熊野古道へと続く穏やかな山並みと、伊勢神宮の清らかな気を感じる地に、日本最大級の複合リゾート「VISON / ヴィソン」があります。その広大な敷地の中でもひときわ静謐な緑に包まれた農園エリアに佇むのが、2024年8月1日に誕生したホテル「HACIENDA VISON / ハシェンダ ヴィソン」。
食と癒しの複合リゾートを展開する「株式会社アクアイグニス」が運営され、イギリス生まれのホームファニシングショップ「 The Conran Shop / ザ・コンランショップ 」がデザイン監修に携わり、国内外のデザイナー家具やアート、スペインを想わせるモダンなインテリアが並びます。
ガーデン中央で出迎えてくれる造形アートは、長崎の彫刻家「坂本紬野子 / CHINOKO SAKAMOTO」の作品。正面ガーデンに立つこの石柱は、石の持つ長い時間の記憶と、作り手の手のぬくもりが重なり合う作品です。直線と面がわずかにずれることで生まれる陰影が、静かな中にも息づく動きを感じさせます。余計な装飾を排したその姿は、周囲の建物や自然と呼応しながら、光や風、時の移ろいまでも映し取っているよう。ただ“そこに立つ”という行為の中に、人と自然、過去と現在を結ぶ静かな力が宿っているようです。
“ハシェンダ”とは、スペイン語で「荘園の主の館」を意味し、その名の通り、木や石といった自然素材をふんだんに用いた館は、まるでスペインの田園に建つ邸宅のように、洗練されたデザインの中にも温もりを感じる佇まい。
ホテルはVISON内の少し離れた「農園エリア」に位置しているため、宿泊者はVISONへの行き来に、滞在中はこの専用バスを何度も無料で利用することが可能です。
宿泊者は、電動アシスト自転車も利用でき、広大な敷地の自然を風を切りながら感じることができます。
独特の空気感を纏うこちらのホテルでは、日常を忘れ、静寂と自然の美しさの調和を楽しむことができます。
今回の三重VISON旅では、こちらで特別なひとときを過ごしていきます。
扉を開けると、朱赤の大きな円錐暖炉が鎮座し、心地よいBGMに包まれる空間が広がり、旅の始まりをゆっくりと穏やかに迎えてくれました。
HACIENDA VISONの中央に位置するロビーラウンジは、宿泊客が自由に使えるスペースとなり、大きな窓から差し込む温かな陽射しを浴びて開放感に溢れています。テーブルには季節の花を添え、ベントウッド(曲げ木)技術を用いた軽量スタッキング可能なチェア「TON 30(アーム付)」と「 TON 18」を採用しており、黒の塗装が施されたチェアが、やわらかな雰囲気のロビーを引き締めています。
TONは、19世紀に「Michael Thonet / ミヒャエル・トーネット」が確立した曲げ木技術を継承する正統な後継ブランドにあたります。THONET のデザイン理念と職人技を守りつつ、
ロビーを装飾する本やレコード、花器、照明などのインテリア小物もすべて「ザ・コンランショップ」のセレクトにより彩られ、空間をスタイリングしているため、どこを切り取っても画になります。
フロントデスクの奥に飾られた作品は、作家「小川哲 / Satoshi Ogawa」の「はばたくかたちはよいかたち」。何気ない日常のささやかな美しさを幾何学パターンに落とし込み、水彩独特の滲みや風合いを用いて、暖かな眼差しで描く水彩作品が特徴です。鳥の羽ばたきを表現するこの作品も空間にそっと寄り添い、自然と溶け込んでいるようです。
暖炉を囲むラウンジチェア「Børge Mogensen /ボーエ・モーエンセン」の「THE SPANISH CHAIR」にゆったりと腰掛け、読書をしたり、大切な人と静かにワインを傾けたりと、“滞在する”というより、“暮らす”という表現が似合うホテル。
ダイニングには、アイランドキッチンに相応しい長テーブルとイギリスの「ERCOL / アーコール」を中心としたヨーロッパのヴィンテージチェアを設置しており、グループで滞在しても楽しめる造りになっています。
ロビーラウンジには、共有キッチンが設けられ、宿泊客は自由に利用可能です。シェフを招いてのプライベートディナーも叶うアイランドキッチンが併設され、ゲスト同士で料理を楽しめるよう、包丁やカッティングボードに、鍋やフライパン、食器など一通りの道具が揃い、手ぶらでも気軽に料理ができるのが魅力。VISON内のマルシェや農園で手に入れた新鮮な食材を使い、旅先で“自分の手で料理をする”という贅沢な時間を過ごすことができます。
食器棚にズラリと並ぶ食器やグラスにカップたち、カトラリーも一通り揃い、
広々としたキッチンには、ガスコンロに食洗機の用意までも。
冷蔵・冷凍庫も完備で、氷も自由に使えます。一番左手には、オーブンレンジも備わり、温めも調理も可能。
棚の上に置かれた鍋やフライパンに器などもすべて利用でき、目の前の農園で栽培された季節野菜を「マルシェヴィソン」で手に入れ、オリーブオイルや調味料などを持参すれば調理も楽しめ、“旅の中の小さな暮らし”を体験できます。
私たちは15:00のチェックイン時刻を過ぎた頃に入館し、すでに宿泊客がチェックインを済ませた後だったため、ゆったりとロビーで案内を受けることができました。ロビー内は、愛犬も抱っこ、またはリードで同行できます。
今回の予約は、「一休.com」のサイトから予約をしており、ダイヤモンド会員の特典付きです。
「ザ・コンランショップ オリジナルデザイントートバッグ」
「一休.com」のダイヤモンド会員の特典は、「ザ・コンランショップ オリジナルトートバッグ」で、Cサインを施したカラフルなデザインで折り畳み式となるため、「VISON」でのお買い物に大変重宝しました。2025年8月1日以降に「一休.com」でご予約されたダイヤモンド会員の方は、「VISONギフト券¥3,000-」が特典となります。現在は、公式HPからの予約特典として、「ザ・コンランショップ オリジナルトートバッグ」が付いてきますので要チェック!
レストルームのマークは、「Kay Bojesen / カイ・ボイスン」のノルウェーの民族衣装を纏った愛らしい木製人形が飾られており、男女兼用となります。
お部屋に入る前に、愛犬ショコラと一緒に正面ガーデンを散策していると、目の前に広がる山間の麓にはオーガニック農園があり、季節のハーブや野菜が育ち、自然の風を肌で感じながら、緩やかに流れる時間を過ごせます。
「わぁ、草の匂いがするね!風が気持ちよくて、鳥や虫の声が聞こえるし、足元の芝生もふかふかだよ。今日はここがパパとママとアタシの“おうち”なんだね♪」…とでも話しかけてくれているのかな?とショコラの気持ちを汲み取ってみました(笑)
全6室となる客室は、それぞれ異なるコンセプトで構成され、愛犬と過ごせるペット同伴可の客室も一室用意しています。
ロビーラウンジから中庭へ抜ける廊下があり、右手に今回私たちが宿泊するお部屋「102 Málaga」があります。
ヴィンテージのメタルアートが織り成す陰影がとても美しく、見るものの角度によって表情を変え、細部にまでこだわって制作された金属の質感や、経年変化による味わい深い表情が伺えます。
石畳の先に見えてくる中庭。
ショコラは、そっと鼻を近づけながら森の匂いを感じ取り、足元の感触を確かめるようにゆっくりと歩み進みます。
中庭へ足を踏み入れると、そこはまるで森の一部のように木々に囲まれた空間が広がります。湿り気を帯びた苔が広がる石、土からは小さなきのこが顔を覗かせています。
風が通り抜けるたび、葉の擦れ合う音がささやきのように響き、遠くからは、鹿の鳴き声がこだまし、自然と建築が溶け合うこの場所では、時の流れがゆっくりと刻まれ、呼吸までも深くなるような感覚に包まれます。森の香り、土の匂い、そしてどこか懐かしい静けさ。それはまるで“自然に還る”ようなひとときでした。
次回予告:Room 102 “Málaga”
次回は、ピカソの故郷・スペイン南部のリゾート地「マラガ」をテーマにデザインされた客室をご紹介。南ヨーロッパらしい温暖で開放的な雰囲気と、芸術の香りが漂う102号室「マラガ」で過ごす愛犬との優雅なひとときをお届けします。
HACIENDA VISON / ハシェンダ ヴィソン
住所:〒519-2170 三重県多気郡多気町ヴィソン 672番1 農園4
TEL:0598-67-0698
https://hacienda-vison.jp/