箱根・仙石原「ホテル森の風 箱根仙石原」レストラン“雅”で味わう、初夏の創作和食に舌鼓

夕暮れの余韻がゆっくりと深まり、昼間とはまた異なる表情を見せ始める「Hotel Mori no Kaze Hakone Sengokuhara」。やわらかな灯りが館内を包み込み、静かな箱根の夜が始まります。

夕食の時間が近づく頃、ラウンジ先のテラスへ出ると、仙石原の山々はゆっくりと夕暮れ色へ。昼間の爽やかな新緑とはまた異なり、館内は灯された明かりで、しっとりと落ち着いた“大人の宿”へと変わります。

レストラン「雅 / MIYABI」の夕食時間は、17:30〜、19:30〜の二部制となり、私たちはお部屋での温泉時間をゆっくり楽しみたかったため、後半の19:30スタートを選択。

落ち着いた和の色調となる店内は、上質でありながら肩肘張らずに寛げる空間。静かな音楽が流れる館内には、大人の温泉旅にふさわしい穏やかな空気が漂います。

今回案内していただいたのは、落ち着く半個室「柊」。

周囲を気にせずゆったり食事を楽しめ、夫婦水入らず、静かに語らいながら食事を楽しめる贅沢な時間が待っていました。

この日いただいたのは、旬の味覚を丁寧に仕立てた創作和食のコース。

まずは、湯上がりの身体に嬉しいプレミアムモルツで乾杯。この時、サーヴしてくれたスタッフさんが、以前は「Izu Nagaoka Onsen Sanyo-so」にいらしたようで、春に訪れた私たちのWEBマガジンの記事を観ていてくださったようで、声がけしてくださいました。旅先で、こうして思いがけないご縁が繋がる瞬間は、なんとも嬉しいもの。“記事を通して旅の記憶が繋がっていく”、そんなWEBマガジンならではの醍醐味を、改めて感じたひととき。温かな会話に心がほぐれ、美味しいお料理とともに、より印象深い夕食時間に。

「プレミアムモルツビール」900yen

温泉で火照った身体、そして乾いた喉に冷えた一杯が心地よく染み渡り、「旅先の夜が始まった」と感じる瞬間です。

日本の伝統的な吉祥模様・「麻の葉」を施した組子模様のコースターは、ホテルオリジナルコースターとして名入りで風情がある造りです。

最初に運ばれてきたのは、レストラン「雅」、そして森の風グループならではの“前菜五種の味覚料理”。箱根の伝統工芸として知られる“寄木細工”を施した美しいお重で登場。

前菜「五種の味覚料理」

蓋を開けた瞬間、まるで玉手箱のように色鮮やかな五種の味覚料理が並び、思わず声を上げてしまうほどの華やかさが。繊細な幾何学模様が美しい寄木細工は、箱根ならではの伝統美を感じさせ、その土地の文化ごと味わうような特別感も。お料理だけでなく、器や演出にまで箱根らしさが散りばめられているのも、「Hotel Mori no Kaze Hakone Sengokuhara」の魅力のひとつだと感じます。こちらは、「酸味・塩味・甘味・苦味・旨味」という“五味”をテーマに構成された前菜で、人が本来持つ味覚をゆっくり呼び覚ましていくように考えられており、グループの各ホテルの統一テーマで掲げられている、趣向を凝らしたお料理となります。

酸味「山菜土佐酢漬け 湘南ゴールドジュレ掛け」

最初にいただく「酸味」は、ワラビ・ゼンマイ・フキといった山菜を甘酢に漬け込み、土佐酢で上品に味を整えた一品。そこへ、爽やかな湘南ゴールドのジュレを合わせることで、初夏らしい清涼感のある味わいに。

塩味「合鴨ロース エゴママスタード」

「塩味」は、低温調理でしっとりとジューシーに仕上げた合鴨ロース。香ばしく焼き上げた皮目の旨味に、エゴマを使った特製マスタードが絶妙に寄り添い、噛むほどに深いコクが広がります。

甘味「ビワフライ ライム添え」

そして、意外性が楽しかったのが「甘味」。完熟したビワの果実を蜜煮にし、さらにフライ仕立てにしたという遊び心ある一皿で、添えられたライムを絞ることで、甘さの中に爽やかな余韻が加わります。

苦味「アワビ肝ソース仕立て」

「苦味」として登場したのは、森の風グループ名物でもある蝦夷鮑の肝ソース仕立て。低温調理された鮑は驚くほど柔らかく、濃厚な肝ソースには、卵と生クリームが加えられていることで、苦味の中にもまろやかさと奥行きが感じられます。

旨味「帆立貝と筍の土佐煮」

そして最後の「旨味」は、帆立貝と筍の土佐煮。鰹出汁をたっぷり含ませた筍と帆立稚貝は、噛むたびに出汁の旨味がじんわりと広がり、和食ならではの繊細な余韻を楽しませてくれました。

“五味”を意識しながらいただくと、ひと皿ごとに味覚が研ぎ澄まされ、これから始まるコース料理への期待感も高まります。

吸い物「蛤潮仕立て」

吸い物は富士山を模したデザインのお椀でいただきます。蛤には、深みが出る利尻昆布と酒を加えて丁寧に出汁を取り、味付けは天然塩のみという、実に繊細な一椀です。

蓋を開けた瞬間、ふわりと立ち上る蛤の芳醇な香り。澄み切ったお出汁をひと口いただくと、貝の旨味と昆布の奥深い余韻がじんわりと広がり、身体に静かに沁み渡っていきます。余計なものを加えず、素材本来の美味しさを引き出した味わいは、まさに和食の真髄。器の美しさもまた、和食を楽しむ大切な要素。味覚だけでなく、視覚でも季節や土地の趣を味わえる、丁寧なおもてなしが印象的です。

お造り「真鯛の昆布〆」と「紅富士サーモン」

お造りは二種盛りで、真鯛は、昆布で約5時間ほど丁寧に締めることで、余分な水分が抜け、旨味が凝縮された上品な味わいに。ねっとりとした身質の中に、昆布の繊細な香りと深みが重なり、噛むほどに旨味が広がっていきます。そして、静岡・富士宮のブランド魚「紅富士サーモン」も。富士山の清らかな冷水で育てられたブランドニジマスで、川魚特有の臭みをまったく感じさせず、驚くほど澄んだ旨味と美しい色味が特徴。そぎ造りにすることで、なめらかな口当たりと、とろけるような脂の甘みがより際立ち、素材そのものの上質さを存分に堪能できるひと皿に。添えられた昆布醤油は、通常の醤油よりも角がなくまろやかな風味で、お造りの繊細な旨味を優しく引き立ててくれます。静岡の海と富士山の恵みを感じられるお造りです。

焼物「桜鱒二味焼き」

焼物として供されたのは、「桜鱒二味焼き」。春に北海道から青森近海で水揚げされた桜鱒を、酒塩に漬け込んで丁寧に下味を施し、香ばしく焼き上げた一品。表面は香ばしく、中はしっとりと、桜鱒ならではの上品な脂の旨味をしっかりと感じられる味わいに。“二味焼き”という名の通り、一皿の中で重なる二つの味わいを楽しめる趣向になっていて、春の香りを感じるふき味噌を忍ばせ、ほろ苦さとコクが桜鱒の旨味をより引き立てます。そして、鮮やかな緑が美しい空豆を添えることで、初夏らしい爽やかな風味と優しい甘みもプラス。桜鱒の旨味と、空豆の季節感。ひと皿の中に春から初夏へ移ろう季節の情景が丁寧に表現されており、目にも舌にも楽しい焼物でした。添えられた昆布の佃煮は、わさび風味となり、やさしい塩味の奥にくるピリッとした辛さも良いアクセントに。和食ならではの繊細な味の重なりを感じさせてくれます。

温物「ゆり根茶碗蒸し 桜花添え」

温物としていただいたのは、「ゆり根茶碗蒸し 桜花添え」。蓋を開けた瞬間、ふわりと立ち上る出汁の香りに、思わず心が和みます。なめらかな茶碗地には、丁寧に引かれたお出汁の旨味がしっかりと感じられ、口当たりは驚くほどやさしく繊細。中には、ほくほくとした食感のゆり根と海老が忍ばせてあり、それぞれ異なる食感と旨味が絶妙なバランスで重なります。さらに天盛りには、塩漬けした桜花を添えて。ほんのりとした塩味と、春を思わせる上品な香りがアクセントとなり、やさしい味わいの中に季節感を添えてくれます。華やかさがありながらも、どこかほっとするような味わいで、和食ならではの“滋味深さ”を感じられる一品。総料理長こだわりの逸品と言うのも頷ける美味しさ。

揚物「桜エビかき揚げ、鱚磯辺揚げ、タラの芽衣揚げ」

揚物は、天麩羅の盛り合わせとなり、季節の食材を軽やかな衣で包み込み、ひと皿の中で初夏の香りを楽しめる一品です。まず、桜海老のかき揚げは、玉葱と三つ葉を合わせることで、香ばしさの中に爽やかな風味を感じる仕上がりに。軽やかな食感の後に、桜海老ならではの凝縮した旨味と香りが口いっぱいに広がります。鱚の磯辺揚げは、淡白で上品な鱚に、青のりを加えた衣を纏わせることで、磯の香りがふわりと重なる味わい。外は軽やかに、中はふっくらとした食感で、素材の繊細な美味しさを丁寧に引き立てています。さらに、季節を感じさせてくれたのが、タラの芽の衣揚げ。ほろ苦さの中に春山の香りを感じる味わいで、旬ならではの力強い風味が印象的。いただき方は、出汁の旨味を感じる天つゆ、または磯塩とともに。レモンを軽く搾ることで、揚物全体に爽やかな余韻が加わり、最後まで軽やかに楽しめます。

強肴の焼きしゃぶは、火を付けた陶板に牛脂をなじませるところから。じゅわっと溶け出した牛脂の香ばしい香りがふわりと広がり、これから始まる一皿への期待感を高めてくれます。

強肴「国産牛の焼きしゃぶ」

静岡県産の国産牛を陶板でさっと火を通していただきます。シンプルだからこそ素材の良さが際立つ一品。

美しく入った脂と、きめ細かな赤身のバランスが印象的。まずはお肉だけでいただきましょう。さっと軽く火を入れることで、お肉本来の旨味と甘みがより引き立ちます。熱々の陶板の上で、自分好みの火入れに仕上げていく時間もまた楽しく、立ち上る香ばしい香りに食欲が高まります。

お次は、旬野菜(玉ねぎ、エリンギ、豆苗、葱、パプリカ、ウルイ)とともに。

瑞々しい旬野菜はしっかり火入れすることで甘みが引き出されます。その野菜の上でお肉を寝かし、しっとりとジューシーに仕上がげます。一緒に頬張れば、食感や風味の違いも楽しめ、最後まで飽きることなく味わえます。

合わせるのは、特製の胡麻ポン酢。胡麻のまろやかなコクに、ポン酢の爽やかな酸味が重なり、程よく脂ののった牛肉をさっぱりといただける絶妙な味わい。

御食事「アサリ筍炊き込みご飯」

レストラン「雅」のコース料理では、締めのお食事は、季節ごとに内容が変わる炊き込みご飯となっており、この春(初夏)は、“アサリ”を使用した一品です。蓋を開けた瞬間、ふわりと立ち上る出汁と筍の香りに、思わず心がほどけます。アサリの旨味をたっぷり吸い込んだご飯は、噛むほどに優しい出汁の風味が広がり、そこへ筍のシャキッとした食感が心地よいアクセントを添えています。丁寧に引かれたお出汁の美味しさがしっかりと感じられ、コースの最後を穏やかに締めくくってくれるような味わい。添えられた”あら”のお味噌汁は旨味が溢れ、箸がすすみみます。香の物は、一風変わり種の子がいて、ブルーベリーに漬けた大根がユニークな味わい。温泉旅館でいただく和食ならではの安心感と、ちょっとした遊び心も加わり、満足感に包まれる締めの一膳です。全体的に印象深かったのは、それぞれのお料理に用いる“お出汁”の美味しさ。何度も試作を重ねて完成させたという「森の風オリジナル」の鰹だしは、まさに和食の土台を感じる味わい。主張しすぎず、それでいて料理全体を上品に引き立てる繊細な旨味があり、一皿ごとに丁寧な仕事ぶりが伝わる味わいを楽しめました。

デザート「チーズムース 季節のフルーツ三種盛り」

食後にふさわしい、軽やかで爽やかな甘さが印象的な一皿。なめらかな口当たりのチーズムースは、ほどよい酸味とコクが心地よく、ここまで続いた和食コースの余韻をやさしく包み込むような味わいに。添えられた季節のフルーツは、それぞれ瑞々しく、初夏らしい爽やかさを感じさせてくれます。彩りも美しく、最後まで、目でも楽しめる和のおもてなし。季節の恵みを丁寧に映し出した創作和食は、心まで満たされる夕食時間となりました。

"Roasted green tea"

食後には、「お茶(ほうじ茶)・コーヒー・紅茶」の中から選べ、私たちは「ほうじ茶」をいただきながら、ゆったりとした余韻時間を楽しみます。静かな空間で、箱根の夜の余韻に浸りながら過ごすひとときは、まさに大人の温泉旅ならではの贅沢。

レストラン「雅」での御食事は、料理はもちろんのこと、時間の流れまでも含めて楽しむ“大人のための食体験”となりました。

初夏の箱根の夜にそっと寄り添うような、心まで満たされる夕食時間に。そして食後は、再び温泉へ。静まりゆく仙石原の景色を眺めながら湯に浸かっていると、身体の力がゆっくりほどけ、旅の余韻に優しく包み込まれていくようでした。美食と温泉、そして静寂。五感のすべてが満たされる、贅沢な箱根の夜となりました。

Hotel Mori no Kaze Hakone Sengokuhara
Address: 817-444 Sengokuhara, Hakone-machi, Ashigarashimo-gun, Kanagawa Prefecture 250-0631
TEL: 0120-489-166
https://www.morinokaze-hakone-sengokuhara.com/

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