丁寧な仕事で古典的なスタイルを追求する「ラガップ L’AGAPE」の料理とレアワインのマリアージュ

_RID0007

藤枝市青葉町の青島中学校通り沿いのテナントビルの一角にあるフランス料理「レストラン L’AGAPE ラガップ」さんがフランスの国旗を掲げて姿を現しました。藤枝駅から車でおよそ5分程度の距離ですがメインの大通りではないので、知る人ぞ知るお店のように感じます。こちらに訪れるのは相方は今回で3回目。わたしは2回目。WEBマガジンを運営するにあたって、極力お店紹介新規開拓を理想としておりますが、4月から立ち上げたladeが4ヶ月の間にラガップさんは掲載させていただくのは3回にも及びます。およそ月に1度のペースで訪れたいお店ということになりますね。今回は、いつもお世話になっているO様夫妻をご紹介したく4人で伺いました♪

_RID0015

こちらのお店は2008年9月にオープン。オーナーシェフの松下崇之さんが東京、関西のお店で経験を積み、フランスでも修行されたと伺っています。店内は全12席のシンプルな落ち着いた空間で、こじんまりとしたレストランです。オーナーシェフ松下さんが御両親の手を少し借りて、1人で厨房もホールも切り盛りされています。料理はコースのみ。好きな料理が選べるプリフィクススタイルです。ランチもディナーも同じメニューで構成されているのですが、お昼だけはメーンが1品のお手軽Aコース1,890円が用意されています。今回は、O氏の希望でメーン3皿のコースmenu C 4,210円をそれぞれにオーダーしました♪

menu A(メーン1品)1,890円
menu B(メーン2品)2,840円
menu C(メーン3品)4,210円
menu D(メーン4品)5,630円
menu E(※要予約)8,000円,10,000円
パン、スープ、コーヒー、デザート付

_RID0018

「エール・ダルジャン2009」フランス 白(持込ワイン:持込料ワイン1本に対し1,000円)

世界でもっとも偉大な五代シャトーの内の1つである”シャトー・ムートン・ロートシルト”が造る数少ない白ワイン。エールダルジャンとは、”銀の翼”という童話にちなんで命名。見事なまでにパール・ゴールドに輝く色合いと光沢感。口当りは丸く滑らかな中、華やかさとコクがあり優美な凝縮感に溢れています。ラガップさんのフォアグラのテリーヌなどの濃厚な皿に負けることなく、余韻を楽しませてくれる貴重な高級感溢れる白です。ワインと料理のマリアージュとはまさにこのこと、至福のランチタイムのスタートです♪

_RID0019

「フォアグラと豚肩肉のゼリー寄せ パセリ風味」

フランスはブルゴーニュ地方の郷土料理の1つジャンボン(ハム)・ペルシェ(パセリ)。フォアグラ、豚肩肉、生ハム、パセリを重ねてゼリー寄せにしてあります。塩〆してボイルした豚肩肉がほろほろと口中でほのけ、ソテーしたフォワグラの濃厚さと相まり、絶妙な味わい!それぞれが濃厚で主役級のボリューム感ある素材ですが、そこは細かく刻まれて大量に注ぎ込まれたイタリアンパセリが中和役としてバランスを保ち一体感を持たせています。O夫妻の大好物でもあったようで、お気に召していただけて、はるばる浜松からお連れしただけのこともあり、御2人の笑みが垣間見れ嬉しい瞬間♪

_RID0020

「フォアグラのテリーヌ」

フォアグラをコニャックでマリネしてテリーヌし仕立てられています。まずは添えられたコンフィチュールなしでいただきましょう。舌の上でとろける滑らかさと味わいの深さに悶絶。下ごしらえや調理法において、とても丁寧な仕事ぶりが伝わる味わいです。そして単体で楽しんだ後は、すもものコンフィチュールと一緒に味わいます。これが真のフォアグラなのです。まるでデザートのような1品♪

_RID0024

「サーモンと海老のムース ブリオッシュ包み」

サーモンと海老のムースをブリオッシュで覆い、テリーヌ型で焼き上げています。バターをたっぷり使用したリッチ感溢れるブリオッシュとの組み合わせは、表面サクッと中はもちっとしっとり、サーモンの程好くのった脂と海老のムースがとろけ合い相性も抜群です。シェフの松下さん曰く、フランス古典料理は、美食を追求する執着や執念をとても感じられるようです。そしてそれを、無秩序に体を壊してまでも食べ続けてきたフランス人達。”フランス人は生きるために食べるのではなく食べるために生きる”という諺(ことわざ)があり、まさにその通りであると、現代のフランス料理とは違い生命力みたいなものを感じてしまうそうです。そんな松下さんの料理はまさに、その古典的なスタイルを愛し追求しています。料理への愛情を注ぐことに力を惜しまない方なのです♪

_RID0025

「茄子と近海いわしのシャルロット仕立て」

茄子の果肉とソテーした鰯を刻み、茄子の皮に包みシャルロット仕立てにしています。一見、真っ黒なプリンのような出現に一同驚きを隠せませんでしたが、このあと見た目と味わいのギャップに2度驚くのです(笑)茄子の皮に包まれた山の中には、とろんと滑らかな茄子に鰯の旨みをマッチングさせ、トマトの程好い酸味が混ざり、何とも言えない食感と風味です。ここ数回味わって思うことですが、松下さんは茄子の使い方が絶妙で料理に感動すら覚えてしまいます♪

_RID0021

「自家製パン」

2種の自家製パンが味わえ、今回は、くるみとレーズンのカンパーニュとパンドゥミ。”パンドゥミ”とは、クラスト(皮)の風味を楽しむハード系のパンと異なり、クラム(中身)を味わうフランス版の食パンです。こちらのは、強力粉とフランスパン専用粉を使って焼き上げているので、カリッとした表面の食感の中にずっしりとした食べ応えがあり、甘味があります。滑らかなソースを吸収しやすくなっておりフレンチならではのパンです♪

_RID0022

「ポークリエット」

こちらは、お好みでパンに付けていただきます。濾して滑らかになっていて、くどさはなくマイルドな味わい。O夫人は、お持ち帰りしたい・・・と何度も口ずさんでいました。わたしも同感です(笑)

_RID0027

「南瓜の冷製ポタージュ」

キンッとひやされた器に、滑らかな南瓜のポタージュ。余計なものを一切入れないシンプルな味わいですが、奥が深いです♪

_RID0035

「クプラ オアジ・デリ・アン ジェリ 2009」イタリア 赤(持込ワイン:持込料ワイン1本に対し1,000円)

イタリアでも幻 のワインとして崇め られ、平均樹齢100年以上の古代品種ボルド100%で造る”クプラ”。ヴェロネッリやエスプ レッソが幻のワインと謳うク ルニは、年間生産本数6000本ですが、クプラの年間生産本数はさらにその1/10以下で2樽のたった560本のみ!とても希少価値の高いワインなのです!(歓喜)ワイン造りにおける畑から醸造に至るまで、一切妥協のない徹底した完璧主義を貫く生産者マルコ氏の姿勢が顕著に現れるワイン。正式にリリースされたのは2006ヴィンテージから。その後はマルコ氏が納得のいくヴィンテージしかリリースしないため、今まで2006,2008そして今回の2009ヴィンテージしか世に出ていないのです!味わうにも恐れ多いですが、美味しく楽しく呑まれてこそのワイン(笑)豊かな赤い果実のコンポートやハーブ、スパイスなど継ぎ目なく広げ密度の高い香りがエレガントで上質な背景を楽しませてくれます。これは、松下さんの提供する鴨のローストに合わないわけがありません!さすがのワインのセレクトを絶賛していると、O氏は一言、”ベストを尽くせ!”と自分にいつも問いかけるのだそう。本当に格好良い御方です!

_RID0028

「タスマニア産子羊背肉のロースト(+700円)」

肉汁が広がり味わうごとにほのかに香る子羊の甘い香りが特徴。子羊の出汁で作った旨味溢れる優しいソースを添えていただきます。前回の脂身が少ない部位の方が好みだったので、次回は予約の際にお願いすることにしましょう♪

_RID0030

「フランス シャラン産窒息鴨ローストとコンフィ(+800円)」

こちらのお店でわたし達夫婦の一押しメニューです。エトフェした鴨を胸肉はハチミツを塗ってロースト、もも肉はコンフィで鴨の美味しさを2種にして提供してくれます。エトフェ(窒息)とは、元来、針を首の後ろに刺し、仮死状態にさせ、血を抜かずに屠鳥する方法ですが、最近では電気ショックでエトフェさせる方法もあるようですね。エトフェさせることにより、鴨の体内に血がうっ血して、その結果血が肉全体にまわります。それにより、肉に鴨特有の鉄分を含んだ風味が強くなり美味しくいただけるというわけです。まずは胸肉のローストから一口いただくことにしたのですが、噛むと適度な弾力がありジュースが溢れ出ます。そしてジュースと共に濃厚な味わいが伝わり、身は柔らかくしっとりとしていてコクがあり滑らかです。もも肉のコンフィの方は、皮はパリッと食感がよく、身は柔らかくいただけます。骨から煮出したソースで一体感をもたせた至極の逸品♪

_RID0031

「デザートの盛り合わせ」

デザートは黒板に書かれている中から選びます。今回は、チョークを切らしたとのことで、松下さんの手書きメニューが登場。飾らない素直さがB型の彼らしいかも(笑)桃のコンポート、レモンプリン、ブルーベリータルトと3種のデザートは、それぞれを少しづついただくことも可能なのでお腹に余裕のある方は是非、全種類いきましょう。どれも本当に味わってほしいものばかりだからです!氷菓は黒板に書かれている中から2種類をチョイスします。今回は、ヘーゼルナッツ、香辛料、キャラメル、酒粕、ヨーグルト、すももの6種の中からヨーグルトとキャラメルをセレクト。桃のコンポートは、桃が出始めたこの時期に、白ワインとバニラビーンズで香りつけしシロップでコンポートに。シロップにゼラチンを入れてジュレにして桃と共に夏の蒸し暑さを忘れる1品。レモンプリンはこの上ない上品な酸味と香り。ブルベリータルトの甘さ優しい味わいと、タルトのしっとり加減も好ましいです。見た目はシンプル、しかし、そのシンプルさの中に松下さんの愛情が込められたデザート、最高です♪

_RID0034

「コーヒー」

表面がクレマできれいに覆われているコーヒー。良いクレマはきめが細かく、かき混ぜても消えず、味をまろやかにし、香りを口の中に持続させてくれます♪

_RID0032

「ガレット ブルトンヌ」

バターの名産地でもあるフランス、ブルターニュ地方の郷土菓子。フランスらしく、バターたっぷりリッチな配合の有塩バタークッキーです。サクサクッと食感を楽しめ、しっとりとしたとても美味しいガレット。昼からのレアワインと共に、午後のひとときを贅沢に感じるランチとなりました。それも常に美味しく提供してくれる松下さんの料理とO氏の頭脳明晰な解析力とイメージ力によってセレクトされたワインの初共演の賜物だからですね!本当にありがとうございました♪

ラガップ L’AGAPE
藤枝市青葉町3-3-28 電話:054-637-0290
営業時間 11:30~14:00 18:00~22:00 定休日:水曜日
http://lagape.jp/

藤枝市青葉町3-3-28

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

先頭に戻る