「樂翠亭美術館」昭和初期の邸宅を修繕し日本庭園と共にアートを愉しむ美術館

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緑を楽しむという意味を持つ「樂翠 らくすい」。
西本願寺の光照門主がここを訪れた際に、
庭園にある「東屋(あずまや)」を「樂翠亭(らくすいてい)」と名付けたことを今に受け継ぎ、
2011年5月より「樂翠亭美術館」として一般公開(一部有料)されています。

1950年~1957年(昭和25年~32年)にかけて築造された
昭和初期の木造2階建ての純和風建築と鉄筋コンクリート造洋館及び、土蔵造りの蔵の建築群、
それらを取り囲む池や東屋、四季折々の回遊式日本庭園で構成されている
総敷地面積がおよそ1,200坪にも達する広大な富山市を代表する邸宅を
貴重な文化遺産として後世に受け継いでいくために、
リバーリトリート雅樂倶」を運営する「izak アイザックグループ石崎氏が立ち上がり、
保存修繕を行った上で、地域貢献と芸術文化の振興、富山駅北地区の発展に寄与できる施設となるよう努められています。

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ここでは、四季の移ろいを楽しめる美しい日本庭園と共に、
日本建築の和の空間で見る日本の匠の技と癒合させた現代作家さんたちが繰り広げられる
アートの世界を堪能できます♪

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入口のエントランスホールには、「ミュージアムショップ」が併設されておりますが、
そちらは後ほど紹介させていただきます。
丁度、開館5周年記念展として2015年3月20日(金)~6月14日(日)まで開催されている
陶芸家内田鋼一さんの個展「手と眼」を鑑賞致します。
館内の作品に関しましては撮影禁止となりますので、素晴らしい邸宅の雰囲気やお庭などの風景をお楽しみください♪

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樂翠亭美術館事務局責任者:小西博夫さん

この日は、樂翠亭美術館事務局の責任者である小西博夫さんにお時間をいただき、施設の案内をしていただきました。
こちらは、美術館としてのしつらえよりも、日本邸宅の中に自然に美術品を設置することで、
まるで自邸にいるような雰囲気の中、
アートがより身近に感じられるようにと願われる石崎氏の意向を汲まれて展示されています。
遠方からの来訪者の方も多く、皆さん時間を忘れ、ゆっくりと過ごされる方ばかりで、
そのあまりの素晴らしさに、人伝てのご紹介で広めていただいているようです。
「人間を取り戻した」と口にされる方もいらしたとのこと。
小西さん自身も、日々移ろいを変える景色の美しさに心癒される想いがあるとのこと。
来月の5月14日(木)~17日(日) に特別に開催される4日間限定の夜間ライトアップ特別開館イベント、
−K.Uchida’s BAR−」 の夜の雰囲気も素敵だとお勧めくださいました♪

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脂松廊下からの中庭

肥松(こえまつ)とは、黒松の中でも特にヤニ分の多いものを指し、
粘り強く強靭で、耐水性・防虫性にも優れ、梁などの構造材や廊下板などに用いられることが多いとのこと。

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屋久杉の天井

天井には、1993年に世界遺産登録されている鹿児島県屋久島の屋久杉を用いられ、圧巻の施し。
1970年に入ると自然保護の動きがあり、現在は全面的に伐採が禁じられているため手に入らぬ貴重なものとなります。

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欄間(和鶴)

欄間とは、天井と鴨居との間に格子や透かし彫りの板などを取り付けた部分で、
採光や通風などのためのもので装飾を兼ねています。

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畳縁側

定期的に畳の張替えも行われているため、裸足が気持ち良く、美しい姿の縁側。
手入れの行き届いた贅沢な一面のガラス窓からの景色を眺め、鳥のさえずりが心地良いBGMに。

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畳縁側からの眺望

定期的に庭のお手入れは施されるものの、敢えて剪定し過ぎず、
本来の自然が持つ魅力を感じるために自然体を残しつつ手入れされるのが、樂翠亭の庭園らしさとのこと。

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檜風呂

石崎氏が増築された檜風呂は、美術館となってからは使用されておらず、自由に観覧することができます。
湯船に浸かり、腰を下ろせば、丁度良い目線に庭を眺めることができるよう設置。
庭園には、つつじやシャクナゲ、椿などが咲いており、四季毎の花々が楽しめるようです♪

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茶室からの風景

ひんやりとした涼やかな廊下、眩いばかりの新緑と陽だまりが漏れる美しさ。

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茶室「碧庵(へきあん)」からの眺望

2013年の秋に開催された「現代の工芸、今ーいつつの言葉ー」展での出品作家5名により
碧庵(へきあん)」と命名されています。
王、白、石の三文字から成り立つ「碧」という一文字は、こちらの茶室を特色を示す借景の緑、空、水、
そして、各作家を連想させる白磁、硝子、青銅を表しています。
また、「王」という文字に、この土地における文化繁栄の願いを込め、
「石」の上にどっしりと構える有り様を伝える名付けられています。

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床の間

椿が活けられた床の間の床柱は、南天の木を用いられています。
南天は、極めて成長が遅いながらに、長寿の木としても知られ、
柱になるほどに太く育った南天の木は、好事家の間で床の間の柱として珍重されているそうです。
日本で最も太い南天の床柱は、国宝の「金閣寺」にあり、直径10cmの太さで樹齢は何と1200年とのこと!
こちらの南天は測っておりませんが、かなりの直径のように思えます(驚)

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展示室3からの眺望

堀炬燵式のテーブルには、芳名帳というより、施設での感想を綴れる日誌のようなものが何冊も置かれています。
自由に書き記すもよし、様々な想いが描かれた文を楽しむもよし。
座った時に伺える東屋をはじめとするここからの庭の景色も素敵です♪

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日本庭園を散策される方は、こちらから用意された履物に履き替えてお進みください。

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1,200坪もの広大な敷地面積の内のおよそ900坪が回遊式日本庭園となっています。
こちらでは、新緑薫るこれからの季節をはじめとし、木々に覆われ避暑を感じる夏、彩り深まる紅葉シーズンの秋、
そして雪吊りの凛とした冬景色まで、四季の移ろう庭園の美しさが楽しめます♪

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広大な庭園は自由に散策が可能なため、時間の許す限りお楽しみいただけます♪

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展示室「蔵」

元々、二階層の振るい蔵であったところを改修され、展示空間として開放されています。
入口に用意された履物に履き替えてお進みください。

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黒壁の天井高5.6mの吹き抜けのこちらの空間は、
平面、立体、パフォーマンスや音楽、朗読等、ジャンルに捕らわれることなく、自由な表現の実現できる可能性を秘めています。
今回、こちらでの内田鋼一さんの作品展は、照明スポットの当て方に工夫をされており、
黒壁のくらい空間内に浮き上がる作品たちはインパクトを放っておりました!
また、この素敵な青銅サイン内田鋼一さんの書を用いて作製されています♪

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しだれ桜

蔵の横に植えられた見事なしだれ桜は、この時が丁度見頃の満開を迎えておりました。
枝が緩く垂れかかり、風にそよぐその姿は可憐なものでございます♪

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およそ30匹ほどの色とりどりの錦鯉が悠々と泳ぐ姿は、見る人の心を和やかにしてくれます♪

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「Bravoles ブラボール」鯉江良二

庭隅に苔を纏い小さな石のように見えるもの、
実はこれ、1つ1つが陶芸家の鯉江良二さんの作品「ブラボール」です。
土はいつか自然に還るとされ、経年変化で庭と作品が一体化されていく素敵な一場面を覗くことができました♪

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東屋(あずまや)

こちらの東屋を、西本願寺の光照門主がここを訪れた際に
樂翠亭(らくすいてい)」と名付けたことを今に受け継がれています。

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東屋とは、庭園などに眺望、休憩などの目的で設置される簡素な建屋のこと。
ですが、日除けをしながら開放的な眺望に優れているため、
長時間に渡り、庭を眺めるには最適な場所となります♪

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東屋からの眺望

鮮やかな新緑に包まれ、見事な日本庭園を眺めながら過ごす、休日の午後のひととき。
こちらの樂翠亭美術館では、様々な作品に触れ、目の保養をさせていただき、
心豊かに静かな時を過ごすことができるでしょう♪

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ミュージアムショップ

樂翠亭美術館」の入口は、こちらのミュージアムショップから始まります。
樂と翠を重ね合わせ新しい造形のシンボルマークは、何と、
日本を代表するクリエイティブディレクター、アートディレクターである「KASHIWA SATO 佐藤可士和」氏のデザインです!
可士和さんが樂翠亭さんのロゴタイプやシンボルマークの依頼を受け、
その名前の響きに惹かれ、画数の多い感じならではの様々なインスピレーションが瞬間的に湧いているそうです。
ロゴタイプは、こちらの「伝統と革新」というコンセプトを体現するため、
蒙書(てんしょ)などの古来からの文字をモチーフとしながら、
完全に現代的なタイポグラフィの解釈を加えてデザインされており、無駄の無い研ぎ澄まされた美しいロゴとなっています♪

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ミュージアムショップ

ミュージアムショップは、白を基調としたシンプルな造りで、
入口には、日本の現代アーティストである「村上隆」さんのフラワーが設置されており華やかです。
BGMのオーディオは、デンマークのオーディオ・ビジュアル製品メーカー
B&O(バング&オルフセン)」を使用され、何とも贅沢な空間です♪

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アートを暮らしの中に取り入れることの楽しみや喜びを提案するアートショップとして、
オリジナル商品をはじめ、限定グッズや、作家さんとのコラボレーションによる県産品など、
こだわり溢れる多くの商品で溢れています♪

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アクセサリー・バッグデザイナー坂雅子さんの作品「acrylic」

こちらのショップで老若男女問わず一番人気の商品は、
元はグラフィックディナーであった坂雅子さんがアクセサリーとバッグデザイナーに転身され、
創られている作品「acrylic」のバッグたちです。
大容量の収納に軽くて丈夫な合成素材、そしてシンプルなデザインとカラフルな色合いが人気とのこと♪

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五郎丸屋
お干菓子

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松井機業
しけ絹

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「Johanas ヨハナス」
シルクストール

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ミュージアムショップ奥の右手が有料の美術館入口で、
左手の階段を上がれば「ギャラリー&カフェ」となり、ギャラリーは無料で観覧可能です。

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2階「ギャラリー&カフェ Rakusui」

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カフェスペース

雅樂倶さんのパティシエが作るオリジナルのスイーツと共に、のんびりとしたティータイムをお過ごしいただけます♪

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ギャラリースペース(入場無料)

絵画、陶芸、ガラス造形、金工、彫刻など定期的にアート作品を入れ替え展示されており、無料で観覧可能です。

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富山駅駅北より徒歩10分圏内にある「樂翠亭美術館」さんは、
ゆったりとした休日を過ごすのにとても素敵な美術館となります。
リバーリトリート雅樂倶」さんで過ごされた流れで訪れるコースとしてもお勧めです♪

リバーリトリート雅樂倶のすべての記事はこちらをクリック!
http://lade.jp/articles/travel/35508/

樂翠亭美術館
富山県富山市奥田新町2-27 TEL:076-439-2200
開館時間:美術館および庭園・蔵 10:00~17:00(有料:最終入館は16:30)
ミュージアムショップ 10:00~17:00
gallery 201・202 10:00~17:00(入場無料)
休館日:水曜日、年末年始、展示替え期間(ホームページ内でご確認ください)
鑑賞料:企画展毎に異なります
http://www.rakusuitei.jp/

富山県富山市奥田新町2-27富山県富山市奥田新町2-27

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