「その手は桑名の焼き蛤」という洒落言葉にもあるように、桑名といえば蛤料理、
蛤料理といえば「日の出」という地蛤の滋味溢れる味わいをそのままに愉しめる老舗料亭があります。
江戸時代からはじまり創業90余年とその風情溢れる佇まい。
現在は、4代目店主として佐野雄一さんが暖簾を受け継がれています。
旬の蛤を食すために食通の方々が集うこの時期の予約は例年取りづらく、
満員御礼の日々が続くため、事前予約をお勧めします。
店前の道を挟んだところに駐車場を確保されているため、お車でお越しの方も安心です♪
石畳のお出迎えは、しっとりと落ち着きのある雰囲気を醸し出しています。
今年は20年に1度の七里の渡し・伊勢国一の鳥居建て替え奉祝祭(お木曳行事)があり、
石取祭車と八幡神社獅子舞が先導し、総勢2,000人規模の壮大な行事となります。
この日は丁度、そのお木曳行事の日で七里の渡し場跡にある
伊勢国一の鳥居の建て替えを交通規制を伴いながらも無事に執り行われたようです。
日の出さんの玄関先にもお木曳行事の法被を飾るなどして盛り上がる様子が伺えました♪
入口横には、蛤の貝殻をこんもりとディスプレイされており、
そのあまりの大きさに、食事をいただく前から期待が膨らみ食欲を駆り立ててくれます♪
仲居さんのお出迎えがあり、玄関から2階の広間へと案内していただきます。
日の出さんは、かの有名なグルメ漫画「美味しんぼ」の第97巻でも紹介され、山岡士郎さん大絶賛のお店。
蛤の可愛い釣り飾りや幽玄(※)の書が飾られており、
きっと蛤の味わいも奥深いものではないのかと、トントントンと階段を駆け上がる音と共に期待値が上がります♪
(※)幽玄とは、
奥深くて、はかり知れないこと。趣が深く味わいが尽きないこと。
趣溢れる1階廊下
舟底天井
茶室や数寄屋造り、昔の浴室などで多く用いられていた舟底天井。
舟を裏返したときの底の形に似ていることからそう呼ばれ、中央が両端より高く山形をした珍しい天井です♪
予約困難なこちら日の出さんの2階の広間を食べログ仲間が押さえてくれたため、
食べログ繋がりのグルメな方々12名+お子様1人の総勢13名での楽しい食事会に参加させていいただきました。
この日は、「蛤の会席」8,000円+大蛤3,900円+飲み物代(奉仕料20%+税)の特別コースで
1人当たり約2万円の予算です♪
【食べログ仲間とその愉快な仲間達】
大きなやまちゃん「大きなやまちゃんの・・・見たまま・感じたまま」
meer32「みーちゃんのばくばく道中☆」
ヤシュラン☆「ヤシュラン☆のレストランガイド」
こうじろうちゃん「こうじろちゃんの 飲み放題万歳 \(^o^)/」
「蛤なべ用の桑名の蛤」
蛤なべとは、蛤をしゃぶしゃぶしていただく鍋のことで、
漁獲制限を課され3年以上という基準を満たした三重県桑名産の蛤のみを使用されています。
今回は、4~5年物の身厚な大蛤を用意してくださいました!(凄)
「CAVA YATE BRUT」スペイン
まずはCAVAで、はじめましての方も多い中、乾杯と自己紹介を済ますと、
皆さん食べログ用にこぞって撮影タイムが始まり、カメラ自慢までもが飛び交います(笑)
ヤテブリュットは、クリアで鮮やか、淡い黄金色をしており、きめ細やかな泡立ちが続き、
柑橘の香りに少しばかりの花の香りを楽しめ、まろやかな味わいです♪
「お口取り」
蛤トビコ添え、焼き空豆、片口鰯、蛍烏賊、蟹の湯葉巻き、小海老の卵焼きなどなど季節ものをいただきます。
蛤なべ
昆布と鰹の秘伝出汁
蛤のしゃぶしゃぶ
パカッと大きく口を開いた蛤が1人に4個ずつ取り分けられます。
最初の1個目は、そのままの味わいを楽しみ、
2個目からはすだちや柚子胡椒、一味などお好みの薬味と一緒に味わい、
味に変化を付けていくのも良いでしょう。
ぷっくりと膨らんだ蛤を頬張ると、その大きさに口中は一杯になり、肉厚でジュワッと旨味が溢れ出て幾重にも食感が楽しめます。
「独自の砂出しの技術を駆使して出された蛤からは、砂は出ないと思いますが、
万が一、砂の入ったものがあれば、それは新しいものと取り替えさせていただきます」とのこと。
仲居さんの軽快な鍋奉行振りと共に蛤にまつわるあれやこれの豆知識が楽しめ、
大きな貝柱の取り方までも丁寧に教えてくださいます。
4個入りの皿が食べ終わる頃に、同量のおかわりがやってきます。
2皿目の出汁は1皿目の蛤から出た出汁で味わいも濃くなり、スープまでも美味しくいただけます。
一心不乱に蛤と向き合うため、ついつい無言になってしまいますね♪
昭和40年代は、2千t、3千tと漁れた蛤も、今では200t程度しか漁れないそうです。
1995年の平成7年度には1tしか漁れなくなってしまったようですが、
桑名の漁業組合の方々の努力の甲斐あって、今では3桁まで伸ばすことができたとのこと。
しかしながら、残念なことに密漁者の数も多く、
苦労されている裏事情や汀線蛤(桑名の蛤)の話なども有難く聞かせていただきました!
蛤の貝殻を型抜きして磨いたものが白碁石となります。
手の平ほどの巨大なサイズの8年物の蛤の貝殻を見せてくださいました!
蛤は1cmほど大きく成長するのに1年もの月日を要するとのこと。
ずっしりと重く、貝殻の厚みにただただ驚くばかりです!
「葛きり」
蛤の出汁が出た鍋で茹でられる熱々の葛きり。
黒胡椒を振り掛けていただくのですが、プルンとした弾力ながらに喉越しの良さがあり、
粗挽き黒胡椒のアクセントがまた最高です♪
「蛤の天ぷら」
桑名のもう1つの名産でもある海苔を纏い、桑名の米油で揚げた蛤の天ぷら。
旨味が逃げないよう、生のまま剥き身にし天ぷらにされておりますが、剥き身の技術もまた匠の技でございます。
天つゆと宮古島の雪塩が用意されるので、お好みでお召し上がりください。
通常、天ぷらはもっぱら塩でいただくのが好みですが、2個あるので、どちらも味わってみることにします。
最初に塩を振り掛けてサクサク、ジューシィーに。
2個目は、天つゆに浸すことで衣が汁に馴染み、海苔が程好く溶け出し風味が増すため絶品です♪
「シャブリ プルミエ クリュ ボーロワ 2010」フランス ブルゴーニュ
シャブリの地区の等級は、上からグランクリュ、プルミエクリュ、シャブリ、プティシャブリの4等級。
アントワーヌ・シャトレ社は、世界中の高級レストランやホテルで高く評価されており、取り扱われています。
フルーティでフレッシュな柑橘系の香りが楽しめ、キリッと引き締ったミネラル感たっぷりの辛口です♪
「焼蛤」(ご要望に応じて追加できます)
焼蛤は先ほどのものより更に大きく7~8年物となります!
桑名の蛤は、貝の形が不等辺三角形になっており、日の出さんでは必ず「入」の字に見えるよう、
「雄貝(左貝)」と呼ばれる方を表にし「雌貝(右貝)」を下にされて出す粋な施しがなされています♪
竹の上に乗せられた焼蛤の「雄貝(左貝)」を開けると、
ぷっくらと膨らんだこれまた極厚の蛤の登場です!
しゃぶしゃぶの蛤よりもキュッと締まった感の弾力味に溢れ、香ばしさが増します♪
「豆腐、三つ葉、葱」
生姜醤油またはおろしポン酢でいただけるため、生姜醤油を選択。
蛤の出汁と一緒に泳いだ木綿豆腐と葱は甘味が増し、三つ葉の香りがまた良く、鼻を抜けて香り立ちます♪
「卵雑炊」
蛤の出汁をたっぷりと含ませた白米と麦の雑炊は、
溶き卵で仕上げ、桑名の海苔を乗せて、蛤の時雨やちりめん山椒、香の物と共にいただきます♪
「にゅう麺」
中華麺、にゅう麺、平打麺の中からにゅう麺を選択。
こちらも蛤の出汁の旨みを吸わせた贅沢なにゅう麺となります。
粗挽き黒胡椒との組み合わせが仲居さんのお勧めです♪
「ほうじ茶のパンナコッタ」
ほうじ茶を用いたしっかりとした弾力のパンナコッタは、下に小豆が仕込まれており、
生クリームとアーモンドスライス、ミントを添えて一緒にいただきます♪
床の間には、桑名出身の有名な絵師の掛け軸に赤白の絞りが入った芍薬と蒲の穂が飾られています♪
旬の蛤尽くしを堪能し、楽しい宴が幕を閉じる頃、招き猫の看板猫ちゃんも最後にお見送りしてくれました!
ご参加された皆様、またお会いできる日を楽しみにしております♪
蛤料理 日の出
三重県桑名市川口町19 TEL:0594-22-0657
営業時間:11:30~14:0(L.O13:00)※季節により営業
17:00~22:00(L.O20:30)完全予約制
定休日:水曜日(但し第3水曜日は営業し、その週の月曜日が定休日)※HPでご確認ください。
http://ishi98.wix.com/hinode987