昨年2014年12月にオーナーシェフのRichie Lin(通称:Rich Ard)が、
台北の大安地区の静かな路地にひっそりとモダン欧州料理店「MUME」をオープン。
「世界のベスト・レストラン50(The World’s 50 Best Restaurants)」で1位の栄冠を4回も獲得している
デンマーク・コペンハーゲンの「noma」のRene Redzepi(レネ・レゼピ)の下で働いた経験のある
オーナーのRich Ard(香港出身)シェフを中心に、
Long Xiongシェフ(アメリカ出身)、Kai Wardシェフ(オーストラリア出身)の3人体制でチームをつくり、
世界各国の料理を取り入れミックスさせ、生み出したモダン欧州料理が瞬く間に台北で評判となり大ブレイク!
今回は、そんな話題沸騰中の「MUME」を紹介します♪
無駄を削ぎ落としたデザインでシンプルモダンな店構え。
入口のRC壁には「MUME」と刻む店名のみ。
店名の「MUME」は、ラテン語で台湾の代表花「梅の花(メイファ)」を意味しており、
台湾を代表花「梅 UME」の名に相応しいレストランとなるよう名付けられています。
店内は、ダークウッドを基調としたモダンな空間で、1Fと地下のフロア総席数を34席。
ロープで吊るされた裸電球や卓上の蝋燭、
間接照明のみの僅かな灯りで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
BGMはアップテンポなクラブミュージックが流れており、店内の人の声も加わり、
終始、賑やかな雰囲気で若者にはお勧めです♪
香港生まれでカナダ育ちのオーナーシェフRichie Lin(35歳)は、
デンマーク・コペンハーゲンの「noma」や
オーストラリア・シドニーの「Quay」、香港の「NUR」で経験を積み上げていく中で、
いつしか台湾の地場に育つ食材の豊かさに興味を抱き、
台湾食材のみでレストランを開業したいと夢を抱き、2014年4月に台北に移住します。
準備期間を経て2014年12月に「MUME」をオープン。
現在提供する料理の食材のおよそ90%は台湾食材を用いており、
異なる国を渡り歩き得た技術と、その国毎の特質溢れる料理、さらに、共に歩む2人のシェフの感性をつなぎ合わせ、
「MUME」独自のオリジナリティを放つ、全く新しい欧州料理に挑戦しています。
つい先日、師匠である「Quay」のシェフPeter Gilmore(ピーター・ギルモア)が
「マンダリン オリエンタル 台北」でイベントを開催されていたこともあり、
恩師Peter Gilmoreは、可愛い弟子であるRich Ardシェフの下を訪れています。
「MUME」のメニューはアラカルトで英語表記となります。
残念ながら、現在は日本語を話せるスタッフはおりませんので、中国語または英語での会話となります。
この日は、グラフィックデザイナーとして活躍し、「走走 ZouZou Design Studio」を運営する傍らで、
コーヒー好きの趣味が高じて、気軽に立ち寄れるポップアップ珈琲スタンド
「EAVES COFFEE」を立ち上げている台湾人の友人である李培薫(Lee Pei-Syun)くんに通訳で協力してもらい、
Rich Ardシェフにお勧めの料理をコース仕立てでお願いします♪
店内に入ると直ぐに、タイダイ染めのような照明が埋め込まれた
バーカウンターが設置されており、一際、光を放っています。
壁面にはスタンディング用の小さなカウンターも用意され、立ち飲みも可能です♪
トップバーテンダーのJeffrey Leeが創り出すカクテルが人気で、オーダーされるお客様の姿が多く見られました。
アラカルトで好きなメニューを選び、それに合わせてカジュアルなスタイルでアルコールを楽しむような、
ダイニングバー的な使い勝手の良いレストランです♪
キッチンには3人のシェフ、並びに6名のアシスタントスタッフで、
総勢9名が熱戦を繰り広げています!
「Acqua Panna」
アクアパンナは、味覚を刺激しすぎることなく、口の中をスッキリさせ、
ベルベットのようになめらかな味わいが特徴。
ワインとの相性はもちろん、繊細な料理にも程よく合い、料理の風味をしっかりと引き立ててくれます。
料理についてバーテンダーのKurt Linちゃんに、食材などを含め細かく説明していただき、
Leeくんが通訳として大活躍♪
「COBIA CRUDO」 360TWD
Ajo Blanco、Buddha Hand、Black Pepper Oil
台湾で漁れるCOBIAという白身魚をマリネし、花に見立てています。
COBIAとは沖縄地方では一般的な魚で黒カンパチのことで、淡白な味わいをしています。
COBIAの切り身にスライスしたマスカットを挟み、胡瓜のパウダーと刻み昆布を添えて。
スペインのガスパチョをイメージしたソースは、
マスカットと胡瓜と釈迦と呼ばれる台湾特有のフルーツをベースに作られており、
ブラックペッパーオイルを数滴垂らしてアクセントを付けています。
このガスパチョの味わいはあっさりとしています。
「WAGYU TARTARE」 380TWD
Clam Mayo、Confit Egg Yolk、Grilled Toast
わたし達は、今回も日本から富山の友人で陶芸作家である
「釋永岳 Gaku Shakunaga」くんの器を持参していたため、
こちらのRich Ardシェフにも「器と旅するシリーズ」と題して、
彼の作品である「漆黒シリーズ」と「年輪シリーズ」を紹介し、
「MUME」の料理ともコラボレーションしていただきました!(感謝感激!)
漆黒シリーズ シャーレには、赤身の肉が良く映える和牛のタルタルを合わせてくれました!
オージービーフの肩肉を用いてタルタルに仕上げています。
タルタルとは生の牛肉を、粗くみじん切りにし、オリーブオイル、食塩、コショウで味付けし、
タマネギ、セロリなどをみじん切りした薬味と卵黄を添えた料理です。
タルタルの表面には食感のアクセントに揚げたレンコンを細かくカットして薄くまぶしてあります。
その上にコンフィした砂糖漬けの卵黄と、牡蠣の旨みを凝縮した自家製マヨネーズの組み合わせ。
「Grilled Toast」
和牛タルタルをよく混ぜ合わせて、香ばしくグリルしたトーストに乗せていただきます。
「BLUSH PRAWN」 350TWD
Young Bamboo、Creme Fraiche、Prawn Toast
生海老、筍、海老風味パンにわさび菜のベビーリーフを添えて。
仕上げにテーブルで自家製チーズをたっぷりと振りかけてくれます。
これらの食材を軽くまぜ合わせて、海老風味パンに乗せていただきます。
酸味のある軽やかなチーズが生海老のねっとりとした甘さを引き出し、
シャキシャキとした筍や、カリカリとしたパンの食感がアクセントになっています。
「COUNTRY RYE SOURDOUGH」 180TWD
天然酵母の自家製パンは、小麦やライ麦の粉と水を混ぜてつくる生地に、
乳酸菌と酵母を主体に複数の微生物を共培養させた伝統的な製法で作られています。
特有の強い酸味と風味を持ち、日本ではあまり馴染みのない味わいです。
「Beer Butter & Smoked Beef Fat Butter」
黒ビールの自家製バター、スモークした牛脂の自家製バター
そしてフランスゲランドの塩をお好みで自家製パンに付けます。
酸味の強いパンに合わせて、自家製バターは風味を強くしてあります。
「CRISPY AMADAI」 420TWD
Roasted Pepper、Toasted Almond、Tomato Raisin
甘鯛の鱗パリパリ焼きに合わせてパプリカのソースでいただきます。
甘めのパプリカソースは鯛の出汁にクリームを入れてマイルドに仕上げ、
付け合せには、ローストしたパプリカ、ドライトマト、ローストされたアーモンド、
燻製した台湾式豚肉ソーセージとベビーリーフを添えて。
「Cabbage Roast」 350TWD
「年輪シリーズ」のイメージに合わせて、
裏メニューとして出してくれたのが、こちらのローストキャベツ。
キャベツが名産品として知られる梨山産を使用しています。
キャベツをそのまま火に入れ、4時間かけてじっくりとローストしているため表面は丸焦げに!(驚)
しかし、その中は、旨み、甘味、香りを凝縮したキャベツに変身するとのこと!
バターをベースに造られたソースと砕いたヘーゼルナッツを添えて香ばしさをプラス。
周りの焦げたキャベツを取り除き、中心部をソースと共にいただきます。
「CHICKEN」 780TWD
Cauliflower、Lilly Bulb Stem、Pedro Ximenes Jus
台湾産の桂丁鶏のもも肉を巻いて蒸し揚げしたものと、胸肉の蒸し物。
もも肉は皮がパリパリで中はジューシーで柔らかい食感です。
胸肉はしっとりとした仕上がり。
カリフラワーと極甘口のペドロ・ヒメネスというシェリー酒を使ったソースでいただきます。
ローストしたズッキーニとユリの茎にわさび菜を添えて。
「BEEF SHORTIB」 920TWD
Slow Roasted Carrots、Burnt Onion Puree、Pickle Pearl Onion
お店で一番人気とされる、牛のショートリブの塊をじっくりと長時間低温ロースト。
24時間かけて低温真空調理されたアメリカ産牛のショートリブは、
綺麗なロゼ色に仕上げられ、食感も柔らかくジューシーです。
ソースは生マッシュルームをベースに仕上げた香ばしいソース。
野生の人参とペコロスのロースト、ペコロスのピクルス、人参の葉を添えて。
台湾では、お肉をレアでいただく習慣が今までなく、
しっかりと火を通すお肉を好まれていたようですが、
ここ最近では新しい調理法が一般化しつつあり、
このような状態で出してくれるレストランが増えているそうです。
食文化にも少しずつ変化が見られます♪
「Coconut Ice」
こちらも裏メニューで、シェフオリジナルデザートです!
ココナッツミルクとロンガンをシャーベット状に仕上げており、ココナッツの実を器に見立てた可愛いらしいスイーツ。
さっぱりとした味わいで、食後のお口直しにピッタリです♪
「CUSTARD APPLE」 280TWD
Vanilla Milk Granite、lemon Thyme Meringue、Yuzu Compote
バニラミルクのグラニテの中に柚子のコンポートを忍ばせて、上にレモンタイムのメレンゲを立ててデコレーション。
釈迦(カスタードアップル)のアイスクリームと共にいただきます。
こちらのお店では「ストロベリーチーズケーキ」のデザートが定番のようでしたが、
食後にさっぱりとしたデザートが欲しかったので、こちらをオーダーしたのですが、
先ほどのココナッツアイスとかぶってしまいましたね(笑)
食後にキッチンスタッフと一緒に記念撮影!
明るくハキハキとしたスタッフが多く、アラカルトでいただける料理と
バリエーション豊かなカクテルなどを皆でワイワイと楽しみながら、カジュアルな利用にお勧めです。
Rich Ardシェフ、スタッフの皆さん、ありがとうございました♪(謝謝♪)
MUME
住所:台北市四維路28號 TEL:+886 2 2700 0901
営業時間:18:00~24:00
定休日:月曜日
http://www.mume.tw/