万年筆に魅せられ運命の一本選びをサポート「PEN’S ALLEY TAKEUCHI」

DSC_0250

欧州製の万年筆はカラフル

豊橋市方面から岡崎市に向かって国道一号を走ると、大きく描かれた万年筆が目に留まる。そこに記されたコピー「この万年筆に会いたかった」も印象的だ。この看板の主は昭和5年創業の竹内文具店。岡崎の中心部の一角に店を構えている。竹内文具店は先代が現在の名鉄東岡崎駅前に開業。当時は小売りよりも卸がメインで、足助や知多などに文具を納めていた。戦争が始まるとアイデアマンであった先代は、軍需工場から鉄板などを譲り受け、文具に加工して販売。物資不足でガラスペンやインク、糊の他、置けば何でも売れたそうだ。昭和27年、新駅舎建設の区画整理で現在の地に移転した。

時代とともに、求められる商品も目まぐるしく変化。コピーやOA事務機器の扱いを始めるなど、一時は事業規模も拡大したが、文具のインターネット販売が普及すると、路面店は逆風に晒された。今から十年前、店を畳もうとまで考えたが、先代が築いた店を守りたいと必死に模索し、活路を見いだしたのが万年筆。戦略商品として位置づけた。今では常時1500本ほどが揃い、県外から足を運ぶ人も多い。 熱狂的な万年筆愛好家、コレクターは全世界にごまんといる。

DSC_0142

50年~60年前に仕入れたガラスペン

DSC_5527

ペン先を掃除する道具たち

竹内文具店の三代目に嫁いだ店長の竹内さちよさんは、経営方針を転向してから万年筆に目覚め、精通しているお客様からいろいろ教わったという。竹内店長は「万年筆で書く文字には上手い下手で表現できない味があるんです」と愛用の一本を眺めながら目を細める。言葉を交わして好みを推し量り、試し書きを勧めることで癖を知り、対面販売だからこそ出来る運命の一本選びをお手伝いしたいと語る店長。国道沿いの看板コピーは、その願いそのものなのだろう。万年筆のことなら夜通し語ることができるという店長に試し書きを促されたが、もう何年も握っていないので自信が無い。恐る恐るペン先を紙に置くと、力を入れずとも滑らかに動きはじめた。強弱つけてとめや払いを表現できる感覚がよみがえり、「書き味」という言葉が思い浮かぶ。筆圧やペンを持つ角度によって、文字の印象が全く変わるから面白い。中学校の入学祝いで、万年筆を貰った人も多いのではないだろうか。高校の願書は万年筆で書いた記憶がある。久々の感覚を味わい、実家の何処かで眠っているかもしれない祖母からのプレゼントを、無性に探し出してみたくなった。

築六十年余り経過し、老朽化が進んだことから、平成26年3月1日、旧店舗から徒歩3分ほどの新店舗へ移転した。これを機に、より万年筆へ特化して陳列スペースを拡大。試し書きのコーナーも拡充し、買い物ついでに手紙を書く場を設けるなど、様々な工夫が散りばめられている。初心者のための万年筆講座や、各種イベントを実施しているので、魅力を再認識、又はデビューしたい人にはおすすめだ。
※初心者のための万年筆講座などのイベントを定期的に開催!

DSC_0156

竹内店長が愛用している寄木の
万年筆とインクケース

DSC_0302

旧竹内文具店店舗

PEN’S ALLEY TAKEUCHI (旧竹内文具店)
岡崎市籠田町36 営業時間: 10時~20時 TEL: 0564-21-0864
http://www.takeuchi-os.co.jp

東三河&西遠・西三河・南信 応援誌 そう 42号 掲載(2014年3月10日発刊)
文:露久保瑞恵 / 写真:原田 佐登美

http://www.h-n-a-f.com/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

先頭に戻る