」とおっしゃる西川さん。
お粥さん」と”さん”付けされるのが、まさに京都で、良い響きですね。
触覚と味覚が加わり、五感すべてで夏の涼を楽しみます♪

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「春慶の京団扇盆」

甘鯛(グジ)の若狭焼きはしっとりととろける食感を楽しみ、鱗は別で唐揚げにし、サクサク食感を楽しみます。
甘味あるとうもろこしのかき揚げに、
こちらの看板メニューでもある鯖寿司、実山椒が爽やかな刺激を与える鱧寿司、鱧の塩漬けにしたものに素麺南瓜を合わせ、
大阪の渡り蟹をうちこのジュレと共にさっぱりと、焼き茄子には胡麻と合わせたずんだ味噌で、
添えられた飾りシノワは、無病息災、暑い夏を越すためのお祓い行事の意味を込めておりますが、
食べる際には外させていただきます。
春慶の京団扇盆の敷葉には、昔、紙の少ない時代に紙代わりに使われていた柏葉を用いて、
赤と緑のコントラストが色鮮やかで美しい団扇盆の八寸ですね♪

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「賀茂茄子」

フレッシュな賀茂茄子のヘタの部分を蓋にし、丸ごとの賀茂茄子と見まごうばかりではありますが、
実は、蓋の下は陶器を用いていらっしゃり、
この陶器も賀茂茄子の色に合うように特注されており、本物にしか見えません!(凄)
なかなか遊び心たっぷりの演出です♪

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賀茂茄子と芯大根の季節ゆえに大根餅と蓮芋を用いて、野菜だけの焚き合わせ。
優しくとろける餡に本山葵を優しく溶いて、ほっこりといただきます♪

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「香の物」

サラダ南瓜、水茄子、胡瓜。
胡瓜は輪切りにしてしまうと、祇園の八坂神社の紋に見えるため、
この季節は胡瓜を輪切りにされないそうです。
京都ならではの素敵な心遣いですね♪

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「ほうじ茶」

カウンター内には、茶道具が揃い、緑茶にはじまり、ほうじ茶、玉露、お抹茶までも点ててくださいます。
昔は「一保堂茶舗」さんを使われていたようですが、
最近は、「丸久小山園」さんの工場見学やお抹茶体験もされたそうで、
そちらのほうじ茶に切り替えられています。
ほうじ茶独特の香りに癒され、えぐみなくスッキリとした味わいのほうじ茶を美味しくいただきました♪

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〆の釜ご飯が出て参りました。
丁寧に1人1人に炊きたての美しさを確認させてくださいます(笑)

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「白ご飯」

まずは、おくどさん(釜戸)で炊かれた滋賀県伊吹山3合目のこしひかりの白ご飯。
玄米で取り寄せ、3日分ずつ精米をお願いされるこだわりぶりです。

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1377mの伊吹山3合目で、大小の山々に囲まれた自然豊かな地域で栽培されたお米で、
粒が大きく水分を含みふっくらと艶々に炊き上がっており、噛めば噛むほど甘味が広がります♪

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「味噌汁」

あっさりと上品ななめこ汁。

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「穴子ご飯」

2杯目のご飯は、淡路島の穴子ご飯。
贅沢にも穴子はたっぷり、温泉卵のとろみでまろやかにし、木の芽の香りを楽しみます♪

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土鍋の中でふっくらとしたご飯と一緒に柔らかく仕込まれた穴子、
甘辛いタレがご飯に良く馴染み、温泉卵のまろやかさで箸が進みます。

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「鱧茶漬け」

3杯目は、鱧茶漬け。
鱧をしっかりとした味付けで煮込まれているため、出汁は究極の薄味に仕上げられています。
鱧をほぐし、実山椒を乗せて香りと刺激を楽しみながら、
サラサラといただける〆の鱧茶漬け。

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「水菓子」

桃と佐藤錦、ミントを添えて。
桃に掛けられたソースの中には、カルピスが仕込まれており、
桃の甘味に重ねて濃厚に味わえます♪

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「かぶせ玉露」

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「金平糖」

ミシュランの星付きとなり、なかなか予約も取りづらい名店ではありますが、
片肘張らない店主・西川さんのお人柄で終始楽しい食事会となりました。
贅沢な造りをされている空間も然り、
スタッフさん達のキビキビとされる見事な振る舞い、
おもてなしの心で提供される演出の数々に、京の昼懐石を存分に堪能することができました。
西川さん、素敵な時間をありがとうございました♪

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昼懐石の後は、夜まで暫しの間京都の街を散策し、お腹を空かせたいと思います。
懐かしの八坂の塔から、清水寺までのんびり歩くことに致しましょう♪

祇園にしかわ
京都府京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町473 TEL:075-525-1776
営業時間:昼12:00~15:00(退店)、夜
定休日:日曜日、月曜日のお昼、日曜が祝日の場合は翌日
http://r.goope.jp/gion-nishikawa

祇園にしかわ

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