「帝国ホテル」創業当時から125年かけて変わらぬ味と食の歴史「受け継がれる食の伝統」

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東洋経済」が発行する「週刊東洋経済」の2016年2月6日号ホテル激烈!30年に一度の活況」で、
ホテル業界の専門家たちが選ぶ東京のベストホテルに選ばれた「帝国ホテル IMPERIAL HOTEL」。
その理由を帝国ホテルの取締役社長 東京総支配人(President and General Manager)である
定保 英弥(Hideya Sadayasu)さんは、東洋経済のインタビューでこう語られています。
帝国ホテルは恵まれた場所・立地にある。
客室数931、宴会場26、レストラン・バー・ラウンジ17とバラエティに富み、
個人旅行、団体旅行、ビジネス利用、結婚式や研修、国際会議まで、
さまざまな目的、要望に応えられる体制を整えているのは弊社の強み。

当社はメイド・イン・ジャパン・ホテルの代表格でありたい」と。
その御言葉通り、本館の最上階である17階からの眺望は、皇居や日比谷公園の緑に囲まれた抜群のロケーションを誇り、
またバラエティに富んだレストランで受け継がれ続けてきた食の伝統こそが、
昔も今も尚、多くのゲストの心と胃袋を掴んできたといっても過言ではありません。
今回は、そんな帝国ホテルの125年の歴史と「受け継がれる食の伝統」を紹介します♪

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ホテル最上階の17階にはレストランやラウンジが用意されており、
今年2016年3月までを開業125周年記念期間とされ、17階に「受け継がれる食の伝統(The Legacy of Food)」と題して、
創業当時から愛され続けてきたオリジナルメニューの紹介や著名人ゆかりの一品を紹介しています♪

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Public Relationsの重冨 耕太(Kohta Shigetomi)さんの案内により、最上階である17階からの眺望をご説明いただきます♪

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最上階である17階からは、左手に日比谷公園を一望でき、奥には皇居の佇まいを感じ取ることができます。
春から夏にかけては、現在より緑も青々と生い茂り、
直に迎える桜の時期には、外国人をはじめ、多くのゲストがその景色を楽しもうと足を運ばれます。
右手の薄ピンク色の建物は、「宝塚歌劇」となり、
宝塚側のお部屋をご所望される熱烈な宝塚ファンの方々もいらっしゃるようです。
ホテル周辺には、日生劇場や帝国劇場があり、この一帯を日比谷劇場街と称し、観劇が好きな方が多く利用されています。
現在、「三井不動産」が手掛ける「新日比谷プロジェクト(仮称)」として、1960年(昭和35年)竣工の
日比谷三井ビルディング」の跡地において、一体的な再開発計画を推進し、
来年の2017年度の完成を目指し、ビルを建設中です♪

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受け継がれる食の伝統(The Legacy of Food)」と題されたボードには、
写真付きで長年多くのゲストに愛され続けてきた変わらぬ味を誇るオリジナルメニューや、
著名人ゆかりの一品を生み出した逸話などが記されています♪

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帝国ホテルの初代料理長を務められた吉川兼吉(Kanekichi Yoshikawa)は1853年(嘉永6年)生まれ。
日本のフランス料理の草分け的存在の一つである「横浜グランドホテル」で西洋料理を学び、
迎賓館である「鹿鳴館」での経験を経て、1890年に開業された帝国ホテルの初代料理長に就任されています。
この時、吉川兼吉(Kanekichi Yoshikawa)は37歳です。
その後、1905年(明治38年)に伊藤博文(Hirobumi Itoh)から、
明治天皇の料理番を務めた後に李王朝に行っていただきたい」と熱願され、
吉川兼吉(Kanekichi Yoshikawa)は、伊藤博文(Hirobumi Itoh)の国を想う気持ちに打たれ快諾し、
帝国ホテルを1906年(昭和39年)に退任することを決意します。
帝国ホテルの初代料理長の名のもとに、西洋料理界を代表する料理人の1人といえます♪

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帝国ホテルの初代料理長を務められた吉川兼吉(Kanekichi Yoshikawa)の料理書(レシピ本)は、
吉川兼吉(Kanekichi Yoshikawa)と子息で帝国ホテルの料理人でもあった吉川林造(Rinzou Yoshikawa)が、
直筆でオードブルからデザートまで286種類のレシピの詳細や食材に対する考え方、
フランス料理の食卓の作法について記録し続けられたものが事細かに忠実に残されています。
吉川家ではこの料理書(レシピ本)を風呂敷に包み、桐箱に入れ、大事に保管されていたようですが、
いつしか、その存在自体が忘れ去られており、つい最近2009年に吉川家の子孫により発見され、帝国ホテルに寄贈されたとのこと。
発見されるまでは、記録として残されていなかった当時の帝国ホテルのフランス料理のメニュー。
それが、初代料理長によって書き残されていたというのです!(Surprise!)
こちらの料理書(レシピ本)は複製となります。
こちらを基に、明治期の料理を再現し、
現代の味覚に合うようにアレンジして提供するイベントも過去に開催されています♪

レーンヌエリザベス

「海老と舌平目のグラタン“エリザベス女王”風(Gratin of Prawn and Sole “Queen ElizabethII”)
レーンヌ・エリザベス(Reine Elizabeth)」

当時1975年(昭和50年)に、英国のエリザベス女王陛下とフィリップ殿下が来日された時のこと。
御二方は、1975年5月7日~5月12日まで日本にご滞在され、
東京でのご滞在は赤坂の迎賓館にお泊りになりました。
帝国ホテルへは、5月9日に来館され、「富士の間」で開かれた日英協会主催の午餐会に出席。
女王陛下の来館に際し、当時料理長を務められていた村上信夫(Nobuo Murakami)は、
事前にイギリス大使館を通して陛下の好物の下調べを行ったそうです。
ドーバー海峡でとれる魚介類を好まれると聞き付け、海の幸を料理に用いたいと考え、
英国も日本も同じ海に囲まれた島国であるため、是が非でも日本の海の幸をお召し上がりいただきたいと、
津軽海峡の舌平目と熊本の車海老を用いたメニューを考案致します。
エリザベス女王陛下は、午餐会で何一つ残さず綺麗にお召し上がりになられ、
後に、英国大使館を通して、陛下のお名前を料理に冠することを承諾されています。
そのメニューこそが、現在「レーンヌ・エリザベス(Reine Elizabeth)の名で帝国ホテルに受け継がれ続けている
海老と舌平目のグラタン“エリザベス女王”風(Gratin of Prawn and Sole “Queen ElizabethII”)」なのです!

こちらのメニューは、帝国ホテル内の「La Brasserie(ラ ブラスリー)」にていただけます!
http://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/la_brasserie/

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「シャリアピンステーキ(Chaliapin Steak)」

ロシアの声楽家であるフィヨドール・イワノビッチ・シャリアピンに因むステーキが生まれたお話です。
当時1934年(昭和9年)に日本公演で来日されたフィヨドール・イワノビッチ・シャリアピンは、
帝国ホテルに滞在された際、ホテル内のレストラン「ニューグリル」を毎日利用されるほどの大の肉料理好きだったとのこと。
歯痛のため好物のステーキが食べられなっていたフィヨドール・イワノビッチ・シャリアピンは、
軟らかな肉料理はできないかと注文を出されます。
当時の「ニューグリル」の料理長であった筒井福夫(Fukuo Tsutsui)がこの要望に応えるべく、
薄く伸ばした牛肉を摩り下ろした玉葱に漬け込み、
塩と胡椒で味を調えて焼き、その上にバターで炒めた玉葱を載せて提供しました。
これは、肉と葱を合わせる「すき焼き」がヒントになったものでした。
すき焼き」では、牛肉と葱が大変相性が良いことから、玉葱を使うことを思い付きます。
フィヨドール・イワノビッチ・シャリアピンは、筒井料理長が創作したこのステーキを大変気に入り、よく注文していたそうです。
再度1936年(昭和11年)に来日したフィヨドール・イワノビッチ・シャリアピンに、
当時の総支配人である犬丸徹三からメニュー名に御名前をいただく許可をもらい、
ソースを使わないこのステーキを「シャリアピンステーキ(Chaliapin Steak)」と命名されています。
彼の名を取った「シャリアピンステーキ(Chaliapin Steak)」のパイ包みバージョンを
後に紹介する「メディア懇親会(Media social gathering)」のブッフェにて提供されています♪

こちらのメニューも、帝国ホテル内の「La Brasserie(ラ ブラスリー)」にていただけます!
http://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/la_brasserie/

パンケーキ縮小

「インペリアルパンケーキ いちご添え(The Imperial Pancake, with Strawberries)」

厚さ3センチの鉄板の前で、熟練したスタッフが毎日この焼き色を保ち、
オリジナルのメニューとして1953年(昭和28年)に誕生して以来、
現在も「Parkside Dinner(パークサイドダイナー)」で親しまれているパンケーキです。
こちらの前身となったのが、1967年(昭和42年)11月に開店した「Coffee House(コーヒーハウス)」。
ホテル1階で街の通りから直接来店でき、クイックサービスを売りとしていたスタイルは、
銀座の買い物客や時間の限られたビジネス客から好評を得ています。
特に鉄板の型があるわけではありませんが、いつ食べても、同じ大きさに揃えて提供されており、
よく磨かれた平らな鉄板の上に、熟練の技で同じ大きさ、同じ厚さに調整され、
同じ食感、同じ味を再現しているのです♪

こちらのメニューは、帝国ホテル内の「Parkside Dinner(パークサイドダイナー)」にていただけます!
http://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/parkside_diner/

新:野菜カレー

「野菜カレー(Vegetable Curry)」

帝国ホテルの第8代料理長である石渡文治郎(Bunjiro Ishiwatari)が生み出した伝統のカレーソースのお話です。
二・二六事件」がおこった1936年(昭和11年)のその日の東京は大雪でした。
それは青年将校による決起反乱、都内を走るすべての都電はストップし、街頭には警備にあたる兵隊の群れ。
戒厳令がしかれ、異常な緊張感が東京を包みました。
この事件と大きく関わることで、帝国ホテルの伝統のカレーソースは生まれるのです。
当時、この辺り一体が市松部隊の野営地とされ、警備の兵隊のために帝国ホテルが炊き出しを行ったのですが、
その炊き出しのメニューこそが「カレー」だったのです!
警備の兵隊数は500人もの大所帯であったため、手早く大量に用意できるものでなくてはいけないことと、
芯まで冷え切ってしまった身体を温め体力を養うものを。
石渡文治郎(Bunjiro Ishiwatari)シェフは、
こうした状況を一瞬で判断し、適したメニューを選択しなければなりませんでした。
温かくて栄養があり、大量の人数分を用意できるもの。
ご飯とおかずが一皿で出せるもの、それはまさに「カレー」です!
当時、未だカレーが一般に普及される前のことでしたが、「美味しかった!」と全国から集った兵隊が故郷ヘ戻った際に、
口伝で広まったことから、カレーが世に出回った一節とも言われています。
この「カレー」は、インドではなくヨーロッパから伝承され、ヒントを得ており、
裏ごしせずに粒々感を敢えて残して作り上げた食べ応え感のあるカレーとなっています。
写真は当時の「カレー」ではなく、「野菜カレー(Vegetable Curry)」となります♪

こちらのメニューは、帝国ホテル内の「Parkside Dinner(パークサイドダイナー)」にていただけます!
http://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/parkside_diner/

本館料理長一柳一雄と新館料理長村上信夫

「バイキング(Viking)」

好きなものを好きなだけとって味わう「バイキング(Viking)」とは、今や日本中に広がる和製英語です。
しかし、このユニークな食のスタイルは、実は、帝国ホテルが発祥だとご存知でしたか?
当時1958年(昭和33年)に帝国ホテルは、ブッフェレストラン「Imperial Viking(インペリアルバイキング)」を開業。
Imperial Viking(インペリアルバイキング)」は、北欧スカンジナビアの伝統料理「スモーガスボード(※)」の様式を取り入れ、
“好みの料理を、好きなだけ楽しむ”レストランとして当時大変な話題を呼びます。
(※)友人知人が有り合わせの食べ物を持ち寄って、パンとバターとともに賞味したことから発展したといわれる。
この新しいレストランのオープンにあたって、店名を社内公募することになりました。
様々な候補作の中から選ばれたのは、
当時話題になったカーク・ダグラス主演の海賊をテーマにした映画に因んだ「バイキング(Viking)」という名。
ヨーロッパ中に勇名を馳せた海賊の名に、スカンジナビアの伝統と、
食べ放題の豪快なスタイルからくるイメージがピッタリと合ったネーミングと言えるでしょう。
Imperial Viking(インペリアルバイキング)」は、当時としては決してお手軽とはいえない料金にも関わらず、大変な人気を呼びます。
料金は、昼1,200円、夜1,600円、大卒の初任給が12,800円で、
帝国ホテルの宿泊料が1,800円の当時、かなりの高額であることが判ります。
メニューは、キャビアをのせた卵料理や豚背肉、仔牛肉の塩漬けの水煮、ドイツ風ハムの薫製など、豪華な料理がずらりと並び、
Imperial Viking(インペリアルバイキング)」は、連日満員の人気を博し、著名人も数多く利用されます。
こうして、「Imperial Viking(インペリアルバイキング)」が提案した新しい食のスタイルが広まり、
やがて、日本ではこの形式のことを一般に「バイキング(Viking)」と呼ぶようになるのです。
これが日本の「バイキング(Viking)」の歴史です。
こうして語り継がれる125年の歴史とともに帝国ホテルの魅力はまだまだ続きます♪

バイキングは、帝国ホテル内の「The Imperial Viking Sal(インペリアルバイキング サール)」にていただけます!
http://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/sal/

帝国ホテル IMPERIAL HOTEL
所在地:東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL:03-3504-1111
宿泊予約専用(Reservations)TEL:03-3504-1251
http://www.imperialhotel.co.jp/

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